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目覚め

ふわふわとしたベッド

あたたかい部屋

しあわせそうな気配



そこで、私は目を覚ました

といっても、目を開けられた訳ではない。意識を取り戻したといった方が正しいだろう。

どうして目を開けられないんだ?というか、ここはどこだ?なんでこんな所に…と考えてみるが、わからない。思い出せないのだ


とりあえず、自分の状態に意識を向けてみよう。ベッドに寝かされて、誰かに覗き込まれてる…?何人かの視線を感じるが、どれも優しげで不快感はない。それどころか、何故か私も親しみを感じる

何処かで倒れてしまったのだろうか。この人たちは、介抱してくれる親切な方…?


『可愛い』

『私達の子』

『村のみんなの子』


突然、頭に声が響いた。子…?何のことだ?

と、何かが近づいてくるのを感じる。これは…腕?おずおずと、気遣わしげに伸ばされるそれにも、やはり嫌悪は感じない

……というか、私の感覚が正しければこの腕…私の何十倍も大きいぞ…!?


『新たなゴーレムの誕生に祝福を』


抱き上げられた腕の中は、ごつごつとした力強い感触だった。






こうして、私は華々しいゴーレムデビューを果たした。

そう、今の私は生まれたてのゴーレム…らしいのだが、私には違う自我がある。日本で働くしがないOLとしての自我だ。それが何故魔物!?赤ん坊!?いや、いつ死んだんだ私は!??


…などと、何度考えても仕方ない。生きている以上、重要なのはこれからだよね。切り替えていこう。ようやく目も開くことができたし…とりあえず辺りを見回してみる。

まず目に入るのは、天井まで土づくりの家。継ぎ目が見えないので、レンガなどではないのだろうけど…随分と堅そうだ。どうやって作ったんだろう

そして、ふかふかだと思っていたベッドは藁でできていた。ゴーレムの堅い体に比べれば、確かに綿のように柔らかい。これだけでベッドとしては十分だ。ゴーレムって安上がりだな


ころん


ふんふんと首を動かしている内にベッドから落ちてしまった。痛くはないがまだまだ赤ん坊の私では自由に歩けない。誰か助けてくれぇ

『あらあら』

床でうごうごしている内に、母さんが来て抱きかかえられた。ほっと一息ついてる間に、のっしのっしと歩いていく


『朝ごはんの時間よ』

ごはん…そうか、ゴーレムも食事するのか。この世界の食べ物ってなんだろうなぁ。おいしいかな。以前の私の唯一の趣味は、美味しいものを食べることだったのだ。期待に目が輝いてしまうのも仕方ない。

『さ、お食べ』

優しく差し出された手には、黒光りする鉱石が握られている

………お母さん。これは手抜き通り越して虐待じゃないですかね。こんな幼気な赤ん坊にどうやってそれを食べろと…わっ、押し付けてくる!やめて!ぐいぐいしないで!!体がくぼんでる!!石がはいってくるぅぅ!!

『上手に食べれたねぇ』

にこにこと、とても嬉しそうに微笑まれる。食べれた、といわれるが、食べたという感覚はない。

正確に言うと体に埋め込まれた。腹に石があるのを感じる。どういう体のつくりだ


『たくさん食べて、強くなるのよ』

あやすように揺られる。母さんに悪気はない様だ。ゴーレムの食べ方ってこんなんなの?味とか香りとかないの?このままでは私の食生活が灰色に…!

消化されてるのか、徐々に異物感がなくなっていく腹に意識を向ける。なんとか味が感じられないかな…塩とかだってもともと岩みたいなもんだし無味ってことはないと思うんだけど…

うんうん唸っている私を、母さんが不思議そうに見ている。


お…これは…!なめらか感触に、ほのかな甘み。ほんとうに少しだが、何となく味のようなものを感じた。かなり集中しないとだめだが、何度も練習すれば自然とできるようになるかもしれない。当分の目標にしよう。


無事味覚(?)を手に入れた私は、それが自分の運命を大きく変えるとは、まだ気づいていなかった。




それから数日後。

母さんに抱かれて村の中を見て回る。起きてから少し経った位なので、今は午前中だろうか?

……前の私なら、今頃スーツを着て走っていたはずなんだけどなぁ。どこかの商社で営業をしていた気がする。…気がする程度にしか思い出せない。

もっとも、ゴーレムとして生きていくことになった以上、思い出す必要もないのかもしれない。


『おや、かわいいな』

『それが噂の新たな子か』

二人組のゴーレムに声をかけられる。ゴーレムの価値観としては、村の仲間は全て家族らしい。今まで出会った人たちも、みんな我が子に接するように優しくしてくれた。


『これは将来、美人になるなぁ』

ニコニコとしながら頭を撫でられる。正直、ゴーレムの美的センスはまだいまいち分からない。

元人間としての感想を言わせてもらうなら、みんなごつごつしてる。とにかくごつごつしてる。…ただ、なんか思ってたより可愛い。モンスター図鑑にあったような凶悪な見た目ではなく、優しい顔をしている。体つきは全く可愛らしくはないけどね

『この子が、健やかに育ちますように』

『ありがとう。二人も、お仕事頑張ってね』

母さんに頭を下げてから、二人は山の方に向かっていった。

山の鉱山で採掘をしているらしい。まあ、力強いゴーレムにとってはさほど辛い作業ではないだろうし、食料集めも兼ねてるのかな

なんて考えていると、母さんが目を閉じながら呟いた


『魔王様のために』


……魔王までいるのか、この世界は…

前世と違いすぎる世界観に頭を抱えたくなりながら、私は唸った




魔物系主人公が好きすぎた結果

ここから姉さんで鍛冶屋で最強、というゴーレムを目指していきます(作者が)

読みやすい文章の練習もしたくて書き始めたので、文章や作品へのアドバイスがありましたらとても嬉しいです。

拙い文章ですが、ここまで読んでいただきありがとうございました!

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