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Beautiful WorldLife  作者: 天路周東
序章 チュートリアル
10/34

第九話 海の魔法


 俺が目覚めた頃にはソフィは起きていて、杖の手入れをしていた。

「んー、おはようソフィ」

「ん、おはよ」

「俺もバトルピッケルの手入れしなきゃ、昨日はすぐ眠っちゃったからなー」

とりあえずは宿屋に付いている水場に行き顔を洗って、手ぬぐいを固く絞って体を拭く。この世界では風呂はいわゆる貴族様の入るようなものらしい、ただの入れ物とお湯だろ?と思わないでもないが自分でサッと用意できるものでもない。ていうかお湯くらいなら魔法で出せる気もするから入れ物を何処かで調達したいなぁ。身支度を済ませて部屋に戻るとソフィはベッドでごろごろしていた、それにいつの間にか着替えていた。うーむ、ハーフパンツにノースリーブ、アームウォーマーにブーツで髪をアップにしている。普段はもう少しおとなしめな格好なのだが今日は随分とアクティブな雰囲気を醸し出している。かわいい

「あれ?着替えたの?」

「うん、なんか思ったよりモンスターの動きが遅かったから防御より動きやすい格好したくなった」

「なるほどね、アクティブなスタイルもイイネ!」

「う……うん、ありがと」

なんか声がしりすぼみだしちょっと恥ずかしそうだ。ソフィを眺めてるといつまでも出発出来ないな!とっとと手入れしちゃおう。カバンから赤黒くなったバトルピッケルと手入れ用の布を取り出す、水を持ってくるのを忘れたので魔法で水を出す。いやぁダメな人間になりそう、何時使っても便利だわ。


 手入れを終えてチェックアウトをする、宿の外は人の往来でなかなか賑わっているな。

「お、出発かいお二人さん」

「はい、ゆっくり休めました」

「おう、またカスタに来た時には贔屓にしてくれよ」

「ええ、また来ます」

「ちなみにウチはそこそこ防音整えてるからな!少しくらいなら大丈夫だぞ!」

ソフィは何を言われているかわかっていないようだ、おっさん……

「それじゃ」

「ああ、じゃあな!」

はずれの方を後にした。まさかとは思うがあのおっちゃん男女で泊まってる部屋に聞き耳立ててるんじゃなかろうな…… 次回は中の方に泊まろう、そう決心した。


 帰りは昨日通ってきたルートを戻るわけだ。昨日の今日で新しいモンスターが生まれてるってこともないだろう。ある程度の数は相手にするだろうけどちゃんと処理すれば怖い敵じゃない。ライトの魔石は今日もソフィの腰だ、とりあえず第二鉱石分岐点までやってきて、第二採掘場の方へやってきた。定期的に湧くモンスターを相手にしながら掘る、黒いスライムと岩モンスターが合体し子供くらいの大きさのゴーレムになったのが昨日と比べた変化だろうか。

「『土の槍(ソイルスピア)』」

鋭い槍がゴーレムに突き刺さる、衝撃で数歩下がるが特にダメージを与えたようには見えない。

「やっぱダメか……じゃあ『火球(ファイア)』」

空中に現れた火球がゴーレムに直撃し、炎に包まれるとスライム部分が溶け落ちたのかゴーレムは崩れてタダの石ころの山になった。俺一人なら危なかったかもしれないが二人ならやはり問題ないな。しばらく交代しながら掘っていると手に伝わる感触が変わる、おっ?これは何か来たか? 崩れた石の中に少し色が違うものがある、取り出してみると少し青みがかった何かが見える。これは原石だな、やっと実入りがひとつ。

 時間が経てば立つほどモンスターの数がすこしづつ増えて着ているのには二人共気づいていた、しかしこの時点で危険が迫っているとはわかるはずもなかったが。そういくつも原石が出るとは思っていなかったのでソフィに相談する。

