表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

恋愛コンプレックス

 春。それは私にとってもっとも嫌いな季節。もちろん、春の象徴と言われている桜なんてもってのほか!

 春といえば恋。この連想は自分でも嫌いだけど周りからそういう言葉が聞こえてくるからいつのまにか私の頭もそんな風な連想をしてしまう。

 私は何回恋で泣いたことか......。


 あれは中学三年生のころ。


 私は好きな人を体育館裏に放課後呼び出した。典型的といえば典型的だけど、これまで数え切れないほど告白というものをした私にとって、このやり方は初めてだった。

 彼に「好きです」と告白した。彼は一瞬だけ戸惑いを見せたけど、すぐに私に向かって笑顔を見せた。


 そして次の瞬間、とんでもない言葉を口にした。



「ゴメン。オレ、君を好きになれない。だって君、男が好きになれそうなところが一つもないし」



 彼はそう言うと、笑顔で去っていった。

 分かっている。つまり私はフラれたのだ。


 彼の姿が見えなくなった後、私は大声で叫んだ。

「何じゃそりゃあ!何でどいつもこいつも同じこと言ってくるのよ!そーよ!私は一生誰にも好かれないわよ!」

 全てを吐き出した私はその場にひざまずいた。

 そう、私は今まで好きになった人全てに同じことを言われ、フラれた。それはこれ。


 君には男が惚れる要素が一つもないんだ。


 一応女に生まれてきた私にとって、これほど屈辱的な言葉はない。しかも、相手は

自分の好きな人。

 それはもう、私のコンプレックス。

 普通以上に普通すぎる容姿、言動、成績。私は人より優れているものなんて一つもない。

 恋愛の条件として持っていなければ始まらないもの。それは長所、短所、そして個性。私にはどれもない。だから、私には恋愛が出来ない。成功しない。相手から好いてもらえない。それを嫌というほど痛感したのだった。

 今回はさすがに私の心も折れてしまった。しばらく学校に行かず、部屋に閉じ籠もっていた。両親は事情を知ってたから、私のことを気遣ってそっとしておいてくれた。まぁ、私の姉妹達はそんなことお構いなしで、人が死ぬほど落ち込んでいるというのにいつでも大騒ぎ。良い家庭なんだか悪い家庭なんだか。

 それでも、私は一人でずっと考えていた。いままでのことと、これからのことについて。

 そして、ある一つの結論にたどり着いた。

 引きこもり生活は、一週間で終わった。


 それが去年。去年と言っても、ほんの一か月前のこと。つまり教育制度での去年ということなので、三月の卒業式の少し前。

 今私は志望校である渉泉高校に通っている。


 新しい学校生活を前に、私が出した結論。自分のコンプレックスを克服するための結論。それは.......

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