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AIOライト  作者: 栗木下
3章:右角山
134/621

134:29-1

【AIOライト 29日目 06:25 (2/6・晴れ) 始まりの街・ヒタイ】


「あー、よく寝た」

「おはようございます。マスター」

 翌日。

 俺とシアは普通に自室で目を覚ますと、食事を摂り、『大地の恩寵をその身に』について確認を取っていた。


「なるほど。つまり『大地の恩寵をその身に』は条件付きの回復って事か」

「はい、その認識で合っていると思います」

 で、その確認の結果だが、こんな感じだ。

 まず、『大地の恩寵をその身に』の効果は、俺の予想通り地面に両脚が付いている時にのみ回復力を上げる特殊なバフである。

 効果量については、条件が付いている分だけ『癒しをもたらせ』より上であり、目に見えてHPが回復し始める。

 ただ効果が高い分だけ、消費も激しくなっている。

 との事だった。


「なので、シュヴァリエみたいに走り回るタイプとは相性が悪いと思います」

「まあ、そうだろうな。逆に足を止めて戦うトロヘルみたいなタイプとは相性がいいか」

「そうですね。私もそう思います」

 効果が特殊な分だけ、掛ける相手との相性もある。

 掛ける相手がグランギニョルやブルカノさんのような後衛タイプ、あるいはトロヘルやクリームブランのように足を止めて戦うタイプならば、常に効果が発揮されるので相性はいいだろう。

 逆にマンダリンやシュヴァリエ、ジャックさんのような走り回る事を前提とした前衛とは相性が悪いし、トロヘルのホムンクルスであるヘジャ、ジャックさんのホムンクルスであるスカルペルのように空を飛ぶタイプとは絶望的に相性が悪いだろう。

 まあ、相性が悪いと言ってもマイナス効果はないので、掛けておいて損になる事は基本ないだろうが。


「で、目覚めたきっかけは分かるか?」

「んー……よくは分からないです。たぶん、色々な経験が積み重なった結果だとは思いますけど」

 さて、話を続けよう。

 シアの話を聞く限りでは、『大地の恩寵をその身に』を使えるようになった理由は色々な条件が積み重なった結果であるらしい。

 だが、これがシアだけの話なのか、他のホムンクルスもなのかは、掲示板にそう言う話が出ていなかったので分からないし、今は気にしなくていいだろう。

 いずれは分かる事だしな。


「他に目覚める感じは?」

「今はしないです」

「なるほど」

 で、恐らくだが今後、色々な経験を積めば、シアは新しい魔法を使えるようになるのではないかと思う。

 今は、と言っているという事はそう言う事だろうしな。

 うん、楽しみだ。


「それよりもマスター」

「ん?」

「私の事はいいとして、今日はこれからどうするんですか?」

「ああ、その話か」

 と、ここでシアからこれからどうするのかを尋ねる言葉が出てくる。

 うーん、これからどうするかかぁ……まあ、一応予定はあるな。


「双角の主を探そうとは思ってる」

「双角の主……以前届いたメッセージに書かれていた名前ですね」

「そうそう」

 俺はメッセージボックスから、差出人不明のメッセージを選択し、それをシアにも見えるようにした上で展開する。

 で、改めて見てみるが、メッセージの内容は……


 『汝、賢者の石を欲する者よ。賢者の石を求めるならば、双角登り、千変万化する迷宮を抜け、碧玉の板に潜む双角の主を下し、汝が技を以って胴への鍵を手にせよ。胴の中心、かつて栄華を極めし都に汝が欲する者の手掛かりはある』


 である。


「これって結局どういうメッセージだったんですか?」

「んー、簡単にまとめてしまうなら、ゲームをクリアしたければ、双角の主を倒して胴の中心に来いって話だな」

「具体的には?」

 俺はメッセージボックスの隣にこの世界全体を表した地図を表示する。


「まず双角ってのは、ヒタイ、ハナサキ、両目の位置から考えるとこの辺りにあると思う」

 まず双角と呼ばれる場所は、ヒタイの北東と南東だ。

 探索班の話によればこの辺りには無数の山があり、しかも敵のレベルも採取できる素材もヒタイ周囲より一段階上であるらしい。


「千変万化する迷宮は自動生成ダンジョンの事でいいとして、碧玉の板はアルカナボスのモノリスみたいなものかな」

「ふむふむ」

「で、汝の技を以ってだから、たぶんボスが素材を落として、それから鍵を作るんだろう」

「なるほど」

 ついでに言えば、南北の双角が有るであろうエリアの間を繋いだ線は、例の見えない障壁の位置とほぼ一致する。

 何かしらの関係がある事は間違いないだろう。


「で、胴ってのは……まあ、ヒタイの東に橋があるって話だから、別の土地になるんだろうな」

「考えられているんですねぇ」

 これは掲示板情報だが、ヒタイの東には首架け橋と言われる場所があるらしい。

 そう、橋だ。

 下が海である事を考えると、ここから先は全くの別のエリアと考えるべきなのだろう。

 そんなわけで、掲示板では敢えて仮称するならば、ヒタイが在る方をトウの地、橋の先をドウの地と呼ぶべきだろうという話になっている。

 うん、何となくだが本当の名前もトウの地とドウの地な気がする。

 ヒタイのハナサキだしな。

 ま、この話はこれぐらいにしておこう。


「ま、そう言うわけだから、今日はこれから東門を出て、北に向かう」

「北の角を探すんですね」

「ああ、まずは様子見になるだろうけど、場所ぐらいは分かっておきたいからな。じゃ、準備が出来次第出発するぞ」

「はい」

 こうして俺とシアは準備を整えると、東の大門から外に出たのだった。

10/01誤字訂正

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