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天の真は花を繚う  作者: METEO
第一章:学園事件編
9/23

天立向研究所

書き溜めたストックは無くなりました

頑張ってこっから書いていきます...

今日の朝も昨日と同じく、機械的な目覚ましの音で目が覚めた。今日は僕のほうが遅く起きたのか、1階から料理道具が立てるカチャカチャという音が響いてくる。


「昨日は色々ありすぎたな...」


早めの就寝により体の疲れは取れているが、それでも気がつくとぼーっとしているほど思考力が低下している...やはり、昨日の情報量が多すぎたのだろう。


「今日は休日だ。社も待っているだろうし、さっさと朝食を食べに行こう」


そう言いながらリビングへ降りた僕は、休日らしくパンケーキが盛られた皿と、それを乗せているテーブルにつき、社と今日の予定について話し合った。




────さて、さっきも話したけど、まず先に社の身なりを整えようと思う」

「いやそれは何回も聞いたが...」

「何故私達も一緒に?」


近場のショッピングモール、僕と社は服を買いに行くためにこの場所へ来たのだが...道中武尊と忍を見かけたため、助けを求めるためにも一緒に連れてきた。何故連れてきたのかといえば、


「君たちって婚約してるでしょ」


この二人は研究所の御曹司と光陰家の跡取りと言う関係で、光陰家側が忍を武尊に嫁がせた形になっている。そのため、女性の服については少し知識があるだろうと思っていたのだ。


「まぁそうだが...だからって天宮ちゃんの好みとか分からんぞ?」

「そもそも私が服に関して無頓着だからな、力にはなれそうにない」


しかし聞いてみればその関係は恋人というよりも友達に近く、服に関しての知識など皆無であった。…困ったな、僕なんて妹の服くらいしか分からないし...今の女子中学生ってどんな服着るんだろう...


「望門さーん!まだですかー!」

「...まぁ、似合う服を買ってあげればいいか」


────しばらくして────


「わぁ、これ可愛いですね!」


服を選び終わり、その試着をした社が試着室のカーテンを開け、中から出てくる。その姿を見た僕達は、


「なぁ望門」

「なに武尊」

「...俺は今天国にいるのか?」

「少なくとも天使ならここに」


年齢にしては大きめの胸が張った白いシャツに、チェック柄のスカート、黒いタイツ、丈の長い白いソックスと黒いローファー。それに加え、星空を散りばめたような印象的なショールを身に着けた社は、多くの女性を見てきた僕達にとっても天使と見紛うほどの雰囲気も纏っていた。


「天使...って私のことですかぁ!?」

「当たり前じゃないか」

「...」

「すげぇ、忍が姉の顔してら...」


その後僕達は社の服を買い、ショッピングモールをあとにした。




「...いよいよか」


場所は変わり天立向研究所。前日に言われた通り、僕は研究所の裏から施設に入る。

天立向研究所はよく漫画や小説などで見る研究所とは異なり、大きなドーム状の建物の中に大量のラボや会議室などがあるらしい。武尊から聞いた話だと真ん中に一番重要な部屋があり、裏から行くほうが近道になるとのこと。


「静かですね...」

「まぁ全部の部屋が防音仕様になってるらしいからね、静かなのはしょうがないだろう」


たしか研究所は派閥争いが激しくて全員が全員仲が良いわけじゃない...だったか。

隣を歩く社と途切れ途切れに会話を続けながら、僕は重厚な白銀の扉の前にたどり着き、迷いなくそれを押し開けた。


「息子から話は聞いたと思うが、来てくれてありがとう望門君。それと...社君、だったかな?」


部屋の中は薄暗く、仕事用と思われる机にデスクランプが乗っており、重要と聞いていた割には最低限のものしか置かれていない。だがその中心に、武尊と共通した特徴の見られる研究者風の女性が立っていた。


「ご無沙汰してます、澪さん」

「初めまして...えっと、武尊さんのお母さん?」

(ミオ)でいい、まぁ、立ち話もなんだしこれに座ってくれ」


武尊の母親...梨反(ナシサカ) (ミオ)さんはそう言い、どこにあったのか業務用らしい埃を被った四つ足の椅子に座るよう僕達に促し、何やら隅に置いてあった機械を操作して自身も椅子に座った。


