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AIOライト  作者: 栗木下
2章:漁村ハナサキ
114/621

114:26-1

【AIOライト 26日目 06:15 (5/6・晴れ) 始まりの街・ヒタイ】


「これでよし、と」

「ありがとうございます。マスター」

 翌日。

 携帯錬金炉の作成を始める前に、俺はギルドショップに回復力溢れる薬草と回復力溢れる木の実を登録した。

 前者は俺が装備の強化に使うため、後者はシアの求めに応じる形である。


「あー、最低値になるのは三日後だから、そこは勘弁な」

「分かっているから大丈夫です」

 なお、流石に登録直後は高いので、ちょっと買うのは躊躇う。

 まあ、ハイドライの棘なんかに比べればかなり安いし、特性:リジェネ付きの食事を食べれば一時的に回復力を上げる効果がある事を考えれば、妥当な値段ではあるのだろうけど。

 うんでも、効果以上にこの木の実を使ってシアがどんな料理を作ってくれるか、その味はどうなのか、そちらの方が圧倒的に気になるな。


「じゃ、登録も終わった事だし、始めるか」

「はい、そうですね」

 いずれにしてもこれで無事に登録は終わった。

 と言うわけで、俺とシアは自室に戻ると、携帯錬金炉作成の準備を始めるのだった。



----------



「さて、素材はこれで良さそうだな」

 俺の前には四つのアイテムが置かれている。

 普通の赤い沼の泥。

 普通の白い潮の花。

 普通のガンカ湖の水。


「ヒント通りなら、まずは普通の赤い沼の泥と普通の白い潮の花で錬金を行って器を、普通のガンカ湖の水と何かで泉を造り出すんでしたっけ」

「ああ、そしてその二つを合わせることによって、携帯錬金炉は出来上がる」

 そして、回復力溢れる種子。

 うん、こうして四つの素材を目の前にすれば分かる。

 ヒントの限られし時に眠るものは自動生成ダンジョン産のアイテムと言う事だ。

 となれば、もう何も迷う必要はないな。


「じゃ、早速始めますかね」

「『癒しをもたらせ』は要りますか?」

「いや、今回はシステム頼りでやるから大丈夫だ」

 俺は軽く肩を回して錬金術に取り掛かろうとする。

 そしてそんな俺にシアは『癒しをもたらせ』が要るか聞いてくるが……うん、今回は要らないな。

 システムに頼って錬金術をする分には、ダメージを負う危険性はないはずだし。

 と言うわけで、その旨をシアに伝えたのだが……、


「え?マスターの事ですからてっきりまたやるのかと……」

 何故かキョトンとした顔でそう言われてしまった。


「いや、シア。俺は作りたいから作った結果がレア度:(プレイヤー)(メイド)なだけで、狙って作ったりは出来ないからな」

「その、繋がりのような物は?」

「今回は特に見えてはいないな。回復力溢れる種子が俺の目的に合致しているってのはなんとなく分かるけど」

「つまり、今回は……」

「作りません。システムも無視しません。よってシアを心配させる可能性は皆無です」

「ボソ……(マスターがそう言っても、正直信用できないんですけどね)」

 これは考えを正した方がいい。

 そう判断した俺は、今回はレア度:PMを作る気がないと胸を張って宣言する。

 実際、俺の実力じゃ無理矢理レア度:PMを造ろうと思っても造れないだろうしな。


「それにこの携帯錬金炉、どうにも掲示板の情報を見る限りじゃかなり特殊なアイテムみたいだからな。システムを逸脱して造ろうと思うなら、相当の覚悟がいると思う」

「覚悟……ですか」

「ああ、覚悟だ。それこそGM(ゲームマスター)に真っ向から喧嘩を売るぐらいのな」

「ボソ……(私を作ったマスターがそれを言うんですか?)」

 それと、携帯錬金炉は普通のアイテムと違って、プレイヤーが扱えるシステムそのものを大きく変えている感じがある。

 だからもしも携帯錬金炉をレア度:PMで造ろうと思うのなら、今後一切のシステム的補助を得られないぐらいの気持ちが必要だろう。

 まあ、シアを含め、色々なレア度:PMを許容しているあのGMなら、笑って受け流しそうな気もするが。


「ま、この話についてはこれぐらいしておいて、そろそろ作成に取り掛かるとしよう。シア、下がっていてくれ」

「あ、はい。分かりました」

 さて、雑談タイムはこれぐらいにしておくとして、そろそろやるべき事をやってしまおう。


「まずは器だな」

 俺は錬金鍋の前に立つと、表示された半透明のウィンドウを操作。

 普通の赤い沼の泥と普通の白い潮の花を錬金鍋の中に投入する。

 操作の設定は……必要ないのか。

 どうやら特殊な錬金と言う事で、操作については事前に規定されているらしい。


「じゃ、魔力を注ぎ込みましてっと」

 俺はウィンドウに示された通りに手を当て、魔力を注ぎ込む。

 注ぎ込んだ魔力の量は……全体の50%ぐらいか。

 かなり多いな。


「最後に打ちこみ……」

 俺は最後の打ち込みに備えて身構える。


『cu-KanhaYugamu FotongakiteisH1 glavitonGaYugmel HiggushugAH1thuyouda noNEkerevaEhaTakamali Anteish1naI』

「長い……が、行けるな」

 俺は慎重にキーボードを打ちこんでいく。

 そして打ちこみ終わると同時にいつもの反応が始まり……



△△△△△

普通の空の器

レア度:2

種別:素材

耐久度:100/100

特性:プレン(特別な効果を持たない)


潮の花と赤い泥を組み合わせて造り出された器。

だが中身のない器にそれほど価値はない。

そして丈夫ではあるが、中に入れられる物は限られている。

そのため、種別は容器ではなく素材となっている。

▽▽▽▽▽



 まずは一つ目のアイテムが出来上がった。

09/13誤字訂正

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