125:27-9
「さて、どうするかな」
俺は錬金鍋の前で腕を組んで軽く悩む。
「……」
防具を作成することは確定。
そしてその防具は俺が今装備している防具を基に作る事も確定。
問題はどの部位を使うかだが……頭防具である『狂戦士の鬼人の王』の仮面は別に改良しなくてもいいかもな。
防御力も低くないし、普通の錬金術では特性の枠は二つまでだから、バーサークかノイズのどちらかが消えることになってしまう。
逆に残りの三部位は……使ってしまってもいいか。
特性の枠は余っているし、特性:ソイルは現状だと少々使いどころが限られてしまう特性だが、まったくの無駄特性と言うわけでもないのだから。
「じゃ、そうしますかね」
と言うわけで、俺はまずバーサークイグアナシャツを装備から外し、画面の操作で錬金鍋へと入れる。
そして、ソイルバイソンの毛皮も投入する。
操作は変形、魔力の充填は十分。
打ちこみは……
『fOnhanasHiha 2oi60HachiLei6nI sHippitu sAreteorimaSu meTa? anGoudesucala』
まあ、問題なさそうだな。
そんなわけで慎重に、そして順調に打ちこむ。
「よし出来た」
そうして出来上がったのがこれである。
△△△△△
ソイルバイソンシャツ
レア度:2
種別:防具-胴
防御力:55
耐久度:100/100
特性:バーサーク(猛り狂う者に祝福を)
ソイル(地属性の力を宿している)
主にソイルバイソンの毛皮で造られたシャツ。
各部位に補強が施されており、着心地と防御力を両立させている。
▽▽▽▽▽
「さて、どんどん作りますかね」
一つ無事に造り上げた俺は、そのまま次の装備を作り始める。
バーサークイグアナズボンとソイルホースの蹄鉄を。
バーサークゴレムアームとソイルホースの毛皮を。
連続で造り上げて、新たな装備を生み出す。
△△△△△
ソイルホースズボン
レア度:2
種別:防具-脚
防御力:55
耐久度:100/100
特性:バーサーク(猛り狂う者に祝福を)
ソイル(地属性の力を宿している)
バーサークイグアナの皮で造られたズボンに、様々な補強を施したズボン。
ソイルホースの蹄鉄の形をした装飾が特徴的。
▽▽▽▽▽
△△△△△
ソイルホースアーム
レア度:2
種別:防具-腕
防御力:55
耐久度:100/100
特性:バーサーク(猛り狂う者に祝福を)
ソイル(地属性の力を宿している)
主にソイルホースの毛皮で造られた籠手。
石の補強が大地の力を感じさせる。
▽▽▽▽▽
「よし、出来た」
【ゾッタの錬金レベルが15に上昇した。錬金ステータスの中から上げたい項目を一つ選んでください】
俺は造り上げた装備を身に付けると同時に、ステータスを操作。
素材類を15に上げる。
△△△△△
ゾッタ レベル11/15
戦闘ステータス
肉体-生命力16・攻撃力10・防御力10・持久力9・瞬発力10・体幹力10
精神-魔法力10・撃魔力10・抗魔力7・回復力20+3・感知力10・精神力11
錬金ステータス
属性-火属性10・水属性10・風属性10+1・地属性10+6・光属性7・闇属性10
分類-武器類13・防具類13・装飾品13・助道具13・撃道具13・素材類15
▽▽▽▽▽
△△△△△
ゾッタ レベル11/15
総攻撃力405
総防御力215
右手:バーサークゴレムタバルジン(特性バーサーク)
左手:棘刀・隠燕尾(回復力+1・毒付与・特性ハイド・ノイズ)
頭:『狂戦士の鬼人の王』の仮面(回復力+1・特性バーサーク・ノイズ)
胴:ソイルバイソンシャツ(特性バーサーク・ソイル)
腕:ソイルホースアーム(特性バーサーク・ソイル)
脚:ソイルホースズボン(特性バーサーク・ソイル)
装飾品1:プレンウッドリング(回復力+1)
装飾品2:ノイズシムンレインコート(風属性+1・特性ノイズ)
▽▽▽▽▽
「ん?」
で、ステータスを見て気づく。
地属性が妙な上がり方をしている。
今までの流れで行けば、地属性は+6ではなく+3のはず。
なのにステータスは間違いなく6も上がっている。
「んー……」
俺は試しにソイルホースアームを外してみる。
すると地属性の上昇量が+4になる。
これは……どういう事だ?
とりあえず一部位ごとに特性:ソイルの効果によって2ずつ上昇している事は確かだが、どうして突然こうなった?
「ふうむ……」
俺は掲示板の方を少し確認してみる。
すると、特性についての検証を行っているスレに、特性によるステータスの変化や効果量は元にした素材のレア度ではなく、特性が付いているアイテムのレア度に依存しているという検証結果が載っていた。
うん、なるほど、納得だ。
防具のレア度が2に上がった。
だから、特性:ソイルも強化された。
実に分かり易い話だ。
「しかしこうなると優先すべきことが分かるな」
そしてだ。
そんな仕様であるならば、装備品のレア度については出来るだけ早く上げるべきだな。
なにせレア度が上がればそれだけで特性が強化される。
それはそのまま戦闘能力の強化に繋がる。
そうすれば、攻略も捗る事になるだろう。
「うん、まずは装備のレア度:2化だな」
これはもう明日以降の予定は決まったと言っていい。
「うーん……」
「……」
尤も、まずはシアの悩みを解決することが優先なので、予定が決まったと言っても簡単に変動する予定だが。
「シア、こっちは終わったけど、そっちは大丈夫か?」
「マスター。うーん、微妙ですね。グルグルと言うよりモヤモヤに近づいた感じですが」
と言うわけで、早速話を聞いてみるが……やはり芳しくはないらしい。
それでもグルグルからモヤモヤに変わったのだから、多少は具体像が見えて来ているのかもしれない。
「そうか。まあ、こういう話はゆっくりとじっくりとだな」
「そうですね。やっぱりそうするしかなさそうです」
うん、時間がかかるなら、素直に待つべきだ。
急いては事をし損じるとも言うし、待った方が上手くいくことだってあるのだから。
「じゃ、俺は休むから、シアも適当なところで休むようにな」
「はい、そうしますね」
そうして今日はもう休むことにし、シアも俺に続いて休み始めた。