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AIOライト  作者: 栗木下
3章:右角山
120/621

120:27-4-D3

【AIOライト 27日目 10:46 (4/6・雨) 『地力満ちた森の城』】


「さて、この部屋は……おっ」

 ソイルバイソンを無事に仕留めた俺たちは『地力満ちた森の城』の探索を続けていた。

 で、幾つかあった小部屋を覗いては何も無い事を確かめていたのだが、どうやら次の部屋は違うようだった。


「採取ポイント有りみたいだな。入るぞ」

「「「おー」」」

 トロヘルが扉を開け、罠や待ち伏せの類がない事を確かめた上で部屋の中に入る。

 そして俺たちもトロヘルに続く形で部屋の中に入り、部屋の外をモンスターが徘徊していてもいいように扉を一応閉めておく。


「この部屋は……武器庫か?」

「正確に言えば矢玉倉庫ってところだな」

「となると採取品はあんまり期待できないか」

「矢玉はスペース取るもんなぁ」

 部屋の中には矢の束や投槍、銃の弾丸などが積み上げられており、石と木を組み合わせて作られた床の上にはそれらの矢玉を収めていたであろう木箱の破片が散乱していた。

 そして部屋の中心には採取ポイントが輝いている。

 採取ポイントで採れるアイテムは、採取ポイント周囲の状況によってだいたい察する事が出来る。

 加えて此処は城のダンジョン。

 聞くところによれば城のダンジョンは採取ポイントで採れるアイテムの種類が部屋の状況によってほぼ確定しているとの事だった。

 つまり、この部屋で採れるのは矢玉か投擲用のアイテムと言う事になるのだろう。


「それでも回収はしましょう」

「そうだな。例え錬金に使えなくても売れば金になる」

「持ちきれなければ、捨ててしまうのも手ですしね」

 まあ、とにもかくにもまずは採取をしてしまうべきである。

 と言うわけで、部屋の中にある城壁から落としたり、投石機に乗せたりするのに使えそうな岩が転がって来ないように念のために注意をしつつ、俺たちは順番に採取を行っていく。

 で、その結果として俺はこんな物を採取した。



△△△△△

ソイルロックダガー

レア度:2

種別:道具-投擲

攻撃力:200

耐久度:100/100

特性:ソイル(地属性の力を宿している)


石の刃を持った投擲用の短剣。

切れ味はそれほど良くないが、重量と尖った切っ先は正しく投げれば十分に殺傷能力を発揮できる。

※同名・同レア度・同攻撃力・同特性ならば、99本まで一枠で所有可能。

※使い捨て

▽▽▽▽▽



「ふむ……」

 インベントリに表示されている名前はソイルロックダガー×10。

 どうやら事前の情報通り、札、投擲、矢玉と言った一つ一つはかさばらないが、戦闘で使うならば数が欲しいアイテムについては、条件付きで一枠での複数所持が可能であるらしい。

 尤も、同名・同レア度・同攻撃力・同特性という条件を考えると、ギルドショップの登録機能を使わなければ数を揃えるのはかなり厳しいという掲示板の話にも納得である。

 少なくとも自分は集めたいとは思えない。

 で、これらのアイテムには錬金の際にちょっと変わった仕様があるのだが、それはさておいてだ。


「シアの方はどうだ?」

「ソイルスチールバレットが10ですね。たぶん、売るか、鋳融かして素材にするしかないと思います」

「そうか」

 まずはシアの採取したアイテムを確認。

 が、使い道は無さそうだ。

 俺とシアもそうだが、このパーティには矢玉を使う人間は居ないしな。


「他の皆も……似たような物か」

「まあ、投擲アイテムならギリギリ使えなくはないけどな」

「当たらなくても牽制ぐらいにはなるしな」

 投擲アイテムか。

 種別:道具-投擲のアイテムは、装備は出来ず、アイテムとして出し、投げる事でしかダメージを与えられないようになっているんだったかな。

 だから、投げる際に両手の装備品を外す必要はない。

 が、使い捨てと書かれてある通り、基本的に回収は不可能。

 装備品を投げて使う場合との一番の差はそこかな。

 まあ、装備品を投げて使うのは、耐久度の大幅減と一発ロストの可能性すら含む博打でもあるんだけどな。

 この間掲示板で知って、密かに慄いたのは俺だけの秘密だ。


「ま、アイテムの交換は各々後で適当にやってくれ。使える使えないは個人差が大きいしな」

「ういっす」

「了解」

「じゃ、そろそろ探索を再開するぞ」

 何はともあれ採取は終わったという事で、俺たちは探索を再開。

 通路に出て、ダンジョンの奥に向かって移動を始めた。



----------



【AIOライト 27日目 12:02 (4/6・雨) 『地力満ちた森の城』】



「さて、此処なら大丈夫か」

 戦う事3戦、アイテムを採取すること4回。

 俺たちは周囲にモンスターが居ない場所で、一時的な休憩を取っていた。


「ふぅ、疲れた疲れた」

「突撃系はやっぱり面倒だわ」

 ここまでに倒したモンスターの名前は最初のソイルバイソンの他、ソイルボア、ソイルシープ、ソイルチキンと、どれも何だか肉が美味しそうなモンスターだったが、剥ぎ取れた肉はソイルバイソンの物だけであり、後は毛皮と羽だった。

 まあ、装備を整える事を考えたら、そちらの方がありがたい。

 なお、どいつも攻撃に地属性が付いているようで、その結果として物理だけの普通のモンスターよりも少し火力が高めになっているようだった。


「城の採取はやっぱりあまり楽しくないわね」

「まあ、ドキドキ感は足りないな」

 採取については武器庫から壊れた装備品を三つ、食料庫から地力満ちた小麦粉を回収出来ている。

 ソイルロックダガーと合わせて考えれば、まずまずというところか。


「じゃ、時間も良いし、この辺りで昼飯にするぞ」

「シア、折角だから」

「そうですね。別の種類のが手に入っていますし、そうしましょうか」

 インベントリの枠はまだまだ空いている。

 なので、午後もこのまま探索することになるだろう。

 そう言うわけで、シアにはちょっと変わった料理を作ってもらう事にした。

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