「とりあえず一個でたけどどうしよう?もう一個くらいでるまで掘る?もう帰る?」

「んー、なんか悔しいし私も一個くらい欲しいなぁ。もうちょっと掘ってこう、どうせ休憩所でまた一晩休憩しなきゃサフラノ帰れないし」

それから1時間ほどだろうか、また交互に掘っているとソフィも原石を掘り当てた、今度は緑色の原石でだいぶ透明度も高い、もしかしていいものを掘り当てたのでは?と二人で喜んだ。流石に少し疲れも出てきたので休憩所へと向かうことにした、道中にもスライムが多く出てきた、というかむしろ……スライムしかいないと言ってもいいくらいかもしれない。こんな調子ではソフィの魔力が持たない、カバンからノエルの魔薬を取り出しソフィに渡す。

「うぇ……おいしくない」

「ちょっと様子がおかしいな……なんかスライムの数増えすぎじゃないか……?」

明らかにおかしい、しかも進むほど増えている気がする。しかし、休憩所にたどり着くといままでのスライムの群れは何だったのかと思うほど何もおらず、安全なのにすごく気味が悪い。とりあえず部屋に入り、二人で今ある回復薬と体力増進剤、魔力回復薬をそれぞれ飲んだ後急いでカスタに引き返すことにした。準備を整えて扉を開けるとそこには凄まじい数のスライムが集まっていた。


「これはヤバイ……」

「うわぁ気持ち悪っ」

同感だ、とっとと追い払ってカスタに帰ろう。

「『火球』ッ!」

出口付近にいるスライムに向かってソフィが火球を放つ、するとスライムは今までにはなかった動きを見せた。いくつかのスライムが集合し、大きい塊になり、風呂敷のように広がって火球を飲み込んだ。

「なっ……」

そして心なしかスライムのサイズが更に大きくなった気がした。スライムに火球は効いてなかったのか?とにかくヤバい、火球でどかせるとばかり思っていたからな……、さっきの動きを見るに飛び越えたり踏みつけたりしていくのはかなり危険だ。

「ど、どうしようカイ。魔法が効かない」

「ああ、ヤバイな……ちょっと今新技考えてるから待って」

「考えてるって……」

「俺の後ろから来ないか見ててくれ、頼む」

「分かった、ううう」

ソフィも明らかに取り乱している、無理もない……切り抜けられなきゃ飲み込まれてDEAD ENDだろうな…… とりあえず火球は効かない、魔力が吸われていると仮定したら物理で退かすしか無い……!よしっ

魔力を集中してバトルピッケルに流す、そのまま爆発のイメージを練り込んでいく……

「ソフィ!走る用意して!!」

「わ、分かった!」

イメージは整った、後はタイミングさえ合えば!

「入口に向かって走って!」

ソフィが走りだす、それから数拍置いてバトルピッケルを地面に向かって振り下ろした。 練られた魔力は地面を伝い、入口付近にいるスライムの足元の地面をえぐり、向かって右側に向けてなぎ払うように爆散させた。魔力は使っているが地面自体はそのままだからこれで吹き飛ばせるはず……! その予想は当たり、地面と一緒にスライムはまとめて吹き飛ばされた。

「カイ!早く!!」

通路からソフィが呼んでいる、俺も続いて逃げようとした時、後ろから近づいてきていたスライムが俺の左足を掴み、引っ張られた勢いで転んでしまった。

「カイ!」

ソフィが近づいてくる。

「来るな!大丈夫だ!」

ソフィに背を向け、脚にこびりついたスライムを掴んで投げる、かなり乱暴だが掴んだ表紙に纏わりつかれなくてよかった。 だがこの一瞬が致命的な一瞬であった、先ほど吹き飛ばしたスライムがまた少し大きくなって通路を塞ぐために移動していた。

「カイ!急いで!!スライムが来てる!」

急いで立ち上がり出口へ走る、急がないと俺が取り残されちまう。 あと数メートル!

