第七層
ダンジョン生活四日目の朝が来た。ちなみに、時間はコアのレイナが把握しているらしく朝の8時になってもいびきかいて寝てたら、イモやんズをけしかけられた。。
「もう!いつまで寝ているつもりですか?時間を無駄ににしないでくださいよ。」
「悪い悪い。…でもさぁ。起こすのにイモやん使うのやめてくれよ。びびるから。」
本当に今朝はびっくりした。綺麗な美人のおっぱいに顔を挟まれてる幸せな夢をみていたのに。いつの間にかおっぱいがどんどんヌルヌルしてくるもんだから、目を開けると触手が顔に絡みついてんだから…心臓止まるかと思ったわ。
「は~い。朝、ちゃんと起きれたらやめてあげます。」
「……努力するよ。」
「じゃぁ、早速モンスター召喚していきましょう!」
「うぃ~っす。」
よし、さっさと終わらせて寝ますか。
そう思って重たい体をベッドからだし、足を地面につけるとむにゅっと足の裏から柔かい感触が伝わってきた。…ん?何だ?と疑問をもって下を向くと足の踏み場がないくらいびっしりとイモやんズが蠢いていた。
「…うぉぁ!キモッ!なんでこんなに増えてんだ?」
「いや~、ほっといたらねずみ講的な感じで増えていっちゃいまして…。通路に押し込んだ方がよかったですかね?」
「…今すぐそうしてくれ。あと魔木も通路に移しといてくれ。」
「了解しました。」
「…ていうか、魔木に魔力なんてあげてないぞ。どうやって葉を再生したんだ?」
「あ~、それはですね。マスターが魔力あげないから、わたしがダンジョンの魔力を分け与えました。」
「…なん…だと…。」
なんてこった。まさかレイナにそんなことができるとは…。キモイから魔木にわざと魔力与えず、少しずつ数を減らそうと思ったのに。我の完璧な計画が…。
「…まぁ、いいか。肉盾が増えるだけだし。」
「鬼畜だよ!マスター。」
「まぁまぁ、そんなことより!召喚できるモンスターってのはどんなのがいるんだ?」
まぁ、ここは無難にスライムとかだろ。そんでスライムを魔力の泉とかなんやらに入れて増やして、DPに還元してDPがっぽりとかそんな裏チートで…ウッヒョイ!やったぜ、これで俺も勝ち組だぜ!
「えっと、召喚可能モンスターはこの3体です。」
目の前にお馴染みのディスプレイが出てきて召喚可能なモンスターが表示される。
ー
召喚可能モンスター
1、
種族名:氷憑霊
属 性:氷、霊
ランク:3
能力値
HP:50/50
MP:50/50
STR(筋力):0
VIT(耐久):10
INT(知力):20
MIN(精神):50
AGI(俊敏):10
DEX(器用):10
LUK(幸運):0
所持スキル
・《憑依》 LV:1
アクティブスキル:相手に憑りつき、操ることやHPを吸収することが出来る。
消費MP:50
・《雪衣》
パッシブスキル:触れた相手や憑りついた相手に【凍瘡】(しもやけ程度)の状態異常を、時間経過によって【凍傷】の状態異常を与える。
備考:青白く光る人魂。相手に憑りつくことが出来るが宿主よりMIN(精神)が低い場合は抵抗される可能性が高くなる。弱点属性は火、光、聖。消費DPは100DP。
2、
種族名:骨人
属 性:不死
ランク:1
能力値
HP:50/50
MP:0/0
STR(筋力):5
VIT(耐久):10
INT(知力):1
MIN(精神):1
AGI(俊敏):2
DEX(器用):5
LUK(幸運):0
所持スキル
・《暗視》
パッシブスキル:暗い所でも、昼間のように見渡せる。
・《再生》
パッシブスキル:傷ついた体を時間経過とともに癒す。
備考:人骨。ゴブリンに並ぶ最弱モンスターの一種。闇に浮かぶ赤い目と硬い骨で形成されているのが特徴。弱点属性は光、聖。消費DPは10DP。
3、
種族名:光吸苔
属 性:木
ランク:1
能力値
HP:10/10
MP:0/0
STR(筋力):1
VIT(耐久):1
INT(知力):1
MIN(精神):1
AGI(俊敏):1
DEX(器用):1
LUK(幸運):1
所持スキル
・《光吸収》
パッシブスキル:太陽光だけでなく、魔法の光、火の光などすべての光を微弱ながら吸収する。
備考:黒い苔。光を吸収するため、冒険者などが持ち込んだ光源を弱らせることが出来る。そして、吸収した光を栄養として爆発的に増殖する。弱点属性は火、蟲。消費DPは5DP。
