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第六話 普通
第六話 普通
暖簾の先には
醤油 醤油 味噌ラーメンの湯気
「世良お前…なんでいんだよ」
「文句言うな!奢ってやるから」
「あたし替え玉ー♪」
世良は千夜を一度見て、
すぐ視線を逸らした。
見過ぎると、何かが狂う気がした。
灯は腑に落ちない
世界が勝手に寄ってくる
軽々しく荒々しく…
灯の震える手に箸
千夜が気づき水を注ぐ
世良が胡椒をとる
「まぁまぁだな」
灯の手の震えを止める
替え玉に喜ぶ千夜は
湯気を整える
灯には少し丼ぶりが少し重く感じる
「チャーシューあげるね」
灯の醤油ラーメンに
また重さが乗っかる
ーーーーーー
ごちそうさま
舌なめずりする世良
「小僧お前あの時…」
疲れた目で小さく怒る灯
「灯だ」
ため息一つ
「まっいっか…」
灯がもつれる
一瞬、地面が遠くなる
手を添える千夜
二人に視線を向け
夕焼けを眺める世良の
指先に
静かに力が入る
「来るってよ…」