「カイ!危ない!上上!!」

ソフィが叫ぶ、言われて上を確認すると天井に張り付いたスライムが落ちてくるところだった。驚いて立ち止まる、そのまま走っていたら上から襲われていた。それは回避できたが、その代わりに入口の前にスライムが移動しきってしまった。

「ソフィ!先にカスタに逃げてくれ!」

「バカ!できるわけないじゃない!」

「バカ!二人共捕まるわけには行かないだろ!俺は俺で何とか逃げるからギルドに助けを求めてくれ!」

「ッ……! わ……わかった!絶対逃げ切ってよ!死んだら許さないから!!」

「もちろんだ!頼んだぜ!!」

そう言って親指を立てるとソフィが頷き踵を返す。カバンからトーチの魔石を取り出して強めに光を灯した。スライムがまだ少しづつ増えている……これはやべぇ……。ソフィが逃げたのを感じたのか、カスタへ行く方の通路側にスライムが多く集まっている、俺もカスタ側へ行くよりはまだサフラノ側に逃げたほうが確率高いかもしれない。

「退けっての!」

先ほどと同じように地面を爆散させ、サフラノ側の通路の前にいたスライムを吹き飛ばし、一心不乱に走った。





 ソフィは焦りながらも走っている間自分にできることを考え続けた。私は逃げた、カイを置いて。私にできることはなかった、いざという時に何の役にも立たなかった……。私は助けられなくても、せめて冒険者を連れてこなきゃ。カイならきっと逃げ切る。 不安で胸がはちきれそうだ、苦しくても脚を止めるわけにはいかない。

 もうどれだけ走っただろう、歩いて2時間はかけた道をただひたすらに走った、数分が凄く長く感じる……、道を間違えないように看板を見るのももどかしい、カスタ側の出口が見えた時は走り疲れた脚に活力が戻った。外に出ただけで脚が止まりそうになるがまだだ、ギルドに行って冒険者に来てもらわないと…… 時間がたつごとに嫌な予感が頭をよぎる、カイは逃げるって言ってた、きっと大丈夫……だいじょうぶ……

 ギルドにたどり着き、まだカウンターにたどり着かないうちから絞り出すような声で言った

「カイを助けて……誰か……誰か……!!」

「何だどうした」

「デカいモンスターでも出たか?」

ギルドにいた数人の冒険者が集まってくる、息を整えることもなく坑道でスライムに襲われたこと、カイが取り残されてしまったことを伝えた。

「そいつはマズいな……確か坑道のスライムって本体を倒さないといけなかった筈だ」

青年剣士が言い、その仲間の魔法使いの女が続いた

「魔力を吸って大きくなるのよね、また厄介なのに絡まれたな……とりあえず助けに行かないとね」

ありがたい、まだ助かったわけではないが、少なくとも自分一人だった時よりも可能性が見えていることに若干の安堵が生まれ、泣きそうになる。

 ギルドに所属する冒険者達には暗黙のルールがある。それはたとえ依頼でなくても冒険者同士の命の危険の際にはお互いを助け合うこと、というものだ。もちろん暗黙のルールであり、守らない冒険者もそれなりにいる。しかし今ここに居合わせた冒険者達は助け合いの精神の大切さを知っていた。冒険者を続けていればいつ自分が助けられる側に回ってもおかしくないのだ。

「ありがとう……、お願いします……!」

「すぐ行かなきゃな、ティー、回復を」

ティーと呼ばれた魔法使いの女はソフィに癒しの魔力を送った。体から疲れが溶け落ちて消えるような感覚とともに頭がスッキリしてくる、これが癒しの魔法……

「大丈夫?いける?」

「はい!ありがとうございます!」

「無事助けたらご飯でもおごってね」

そう言いながらウインクをしてくるティー、堂に入った仕草に見惚れそうになる。

「はい!必ず!」

そういうとティーは笑顔で魔力を練り出した。

「『その身に纏うは風、万里を駆けろ ウインドウォーク』」

魔法をかけられると体の周りに風が纏わり付いた、一気に体が軽くなるのを感じる。

「すごい……」

「キミも魔法使いなら使えるようになると便利よ。あ、そういえば名前は?」

「ソフィです」

「ソフィね、それじゃ行くよ!」

青年剣士とティー、それに弓士と猫の亜人にソフィの5人は坑道へ向かって駆け出した。普通に走っている時の倍は速度が出ている上に全然つかれる気配が見えない、この魔法を覚えていたらカイも連れて逃げ出せたのではないかと思ってしまい、また目頭が熱くなる。でも泣いてる場合じゃない、ぐっとこらえて走る速度を上げた。


