118:27-2-D1
【AIOライト 27日目 10:03 (4/6・雨) 南の森林】
「さて、見つかったな」
「ですね」
レア度:2のリジェネウッドボックスを四つ造ってからしばらく。
俺とシアは目的にとって都合の良さそうな自動生成ダンジョンを見つけていた。
【『地力満ちた森の城』 レア度:2 階層:5 残り時間43:56:22】
「地力満ちた……ソイルか」
「そうなりますね」
ダンジョン名は『地力満ちた森の城』
地力満ちたは特性:ソイルの事。
森と城についてはそこまで気にしなくても大丈夫だろう。
階層が5となると……攻略は時間的にも実力的にも厳しいな。
素材を回収するだけなら何の問題もないが。
「じゃ、入って……」
俺は白磁の扉に近づき、手をかざそうとする。
「おっ、ゾッタか」
「本当だ」
「おーい、ゾッタ」
「ん?」
が、その前に俺の名前を呼ぶ声がしたので、そちらの方を向いてみる。
「お前ら、どうしてここに?」
「まあ、お前と同じだよ。レベル上げと装備の強化を兼ねた自動生成ダンジョン探しだ」
そこに居たのはトロヘル、マンダリン、クリームブランの三人。
三人の近くには、三人のホムンクルスであるヘジャ、ウンシュウ、レチノールも居る。
「マイナス特性装備は流石にもう使えないしな」
「でもレア度:1の装備ももう厳しい。厄介な話だよなぁ」
「なるほど」
どうやら三人も俺たちと同じ状態にあるらしい。
そう言う事なら……うん、一緒に行くべきだな。
装備の更新を考えるなら、かなりの数の素材が必要になるし、その数の素材を集めようと思うなら、パーティプレイで効率よく敵を倒した方がいい。
アライアンスと違ってパーティなら、例のオカルトによる獲れるものが悪くなると言う事も無いだろうしな。
「もう見たと思うけど、そう言う事ならパーティを組んで……」
「そのパーティ、私たちも組ませてもらってよいでしょうか?」
「やあ、こんにちは。ゾッタ君」
「……」
そうして話していると、更に人がやってくる。
今度はグランギニョルとブルカノさんだ。
目的は……たぶん一緒だろうな。
確認は取るが。
「グランギニョル、レア度:2のダンジョンだぞ」
「そうみたいですね。ですが、好都合です。私たちもそろそろ装備のランクアップを望むところでしたから」
「そうか」
やはり目的は一緒か。
で、グランギニョルとブルカノさんを加えるかは……トロヘルたち次第ではあるが、有りだな。
これでちょうどプレイヤー六人だし、二人は魔法攻撃型だ。
仮にソイルパンプキンなんてものが出て来ても対応できる可能性がある。
「トロヘル、もしよければなんだが、グランギニョルたちとも組んでいいか?」
「俺たちは別に構わないぞ。装備からして俺たちとはビルドもだいぶ違っていて、いい感じに穴を埋められるだろうし、目的も合致しているからな」
「大歓迎です!」
「ありがたやーありがたやー」
「……。通報が出ない程度なのね」
「言動よりも紳士的と言う事か」
「あはははは……なんにせよ、ギニョルと一緒に行けるのは嬉しいです」
と言うわけでトロヘルをパーティリーダーとして、俺、マンダリン、クリームブラン、グランギニョル、ブルカノさんの六人でパーティを組む。
なお、剥ぎ取り及び採取のアイテムについては、いつものように取得した人間がそのまま持っていくスタイルであり、詮索は厳禁である。
そして、ブルカノさんとグランギニョルの二人には、FFの危険があるので、今の内に全員の戦闘スタイルについてある程度すり合わせておく。
ぶっちゃけ、抗魔力なんて前衛の誰も上げていないだろうし、俺のように捨てている可能性すらあるからな。
こういうのは大切だ。
「ようし、それじゃあ突入するぞ」
「「「応っ!」」」
「はい」
「分かりました」
「分かった」
「ピュイ!」
そして微妙に合わない掛け声とヘジャの鳴き声と共に、俺たちは『地力満ちた森の城』に突入した。
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【AIOライト 27日目 10:15 (4/6・雨) 『地力満ちた森の城』】
「極々普通のダンジョン……って感じだな」
「そうだな、取り立てて妙な所はない感じだ」
『地力満ちた森の城』の最初の部屋は、木と石を組み合わせて作られた壁に極々普通の木製の扉が付けられている特徴らしい特徴のない部屋だった。
「特性:ソイルが付いているとダンジョンに何か変化があるのか?」
「あー、掲示板で話を聞く限りじゃ、その特性に合わせた何かが追加されるって話だが……詳しくは俺も知らねえな」
一応、入り口である白磁の扉の裏側にも回ってみるが、やはり何も無い。
トロヘルの話通りなら特性:ソイルの影響で、土や岩などがあってもおかしくはないはずなのだが。
「とりあえず奥へ行ってみよう。話はそれからだ」
疑問を覚えつつも、トロヘルの先導で俺たちは扉を開けて、通路へと出る。
「あ、確かにソイルですね」
「ソイルと言うよりロックの方が正しいと思いますけどね」
「まあ、こういうのが分かり易くていいんじゃないか」
そして、特性:ソイルがきちんと働いている事を確認する。
「とりあえず迂闊には近づかない方がいいな」
「だな」
人間四人が横一列になって歩ける程度の広さを持つ通路には高さ2メートル近い岩が置かれていた。
しかも、形状は両端が尖った六角柱で、下の方は幾らかの盛り土によってのみ支えられているという不安定な状態で。
何かしらの衝撃が加われば倒れることは想像に難くなく、押し潰されればどうなるのかと言う想像はもっと簡単だった。
なので俺たちは、岩には出来る限り近づかずに進むことを決めた。
皆でレベル上げ回