「聞かれると面倒なのでね、防音に加え魔法を遮断させてもらった。」

「じゃあ早速本題に」

「あぁ...適性の診断、及び事件の調査の件だったね」


澪さんはそう言うと、研究者特有の白衣のポケットから眼鏡を取り出し、テンプルと呼ばれる部位を耳に引っ掛けた。おそらく回路なのだろうそれはレンズに薄緑の線を走らせると、澪さんの持つ魔力を魔法という形に転化させる。


「『真実の慧眼(アナライズ)』」


次の瞬間、眼鏡がさながらコミックのように白い光を放ったかと思うと、僕と社にそれぞれ視線を投げかけた。


「...これで終わりだ」

「...えっと、今何を...?」

「あー、そっか社は知らないのか」

澪さんの適性は「解析」というもので、魔法では指定した対象の情報を文字通り解析し、視覚情報として知ることができるというものらしい。実は回路に魔力を通さなくても魔法が発動するという稀有な魔力特性があるのだが、対象の魔力適性などを知るためにはやはり回路が必要なんだとか。その旨を社に伝えると、納得したように次の言葉を言った。


「成る程、だから私も一緒に...」


聞けば社は神社の生まれであり、学校にはあまり行かず神社の手伝いを行っていたそうだ。それが理由で魔力適性の診断は受けておらず、今日まで魔法を使おうとは思わなかったという。…やっぱり強いな、社は。

その性格を羨ましいとは思うものの、声には出さず胸の内に秘めるだけにしておく。


「それで...結果はどうでした?」


一度や二度では済まない回数、僕の適性は診断不能とされている。もしかしたら澪さんの魔法でも...という思いがあるため、僕は縋るように、祈るようにただ結果を聞いた。


「望門君の適性は...まぁ、「門」とでも名付けようか。なんでも門のような創造物を作り、それを媒介にして様々な魔法が発動できるようだ...魔力の系統については知っているかね?」

「えっと...確か9系統あるんでしたっけ」


魔力の適性には様々な性質のものがあるが、大きく分けて9つの系統がある。肉体や物体などの基礎能力を向上させられる「原始系」、あらゆるものの性質を変化させることができる「変質系」、物を生み出すことができる「生成系」、他にも「属性系」、「超常系」、「干渉系」、「反応系」などの系統に分けられている。そして...


「社君、正解だ。そして望門君の系統は...おそらく、「混合系」に分類されるものだろう」


他の系統の特色が混ざり合っている系統、「混合系」。それが僕の系統と考えられる。


「...何にせよ、魔法を使ってみないことには分からないですね」

「そうだな...それと、事件の調査二関しては、申し訳ないがあまりうまくいっていない」


僕は魔力の適性がしっかりあったことに安堵しつつ、家族に起きたあの事件のことを思い出し、もうすでに失ったものは戻ってこないことに軽い虚無感を覚える。


「...じゃあ、私の適性は何だったのでしょうか」

「あぁ、社君は「星」と呼ぶのがいいだろう...まぁ、こんなところか」


そう言うと、もう一度澪さんは機械を操作し、出入り口であるドアを開いた。


「今日はこのぐらいにしておこう。明日、またここに来てくれ」

「分かりました。今日は予定を空けていただきありがとうございました」

「世辞はいい...また明日」


僕達はその後、来た道を通って研究所を後にした。




「... 行った、か」


梨反 澪は、部下やスポンサーなどから「簡素すぎる」と言われている自身の所長室で独り言をこぼす。やはり考えるのは先程の二人組、望門と社のことである。彼らは魔力系統の中でも稀な混合系だった、そこは別に良い。問題は...


()()()()()()エネルギー反応が社君から出ていた...あれは何だったんだ?」


神社の出だと言っていたが、それが何か関係あるのだろうか。謎のエネルギー反応という興味の尽きない、それでいて危ういと澪は感じていた。


「だが、目下の問題はそこじゃない」


研究所内での覇権争い...いや、()()()()()()()()戦い。それこそが、今の澪にとっての最優先で処理しなければいけない問題だ。


「はぁ...やはり面倒だな、研究者というのは」


とは言えど、自身も研究職についているがために、敵対組織の意見は理解できる。だからこそ、平和的解決手段を取りたい。


「そういえば...()()()()()()微弱だが社君と同じ反応があったような...いや、おそらく見間違いだな」


澪は思考を巡らせつつも、コーヒーを淹れ、残りの仕事に取り掛かる。






一人の()()()には気づかずに。

結構重要な情報をポロポロ出した気がします

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