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AIOライト  作者: 栗木下
3章:右角山
117/621

117:27-1

【AIOライト 27日目 07:35 (4/6・雨) 南の森林】


「今日と明日は雨でしたっけ」

「ああそうだ。今日は7付きで、明日は7の倍数だからな」

 携帯錬金炉を作成した翌日。

 俺とシアは素材集めの為に南の森林へとやって来ていた。


「あ、マスター。扉が有りますよ」

「どれどれっと」

 と言うわけで、採取ポイントで普通の丸太を回収しつつ、自動生成ダンジョンを見つけては、状態を確認している。


【『愚かな火山の船』 レア度:1 階層:3 残り時間23:32:11】

「んー、パスだな」

「レア度:1じゃ駄目ですね」

 尤も、自動生成ダンジョンであれば何でもいいと言うわけではない。

 まずはレア度の問題で、掲示板情報と今までの経験から、レア度:2の素材を入手するためには自動生成のダンジョンもレア度:2以上でなければいけない事が分かっている。

 だが、レア度:3以上のダンジョンは、今の俺とシアでは一回戦う事も出来ない。

 そのため、探すのはレア度:2のダンジョンとなっている。


「それもあるが、特性:フールはちょっとなぁ」

「ああ、そっちの問題もありましたね」

 そして次に特性の問題。

 現在、『AIOライト』で存在を確認されている特性は100種類を超えるが、その中には俗にマイナス特性と言われるような特性が存在している事が分かっている。

 具体的に言えば愚かなことフール、貧しいことプア、手加減ことオロワンス、呑気ことレイシュアなどだ。

 これらの特性は全く使い道がないわけではないが、基本的にはマイナスの特性であり、装備品や消費アイテムに付いているとデメリットを生じることが分かっている。

 そのため、レア度:2のダンジョンがあっても特性次第ではパスすることになっている。


「まあ、レア度:1のダンジョンを攻略して、二体目のホムンクルス作成を優先しても良いんだけどな」

「荷物持ち用でしたっけ」

「ああ、と言ってもあまり気乗りはしないんだけどな」

「マスターって我儘ですよねぇ」

「まあ、それは認める」

 勿論、俺とシアの装備更新よりも二体目のホムンクルス作成を優先する手もある。

 二体目のホムンクルスを造れば、戦力の向上は勿論の事、持てる荷物の量が大きく増える事は間違いないからだ。

 だがそれは……うん、何となくだけど嫌だ。

 シアを造り出した身として、二体目のホムンクルスを作成するにしても手を抜こうとは思えない。

 仮に繋ぎの使い捨てにするとしてもだ。

 ホムンクルスを作るならば全力で、それが俺の思いだった。


「あ、言っておくけど、仮に造るとしても魔物型の中から、亜人以外の何かだぞ」

「いや、別にそこは気にしませんけど」

「気にしないの?」

「気にしませんね」

「……」

 なお、作るならば犬型や鳥形と言った人型ではないホムンクルスである。

 シアが居るのに他に人型を作るのは、浮気のように感じるからだ。

 シアにはどうでもいいと言われてしまったが。


「それよりもマスター、普通の丸太の数はどうなんですか?」

 さて、今回俺たちが南の森林に来ているのは、慣れ親しんでいるから自動生成ダンジョンを探しやすいというだけではない。

 素材集めに関連して普通の丸太を集める必要があったからだ。


「ん?ああ、そうだったな。普通の丸太は……ああ、もう八個だ」

「じゃあ、造ってしまいましょう」

「ん、そうだな」

 と言うわけで、いつの間にか普通の丸太が集めっていたので、俺は周囲にモンスターが居ない事を確認すると、その場で膝を着く。

 そしてインベントリから携帯錬金炉を展開する。


「えーと、普通の丸太を二つ選んでっと」

 携帯錬金炉の使い勝手は悪くない。

 錬金術師(アルケミスト)ギルドの部屋に置かれている錬金鍋と比べた場合のデメリットは、魔力を注ぎ込む効率が少し悪い事と、使用するたびに耐久値を消費するので、時折修理が必要なぐらいぐらいか。

 尤も、普段は無視できる程度の効率の悪さと耐久値の減りだが。


「リジェネウッドボックスを作りまして……」

「勝手に付くんでしたっけ」

「そうそう」

 他に差を上げるならば、プレン同士で錬金した場合に、勝手に特性:リジェネが付いてしまう点か。

 これは昨日の内に試しに携帯錬金炉でプレンメディパウダーを造ろうとしていて判明した事であり、どうやら、携帯錬金炉に特性が付いていると、その影響が錬金結果にも出てしまうようだった。

 まあ、これはマイナス特性が携帯錬金炉に付いていなければ何の問題もない点であるし、マイナス特性が付いていても、プレン以外の特性が付くように錬金すれば防げる影響でしかないが。


「で、出来上がったリジェネウッドボックス二つを合わせてっと」

 で、今の俺がしているのはレア度:2のリジェネウッドボックスの作成である。

 レシピとしては普通の丸太×2→リジェネウッドボックス(レア度:1)で、そこからリジェネウッドボックス(レア度:1)×2→リジェネウッドボックス(レア度:2)と言う事になる。


「よし、出来上がり」

 さて、そうこうしている内に出来上がったのがこれである。



△△△△△

リジェネウッドボックス

レア度:2

種別:容器

容量:5(種別:素材限定)

耐久度:100/100

特性:リジェネ(回復力を強化する)


普通の木で出来た箱。

密閉性が低いので気体や液体は入れられないが、固形物ならば入れられる。

容器の中に入っている物は容器含めて一つの物として扱われる。

なお、種別:容器のアイテムは錬金レベル/10(小数点以下切り上げ)の個数しか持てない。

▽▽▽▽▽



「容量が1増えただけかぁ……」

 レア度:2になった影響は容量が増えただけか。

 特性:リジェネの効果については……今後見極めるしかないな。


「でも、私とマスターで合わせて四個持てますから、素材集めはこれで一気に楽になりますよ」

「まあ、そうだな。じゃ、これはシアが持っていてくれ」

「はい」

 だが、レベルが上がって俺が容器を二個持てるようになり、シアもいつの間にか二個持てるようになっているので、シアの言うとおり、素材集めは各段に楽になるだろう。

 要らないアイテムの処分も携帯錬金炉で出来るしな。


「じゃ、後は良さそうな自動生成ダンジョンを見つけるだけか」

「ですね。頑張りましょう」

 そうしてリジェネウッドボックスを作り終った俺は、シアと一緒に再び森の中を歩き始めたのだった。

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