 坑道入口に着くと中から変な音がしていた。なにか(うめ)くような、少し地鳴りのような音もする。何の音かは分からないが、今はちょっとおかしいからと立ち止まるわけには行かない。他の冒険者が入り口に着いたのを見て、ソフィは中には入ろうと一歩踏み出した。

「待って!」

そう言ってティーはソフィの腕を掴んだ。流暢に調べている時間なんて無いのに、どうして?と振り返るとティーは目をつぶって意識を集中させていた。

「どうしたんですか?早くしないとカイが……!」

さきほどからだんだんと聞こえる音が大きくなってきている、もしかしたらスライム以外にも手強いモンスターがいたのかもしれない。そう思いティーの手を振りほどいて坑道の方を向いた瞬間ティーが叫んだ

「危ない!皆入り口から離れて!!」

そう言ってティーはソフィの腕を再び掴んで横に逃げた。他の冒険者も支持に従って入り口から離れる。すると次の瞬間、大量の水が坑道から吹き出した。その勢いはまるでここが滝の噴出口か何かであるかのような凄まじい勢いだった。

「うわぁなんじゃこりゃぁあ!!」

青年剣士が叫ぶ、その場にいた全員が同じ事を思い驚いた顔で坑道を見ていた。

「カイ……」

どう考えても異常事態だ、そしてその渦中にいるはずの相棒の死が頭をよぎり、ソフィは膝をついて崩れ落ちた。






 いやぁ……ちょっと格好つけすぎたな……明らかに逃げ切れる気がしない。思ったよりもスライムの追尾が早い、しばらくは攻撃しながら、攻撃を避けながらなんとか戦っていたものの、道の分からない状態で走っていたのがまずかった、曖昧な記憶を頼りに選んだ道の先にあったのは第4採掘場だった。

「ヤバイ……行き止まりじゃねぇか……」

そこは行き止まりであり、もちろん入り口は追ってきたスライムによって封鎖された。スライムは岩を飛ばしてきたり、その一部に岩を取り付けて殴るように攻撃してきた。器用なやつだなオイ……!攻撃を(かわ)し、さっきやったように地面を爆散させるも、集まったスライムの数が多くて退かすことも出来なくなった。

「チクショウ……こんなとこで終わるのかよ……ソフィとにゃんにゃんしとけばよかった……ッ!」

それは冗談にしても昨日抱きしめるくらいは許されたかもしれない……!攻撃を躱し、突進を避けるのにも限界がある、そもそもこっちの攻撃が何の効果も無いのがキツい……

「ぐっ……」

肩に投石を受けてバランスをくずす、倒れそうになるがなんとか持ち直してスライムから距離をとる。と、突然スライムたちが離れていき、部屋の中央に集まりだした。

「なんだ……?」

逃げるチャンスだろうか?そう思って走りだそうとしたら足が動かない。他のスライムの動きに気を取られている隙に足を取られてしまった。それと同時に天井からポコポコと変な音が聴こえ出す。

「……オイなんだよあれ……」

黒いスライムではなく、色んな色の混ざったまだら模様の巨大なスライムが天井から降りてきた。その外観はお世辞にも綺麗とはいえず、かなり気持ち悪い。そのスライムに黒いスライムがまとわりついている。

