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Beautiful WorldLife  作者: 天路周東
序章 チュートリアル
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第一話 ここはどこ、私は誰

注意事項

1:作者の処女作品になります。文章を書くのも初めてになりますので

なるべく無いように心がけますが、文章の拙い所、思いがけない矛盾点、

その他もろもろの未熟なところはどうか平にご容赦ください。

2:時に残酷であったり、衝撃的な内容や表現が使われる場合があります。

3:掲載のペースはなんとも申し上げることができません。

目標としては最低でも週に1回は連載予定ですが、筆のノリ、リアル都合などにより

不定期に前後する場合が多々あります。

4:以上を踏まえて、楽しんでいただければ幸いです。

 目が覚め、起き上がり周りを見渡すと、そこは森の中の開かれた場所だった。直径5〜6メートルくらいの円形の空間で、上を見あげれば透き通るような雲ひとつない空が広がっていた。鳥のさえずる声が聞こえ、なんとものどかでいい場所だ。こんなにいい天気ですることなんて、そりゃあ昼寝ぐらいだよなと思い、俺は再びまぶたを下ろした。


いや、それはおかしい


「ここ・・・どこだ?」

どう考えてもおかしい、見慣れない場所なんてもんじゃない、俺は確かに自分の部屋で寝た……はずだ。起きたら森の中って、そんな夢かファンタジーだろう。あまりの衝撃に完全に目が冴えた。起きた後リアルな夢を見ていたなぁと感じることはある。だが今まで夢の中で覚醒したことなんてない。鼻から息を吸い込めばいかにも森の香りがする。そしてそれが理解できている。そんな夢あるもんか。とりあえず自分の状況と周囲の状況を整理してみることにした。


 服装はカーゴパンツにパーカーの楽なスタイル、そしてサンダル、靴下アリ。体に異常は感じない、声も出るし体が痛いということもない、確認のついでに伸びをしておいた。周囲はどう見ても森、自分が横たわっていた場所は開かれていて、その中心にある石の台座のようなものに横たわっていたらしい。

「まさかこれ、異世界召喚系?」

うすうすよぎっていた考えを口にしてみる。……が、当然答えてくれる人はいない。気づいたら異世界だなんて、そんなよくある小説のパターンを自分が体験してるとはあまり思えない。ただ、それならそれで若干わくわくしそうなのも事実なのはしょうがない、基本は楽観的に物事を考えるタイプなのだ。


 とりあえずここにいてもしょうがないので、人を探しに移動することにした。少なくとも今の空模様を見る限りは突然雨が降ってきたり、もうすぐ夜だったりすることもないだろう。台座をよく見ると一箇所に階段のような段差が一段あったので、そこを正面として真っ直ぐ進むことにした。森は木々が元気よく育っていて、木々の合間が茂っていて通りにくいということはなく、段差や石に気をつければなかなか快適な森林浴の気分だった。……少なくとも1時間くらいは。


 もう2時間くらいは歩いただろうか。確かに森だった、あの開けた場所から360度見渡しても、光が指していて外が近いとおもわれる方向が見つからなかったから、こうして正面を真っすぐ歩いてきたのだが、完全に迷子になった。そしてお腹も空いた。喉も乾いてきた。気温は春なのかあまり日のささない森の中にいても涼しい程度で寒くはないが、夜になれば一気に冷えるだろう。今の自分の服装を考えると夜が来る前に森を抜けないと拙い。心なしか日が落ちてきているような気もする。途中何個か木の実を拾ったのだが、りんごでもなく、すももでもなく……なんとも言えないが赤くなりかけの黄色っぽい木の実だ。これが食べても平気なものか全く見当がつかない。もしも有毒だったり、腹をこわすような実だったら目も当てられない。なにせ見知らぬ場所に一人だ、そして人が通りかかる場所とも思えない。すくなくとも限界がくるまでは温存しておくべきだろう。ちょうどいいタイミングで腹が返事を返して顔がにやけたが、すぐに歩みを再開した。


 それから3時間か4時間か。もう体感としてはそれ以上も歩いたような気がしてきた。さすがに飲まず食わずで更に歩くのは限界を感じ、4つあるうちの木の実を1つかじってみると、なんとも甘酸っぱくて美味しい実だった。大きさとしてはすもも位なので、それで満腹というわけには行かなかったが食べられるものが3つあると考えればこれからの道のりが楽になると思うと、そこからの足取りは若干ながら軽く感じた。さらに行くとついに森の切れ目が見えた。長かった森も終わりが見えたと思うと自然と小さくガッツポーズをとってしまった。よれよれになりながらも進むと、明らかに道らしきものがあり、そこには轍もあった。