ー
おぉ~!なかなかよさそうなのが一体だけいるじゃねえか。…他2体は知らんが。
「なぁ、レイナ。結構、ランク3ってすごいんじゃないか?」
「まぁ。どのマスターも必ずランク3は出るので普通ですかね。あとランク2が一体もいないのはご愁傷様です。」
「…え?普通ってランク1はいないのか?」
「いますけど、2体ともランク1が出る確率は低いですね。普通はランク1、2、3が1体ずつですからね。」
「…なんだとー!クッソ!なんで俺だけ…。」
日本じゃすべてが普通の俺に、なぜ異世界にきてからこんな不幸ばかり続くんだ…。……まぁ、しょうがないか。今あるやつを使って防備を強化していくか。
夕夜はorz状態から立ち上がり前向きに考え始めた。
「なぁ、モンスターは俺の命令ってちゃんと聞くのか。」
「はい。召喚されたモンスターはマスターに絶対服従ですよ。」
「よし、それを聞いて安心した。まずは光吸苔を1体通路に召喚。あと、マスタールームには入らないようにしてくれ。」
「了解しました。光吸苔1体、5DPで召喚しますか?」
「承認。」
「リィン」
…よし。ろうそくもって近づいてみるか。…というか、なぜこの蝋燭は四日前からずっと灯っているんだろうか。…まぁいい。ファンタジーだから気にしても無駄だろう。
夕夜は少し蝋燭に疑問をもったが、気にせず通路の中に入っていった。10mほど進むといきなり蝋燭の火の光が弱まった。
すると下の方でザワワワッと何かが動いた気がし、足元を見ると黒いごわごわした苔が生えていた。続いて壁も天井も見てみるとびっしり苔に覆われていた。
「よし。人骨を入口の両脇に1体ずつ、カーブのついた壁の隙間にも1体ずつ、あとマスタールームの前に1体召喚。続けて、落とし穴の底に氷憑霊を1体、通路中間に1体、マスタールームの前に1体召喚してくれ。」
「人骨5体、50DP。氷憑霊を3体、300DP。計350DPで召喚しますか?」
「承認。」
「リィン」
「レイナ、ダンジョンの状態を知りたい。昨日のホログラムを出してくれ。」
「了解。」
空中に映し出された縮小されたダンジョンをみてみると、マスタールームを除き黄色い点が無数にありその点でダンジョンが埋め尽くされていた。
…多分、黄色い点は味方で、埋め尽くしてんのは苔とイモやんか。
「光吸苔は映さないでくれ。」
「了解。」
今度は、さっきの配置に黄色い点があるのを確認し、マスタールームに戻った。
「じゃぁ、レイナ質問していいか?」
「…?いいよ。」
「モンスターがモンスターにスキルを使うことはできるのか?」
「できるけど…。何やるの?」
「それはな……。」
マスタールーム前に召喚した2体に向き直り命令する。
「氷憑霊、隣の人骨に憑りつけ。」
青白く光る人魂が人骨の中に溶けるように入っていった。だんだんと骨に霜がつき始め、冷気が漂ってくる。
それを夕夜とレイナが固唾をのんで2時間ほど見守っていると、「リィン」と音が鳴り夕夜の目の前にディスプレイが表示された。
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種族名:氷骨
属 性:氷、不死
ランク:4
能力値
HP:100/100
MP:70/70
STR(筋力):10
VIT(耐久):20
INT(知力):80
MIN(精神):90
AGI(俊敏):10
DEX(器用):40
LUK(幸運):10
所持スキル
・《氷魔法》 LV:1
アクティブスキル:【アイスボール】使用可能
・《暗視》
パッシブスキル:暗い所でも、昼間のように見渡せる。
・《再生》
パッシブスキル:傷ついた体を時間経過とともに癒す。
・《氷衣》
パッシブスキル:触れた相手に【凍傷】の状態異常を与える。
備考:透き通る氷の衣を纏った人骨、氷のフードから覗く赤い眼が敵を凍てつかせる。人骨に氷憑霊が憑りつくことを条件に突然変異を起こしたモンスター。成功確率は20%前後。典型的な魔法タイプのモンスター。弱点属性は火、光、聖。消費DPは500。
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「き、来たぜ。成功だ!いよっしゃあああぁぁぁああ!!」
「や、やりましたね!マスター!」
新スキルは次回で。
…ごめんなさい。すっかり忘れてました