第一層
はぁ…面白いアプリないかなぁ
そんなことを考えながら今日も平日の昼間からカーテンを閉め切った薄暗い部屋の中でぬくぬくとスマートフォンをいじっていた。
なぜ俺がこんな平日の真昼間から部屋でじっとりしているかというと、なんのことはない高校生活に嫌気がさしただけだ。
俺、斎藤 夕夜はごくごく普通の17歳の高校生だ。中肉中背、勉強も、運動も普通。何をやっても普通、面白くない。友達と遊ぶ、面白くない。授業を受ける、面白くない。だから引きこもった。世間の人は「何を甘えてんだ、クソガキが!」とか「みんな我慢してんだ、お前も我慢しろ」というかもしれない。
でも無理だ。こんな退屈な高校なんて行きたくないそう思ったから、引きこもった。面白いと思える、アニメやゲームの世界に。
そして引きこもってから一年、今も面白そうなゲームを探すために、スマホのアプリのランキングを眺めていた。
ふと気になったアプリがあり、スクロールしていた指を止める。
そのアプリは「ダンジョンマスターズVSチャレンジャーズ」
最初にプレイヤーがダンジョンを運営する側とそのダンジョンを攻略する側に分かれて、運営側と攻略側がバトルしていくゲームだ。
(なかなか面白そうじゃんか、俺は運営側で行くか攻略者共を蹴散らしてやるぜ)
そんな風に意気込んでアプリをダウンロードして起動した。
起動画面は上半分に光り輝く剣と盾を背景にして立つ鎧を身に着けた二頭身の男女、下半分には瘴気っぽい黒いオーラを出した杖とピッケルを背景にして立つ黒いローブを身に着けた二頭身の男女が描かれ、真ん中にはデカデカと「ダンジョンマスターズVSチャレンジャーズ」と書かれていた。
意気揚々と下半分をクリックした途端、視界が真っ黒に塗りつぶされた。