喜びながら道の左右を見渡すと、左の方に微かにだが明かりが見える。すでにあたりは暗く、月明かりがなければ完全に闇の世界だった。森の中で獣に出会わなかったのは本当に運が良かったとしか思えない。そんなことを考えながらのこり2つになった実を一つかじり、また歩き出した。


 森を出ると砂利道だった道もだんだんと石畳のようなもので舗装され、人の手の入った気配がする。小さい丘が並んだここを抜ければ、向こうに見える街に着く。そうすれば人ともあえる。話を聞くこともできるだろう。そんな安心感からか、緊張が解け、体がだんだん鉛のように感じ、視界がぐらぐらしてきた。

「あ……れ……?」

足がもつれ倒れこむと、次第に手足がしびれ、意識が朦朧としてきた。

「もう……すこ……に……」


 そこで意識は途絶えた。



 次に目を覚ますと、そこには見知らぬ天井があった。特に数えられるようなシミもない。起き上がろうとするものの手足の感覚がなにかおかしい、麻酔を射った時のように動きはするものの変な感じがする。なぜこんなところに……と記憶をたどると、自分が道の途中で倒れ、意識を失ったことを思い出した。ちょうどその時、部屋のドアが開いた。

「みwうfkへbkん0う3」

は?

「うぃ38yg99ん3kmヴぇはg」

は?

明らかに日本語ではない言葉でしゃべるおばさんが入ってきた。

「えーと、この度は大変お世話になりまして……」

と言うと、おばさんも は? という顔になり、踵を返すとすぐに部屋から出ていってしまった。その後すぐにおじさんとおばさんが入ってきて、俺を見ながらよくわからないが何かしゃべっていた。困惑しながらその様子を見ていると、ふいにおじいさんがこちらを向き。

「おいよtにwfぅymwjf?」

と言いながら木の実を見せてきた。それはおそらく俺が森で拾い喰いをしたあの木の実と同じものだったので、とりあえず頷いておいた。

するとそれを食べるジェスチャーをしてきたので、また頷いた。それを見たおじいさんは手を額に当て、上を向いた。それ完全に アチャー ってジェスチャーだよね……。俺はその実が食べてはいけない類のものだと悟ったのだった。


その後二人とジェスチャーをして意思疎通を図っていると、俺の腹が盛大な主張をし、厚かましくもご相伴に預かることとなった。いや、本当に有難い。そこで出されたものはパンと、何が入っているのかよくわからないけれどシチューのようなものだった。その後一晩お世話になり、翌朝三つ指をついて感謝の気持を表現すると、なんとなく伝わったのだろう。笑顔で送り出してくれた。外に出て、路地を抜けるとそこはなかなかの賑わいを見せる街だった。ここは日本じゃないということが確信に変わった瞬間でもある。


 家を出る時におじさんがくれたメモには、大雑把にではあるがここへいけというようなニュアンスを感じる何かが書かれていた。しかし現在地もわからなければ街のことも知らないので、そこら辺にいる人に連れてってもらわなければ……そんなことを考えていると、完全に注意していなかったために曲がり角で人とぶつかってしまい、女の子が持っているものをぶちまけてしまった。慌てて拾い集めていると、女の子が俺の持っていたメモを見ながら何か言ってきた。

「mxyいぇあいfう、う?」

全く分からないが頷くしかない。するとその子は手荷物を全部俺に持たせて歩き出した。全く行動が理解できない、連れてってくれるのかも分からないが女の子がメモを持ったままのため、しぶしぶながら俺はその子に着いて行った。



 しばらく付いて行くと、町外れの小屋のようなところについた。どうしていいかわからず、とりあえず荷物を置いてぼんやりしていると、女の子は小屋の中をひっくり返し、赤い宝石のようなものを持ってきた。それを手渡され、頭に疑問符を7つくらい浮かべると、女の子はため息を付いて宝石ごと俺の手を両手で包み込んだ。何事かとどぎまぎしていると、宝石がだんだんと光を放ち始め……その光が収まると女の子は手を話し、こう言った。

「これでわかるかな?聞こえる?」

「おおお、聞こえる、わかるよ!」

感動しながら女の子に答えると、笑顔が返ってきた。その笑顔に見とれていると女の子は笑顔のまま質問をした。

「さて、とりあえず君の名前を教えてくれる?」

そう聞かれて俺は…………自分の名前を思い出せない事に気づいた。



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