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AIOライト  作者: 栗木下
2章:漁村ハナサキ
115/621

115:26-2

「回復を早めます『癒しをもたらせ』」

「ありがとうな、シア」

 普通の空の器を造り出したところで、俺は錬金鍋から一度離れて休憩を始める。

 と言うのも、携帯錬金炉の素材の片割れである普通の空の器の錬金に最大MPの半分を消費した以上、もう一つの素材、泉の錬金についても同程度のMPを消費する可能性は高いからだ。


「次の錬金は……」

「最低でもMPが70%を超えてからだな。でないと足りない可能性がある」

「じゃあ、少し休憩ですね」

「だな」

 そう言う訳なので、暫くは休憩。

 俺は畳のエリアで横になろうとする。


「ん?」

「どうせやる事もありませんから」

「えーと……」

 が、身体を倒し切る前に、畳と俺の頭の間にシアの太ももが入ってくる。

 これはえーと……いいのだろうか?


「心配しなくても、いつもお世話になっているお礼です」

 どちらかと言えば世話になっているのは俺の方だと思うんだけどな……。

 戦闘だと俺は敵に突っ込んで殴るだけだし。

 錬金だと装備品と消費アイテムを作るぐらいで、モチベーション維持で一番大切な食料はシア頼みだし。

 それ以外でもシアの方が色々とやってくれている気がするんだけどなぁ。


「一応言っておきますけど、これは私が勝手にやっている事ですので、お構いなく」

「ああうん、分かった」

 だが、そんな事を考えているのが顔に出ていたのだろう。

 シアに機先を制されて、何も言えなくなってしまった。

 まあ、こうなってしまった以上はしっかりと休んでMPを回復するしかない。

 この柔らかい太ももの感触を相手にして、休息状態に入れるかと言われたら、疑問が残るところではあるが。


----------


【AIOライト 26日目 08:42 (5/6・晴れ) 始まりの街・ヒタイ】


「無事回復っと」

「全快ですね」

「ああ、これで心置きなく錬金できる」

 おおよそ二時間後。

 無事に俺のMPバーは全快した。

 全快したが……うん、やっぱり心臓に悪いんだな。

 なんか回復のスピードが遅かった気がする。

 単純に幸せすぎて主観時間が伸びていただけの気もするが。


「じゃ、始める」

「はい」

 まあ、全快には変わりない。

 と言うわけで、俺は再び錬金鍋の前に立つ。


「よっと」

 俺は半透明のウィンドウを操作し、普通のガンカ湖の水と回復力溢れる種子を錬金鍋の中に投入する。


「大丈夫そうですか?」

「ああ、問題ない」

 操作の選択は空の器の時と同様に存在しないので、俺は魔力を注ぎ込む。

 消費したMPは……多いな、半分どころか70%近く持っていかれている。

 これは全快まで待って正解だったか。


「でもどうしてこんなに消費が?」

「うーんまあ、たぶん種子のせいだろうな」

「なるほど」

 消費が多くなった原因は……きっと、回復力溢れる種子だろうな。

 特性が付いている分だけ、消費も重くなったんだろう。


「じゃ、最後の打ち込みだな」

「ですね。少し黙ってます」

 さて、最後のキーボードの打ち込みである。


『t0kIhacuruwaz nAGalenonacani iRukag1ri t0KihaMidaler naGAlenoSot0nI 1lunarava YueniyuGamu OmosaniY0ttE』

「いやはや、相変わらず長い」

 長いが……慎重に進めればいけるな。

 尤も、慎重すぎても失敗しそうな気配があるのが怖いところだが。


「よし」

 いずれにしても打ちこみは終わった。

 そして反応が始まり……何かが出来上がる。



△△△△△

回復力溢れる(とき)の雫

レア度:2

種別:素材

耐久度:100/100

特性:リジェネ(回復力を強化する)


青い左目の涙を元にして生み出された雫。

数多の魔と世界に繋がっていた雫の中では時間の流れが捻じ曲がっているという。

だがこれだけではさほど意味はない。

そのため、種別は他の何でもなく素材となっている。

▽▽▽▽▽



「特性:リジェネ付きか」

「きっと携帯錬金炉にも付いてきますよね」

「だろうな」

 出来上がったアイテムの名は回復力溢れる刻の雫。

 これと先程作った普通の空の器と合わせる事で携帯錬金炉が出来上がる事になるのか。

 しかし、この時点で特性:リジェネが付いているとなると携帯錬金炉にも特性:リジェネは付くと考えていいだろう。

 そうなると携帯錬金炉に何かしらの影響が出ることになるはずだが……まあ、今考えても無駄か。

 まずはこの次が成功してからだ。


【ゾッタの錬金レベルが14に上昇した。錬金ステータスの中から上げたい項目を一つ選んでください】

「と、レベルアップか」

 と、ここで錬金レベルが上昇する。

 なので俺は素材類を1上昇させて14にする。

 もしかしたら、この後の錬金にいい影響が出るかもしれないからだ。



△△△△△

ゾッタ レベル10/14


戦闘ステータス

肉体-生命力15・攻撃力10・防御力10・持久力9・瞬発力10・体幹力10

精神-魔法力10・撃魔力10・抗魔力7・回復力20+3・感知力10・精神力11


錬金ステータス

属性-火属性10・水属性10・風属性10+1・地属性10・光属性7・闇属性10

分類-武器類13・防具類13・装飾品13・助道具13・撃道具13・素材類14

▽▽▽▽▽



「じゃあまた休憩ですね」

「そうだな。さっきの消費から考えると、また全快まで待った方が良さそうだ」

 と言うわけで再びの休憩タイムである。


「膝枕は……」

「……。惹かれるけどしなくていいです。緊張しちゃって休憩どころじゃないんで」

「そうですか……」

 が、膝枕はしないでおいてもらう。

 色々と反応しちゃって本当に休むどころじゃないし。

 少し悲しそうにしているシアも可愛いけど、今回は駄目。

 心を強く保たないとー……煩悩退散!

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