1/1
双子のイルカ
鯨の背は、あたたかかった。
いつまでも、
その広い背に横たわって、
太陽の光を浴びていたかった。
けれど、身体が求めていた。
海の中へ、と。
本能なのだろう。
私はその衝動に身を任せ、海へ飛び込んだ。
海の魚たちは、私を歓迎してはくれなかった。
「食べられるぞ」
「餌になんかなりたくない」
「人間よりタチが悪いぞ」
口々にそう言って、逃げていく。
追いかけるつもりなどなかったのに、
私の周りには、あっという間に誰もいなくなった。
少し寂しくなった頃、双子のイルカが近づいてきた。
「「一人なの?」」
「「さみしいの?」」
二頭は私の顔を覗き込み、交互に言った。
「それなら」
「いいところ」
「「知ってるよ」」
きゅるきゅると鳴きながら、
二頭は私の周りを泳いだ。
海に入ってから、
初めて私に親しく話しかけてくれた相手だった。
「おいで」
「こっちだよ」
少し泳いでは振り返る二頭に、私はついていった。
その先に待つのが、破滅とも知らずに。




