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AIOライト  作者: 栗木下
2章:漁村ハナサキ
105/621

105:22-1

本日は二話更新になります。

こちらは二話目です。

「これは無理ですね」

「無理だな」

 俺とシアはそう言うと、露店から離れる。

 うん、26万Gは無理。

 金策でどうこうできる額ではない。

 65,335Gも相当だが、その四倍とかどうしようもない。


「でも、26万もする水着ってどんなのなんでしょうね?」

「うーん、とりあえず質については相当良いと思う。値段が値段だし」

「でも、質よりも問題はデザインですよね」

「そうだな。デザインが駄目だと、質がどれだけ良くても微妙だろうしな」

 買える額の水着を探しつつ、俺とシアは先程の超高級水着セットについての会話をする。

 実際先程の水着の値段はとんでもない。

 だが何時かは買える額ではある。

 それを考えたら……うん、何時かは買ってみたい。

 まあ、仮にこれから先、他に何も買わなくても、買えるのは当分先の話だろうが。


「さあ賭けた!賭けた!」

「西に100G!」

「東に300G!」

「ふむ、プレイヤー同士の決闘に対する賭けか」

「やりますか?」

「まさか」

 そうして歩いていると、広場で複数のプレイヤーが大声を上げて何かしているのを見かける。

 どうやら、プレイヤー二人が決闘を行い、その結果に対して周りのプレイヤーたちがお金をかけているらしい。

 まあ、早い話が見世物だな。


「そんな金はないし興味もない」

「いえ、私はマスターが戦う側になるかな?と」

「それこそない。俺は戦闘狂でも決闘厨でもないからな」

「……」

「どうした?」

「いえ、何でもないです」

 何故かは分からないが、シアが微妙そうな表情をしている。

 俺は何もおかしなことは言っていないと思うのだが……。

 うーん、当然のことではあるが、時々シアの考えが分からないな。


「ん?あ……コホン、こんにちは、ゾッタさん、シアちゃん」

「ん?ゾッタ君にアンブロシア君か」

「こんにちは、グランギニョル、ブルカノさん」

「お久しぶりです。ギニョル、ブルカノさん」

 と、ここで俺はブルカノさんと少し服装の変わったグランギニョルの二人に出会う。

 直前に幾つもの露店を見ているような動作をしていた事からして、どうやら二人も水着を探している最中であるらしい。

 そしてグランギニョルの背後には、彼女のホムンクルスであろうシリコン製のマネキンの様な人形型のホムンクルスが立っていた。

 繋がりは……何となくだが、人形を操るような細い糸のような物が何本もある気がする。


「あ、こちらは私のホムンクルスであるパペット型ホムンクルス、アシスターです」

「……」

 グランギニョルがそう言うと、糸の様な繋がりが動き、アシスターと呼ばれたホムンクルスが一礼をする。

 これは……うん、俺とシアの関係とはほぼ真逆の関係。

 一切の自由意思を認めない完全な操り人形か。

 尤も、思い入れ云々で言えば、それなりの思い入れはありそうな気がするし、人間型でない事もあって嫌悪感のような物も感じない。


「グランギニョル、そいつはもしかしなくても……」

「まあ、覚えてもらわなくても大丈夫です。アシスターは私にとっては仮のホムンクルス。何時かはグレードアップして、全く別のホムンクルスにしますから」

「……。そうか」

 余計な口は出すな。

 グランギニョルの目はそう言っている。

 どうやら、グランギニョル自身が色々と納得いっていないらしい。


「それよりもシアちゃん、この服装、どう思いますか?」

「ギニョルにとても良く似合っていると思います。どうやって作ったんですか?」

 周囲の目を気にして明らかに猫を被った口調のグランギニョルがその場で一回転し、シアに自分の服装……ふくらみの入ったロングのスカートや、レースの付いた袖や胸元の生地を見せる。

 明らかに普通の装備ではない、特別な手が入った一品だった。


「ふふふ、最近『秩序の羊(アンヘル)』のプレイヤーの方で、装備品の外見だけを変える設計図と言うアイテムの錬金に成功した方が居るのです。この服装も、彼女の作品なんですよ」

「それは凄いですね。私も着てみたいです」

 装備の外見だけを変えるアイテム?

 と言う事はアレか、あの見た目でも性能自体はガチなのか。

 ふうむ、見た目にこだわりたいプレイヤーにとっては、下手なアイテムよりもよほど価値がありそうなアイテムではあるな。


「ふふふ、でしたらシアさんにプレイヤーの名前を教えておきますので……」

「大丈夫でしょうか?マスターはあまり見た目には……」

「大丈夫です。ゾッタさんは……」

「本当ですか?それなら……」

「それとボンピュクスさんですが……」

「そうなんですか?でも……」

 と言うか、本当にいつの間にこんなに仲良くなったんだというぐらい、グランギニョルとシアの仲が良くなっているな。

 本当にどうしてこんなに仲が良くなったんだ?


「それでは、御機嫌よう。シアちゃんなら絶対に大丈夫ですから。機会が有れば行ってみてくださいね」

「はい、必ず行きたいと思います。それではまた会いましょう」

 どうやら話は終わったらしい。

 露店を見ていたブルカノさんの下へとグランギニョルとアシスターが帰っていく。

 で、シアが設計図を売っているプレイヤーの場所を聞いたようだが……まあ、そちらは機会が有ればだな。

 求められたら全部の予定をすっ飛ばしていくだろうが。


「お待たせしました。マスター」

「別に構わないさ。じゃ、俺たちも……」

 だがそれでも求められたらだ。

 今日の本来の目的は水着であり、優先事項もそちらだ。

 と言うわけで、俺とシアは本来の目的を果たすべく再び歩き出そうとした。


「ゾッタぁ……」

「この裏切り者ぉ……」

「っつ!?」

 そしてその直後に不気味な気配を漂わせているマンダリンとクリームブランの二人に肩を掴まれた。

※一応、攻略活動中です

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