「こいつがボスって訳か……」

だんだん黒いスライムが小さくなり、そのかわりにボススライムが大きくなっていく。なるほどな…… ソフィの魔法を受けてスライムが逃げ出したのではなく、魔法の魔力を吸い取った物をボスに持ち帰っていただけだったんだ。まるで女王アリみたいに下っ端が魔力を持ち帰るのを待ってたんだな……。倒していない事に気づかず魔法を乱射したからいい餌だと思われて女王が直々に食いに来た、ということなのだろう。女王スライムがしもべから魔力を吸い終わった、じわじわと俺に近づいてくる。クソッ…… どれだけ抵抗しても足元のスライムは俺を離さない。俺の胸くらいの高さのスライムは目の前で大きく広がり、俺を包み込んだ。


 息ができない、魔力がどんどん吸われていくのが分かる。意識が遠のいていく……これで終わるのか?まだ俺に出来る抵抗はないのか?魔力を全て振り絞ったらパンク……はしないだろうな……クソッ! 思い出せ、何か……何かあるはずだ、まだ死にたくない……!ソフィ……フラン……ユン…… 今までのこっちでの生活が走馬灯のように駆け巡る。そ……そうだ!まだ俺に出来る抵抗があった。

 息ができない状態での集中が苦しい……だんだん薄れていく意識の中、まだ生きたいという思いが膨れ上がり、魔力を……いや、命を求めた。


吸え

食え

奪え

喰らい尽くせ

奪われてなるものか

奪い返せ!


 スライムは魔力の塊だった。魔力を吸う存在ならもちろんその体には魔力を溜め込んでいた。

ユンとの特訓中に起こした魔力の暴走。自然の命を食らった力。全てを、この魔力を奪う


 急激に体に魔力が流れ込んでくるのが分かる。このスライムには知性はない、ただ本能のままに魔力を吸うべく活動していただけだ。その本能が恐怖を感じ、カイの体から離れた。

「ぜはぁっ。はぁっ はぁっ」

荒く呼吸をしながら体内で荒れ狂う魔力を感じて意識が飛びそうになる。まるで生き物を生きたまままるごと飲み込んだみたいだ。魔力を奪われ、恐怖を感じてもなおスライムの女王は魔力を得たカイを捕食しようと逃げることはなかった。

「クソ……逃げてくれりゃ楽だったのに……俺を殺す気なら……俺はお前を殺す……!」


 スライムの全てを喰らい尽くすために、体にある魔力を全て野獣のイメージと混ぜ合わせる。暴力的に、一方的に奪うだけの野獣。獣になったイメージと意識が同化した瞬間、カイは魔力を喰らう獣となった。

「ガアァァァアァァァァァアァァァアァァァァァ!!!!!!」

地面を蹴り、およそ人間の可能な速度を超越した速さでカイはスライムに突進し、その身を切り裂き、魔力を喰らった。もともと平地では獲物をとらえることが出来ないが故に坑道を巣にしていたスライムが獣と化したカイから逃れられるはずもない。数年を費やしてこつこつと溜め込んだ魔力で膨れ上がった体は、みるみるうちに奪いつくされていった。



 スライムが影も形もなくなるほどに食らいつくされた後、カイはかろうじて意識を取り戻した。助かった……のか?体が重すぎて動かない、それに体の中の魔力が爆発する直前のようにうねり、激しく暴れまわっている。魔力を放出しないと多分体がはじけ飛ぶ……どうにか……。何かにしなくちゃ……魔力を何かに……この時カイは空に浮かぶ海が頭によぎった。その瞬間、魔力はカイの脳内を蹂躙し、その記憶にあるイメージを奪った。

「ハハ……最後の魔法も海か……しかも自爆とか……最初に浮かんだイメージが俺に止めを刺すとかどんな冗談だよ……」

そんな自嘲じみた笑いもあふれる魔力の奔流が生み出す音に埋もれてゆく。カイが意識を失ったその瞬間、魔力は海になり、グランツ山の洞窟の全てを洗い流すほどの水が全てを押し流した。

毎話のタイトル付けに悩みます。

例えば今回ですと、

・スライム

・おっさん……

・暗黙のルール

・最後の魔法


などが候補でした


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