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天の真は花を繚う  作者: METEO
第一章:学園事件編
6/23

社Side:予想外は味方につけろ

タイトルは僕の信条です

「...それで、話しておきたいこと、というのは?」


望門さんと別れた後、私達3人は人気のないひっそりとした場所へ移動し、話をすることになった。先程の話では私が相談をしたことになっていましたが、実際はお二方に私が提案されたというのが正しいです。


「...えーと、天宮殿と呼んでも?」

「殿...?はい、大丈夫ですよ」

「安心しろ、忍は初対面の時大抵殿かさん付けだからな」

「余計なことは言わなくて良い...本題に入ろう。天宮殿、私達から話しておきたいことがあるんだ」


このような形で3人で話すことを提案されました。その後すぐに望門さんが来て話はできませんでしたが、お二方ともかなり人が良さそうだったのでそういったことを言われるとは思っていませんでした。


「まぁ、そう警戒すんな。別にこの場で襲うってわけでもねぇしよ」


登校時の反応からして、この方々も何か人に言えない事情があると考えていたため、私の予想として思ったことを聞いてみることに。


「もしかして、私が隠している事情についてでしょうか」

「それもあるが...主題としてはは望門のことだな」

「望門さんの?」

「あぁ。天宮殿が聞いているかは存じ上げないが、話しておいて損は無いだろう」

「簡単に言っちまうとな...望門は家族を殺されている」

「...え?」


その言葉に返ってきたのは、望門さんの何処か哀愁を感じる雰囲気の衝撃的な真実だった。確かに、あの家は望門さん一人で住んでいるにしては広かったですし、近くの住民の望門さんを見る悲しげな目はそうと考えれば説明がつきます。


「犯人達の目的は不明だったが...行動を聞くにただの愉快犯では無いようだ」

「俺達はその目的と、そのグループの本拠地を知るために動いてんだ」


情報がまた増える。なんとか話にはついていけますが、先刻の家族を殺されたというのは、まだ私の頭に重くのしかかっています。ですが、1つだけ疑問に思ったことがあったため、それを聞いてみることに。


「...何故お二方は、そこまで望門さんのことを...」


今聞いた話だけでは、家族が殺されたという望門さんに向けている並々ならぬ気持ちが理解できません。どれほど仲が良くても、せいぜい同情してもっと仲良くするというのが普通の反応のはず。


「そんなもんもっと単純だ」

「え?」

「「人生を変える出来事を起こしてくれたんだ、望門は」」

「えっと、それはどういう...」


確かに一度助けられたから、というのは望門さんを助ける理由になるとは思いますが、「人生を変える出来事を引き起こしてくれた」というのはよくわかりません。そのため、思考を巡らせつつ話に意識を集中させることにしました。


「あいつはな、良くも悪くも自己犠牲精神が強すぎんだ。俺は中学生の頃いじめられてたんだが、そん時望門がケンカでクソ野郎共をはっ倒してくれたんだよ。魔法を使える集団相手に素手でだぜ?笑えるよな?」

「望門は...なんというか、加減を知らない男だよ。今でこそ私は普通に生活しているが、昔は家の作法が厳しくてな...その状況を知った瞬間から、私に対して毎日励ましの言葉をかけてくれたんだ。その姿はなんとも滑稽だったが、救われたのは事実だよ」


どうやら、二人共望門さんに人生の窮地ともいえる場面を救われたのがきっかけで親友になったようです。話を聞いているとやはり、初対面のはずなのに私に協力すると言ったのは望門さんの性格から来たものだったのでしょう。


「望門さんって、人に対する思いやりが強い方なんですね」

「あぁ。あいつ、からかうのが癖なんだが、それも俺達を笑わせるためらしいしな」


確かに武尊さんや忍さんに会った時、率先して会話を弾ませようとしているのが部外者の私でも分かったくらいですし、ただふざけている訳では無いのかも...そう考えると、私の体を見て言ったあの言葉も私の警戒する気持ちをほぐそうとしてくれたものだったのかもしれません。


「だからこそ支えたくなるんだが、な」

「おっと、惚気かぁ?」

「バッ、違う、断じて違うぞ!!お前にも望門の癖がうつったんじゃないか!?」


昔話をして気が緩んだのでしょうか、先程までの緊迫した空気が消え、登校時のように和んだ雰囲気になりました。


「あー、コホン!それよりも、天宮殿の事情というのは話せないものなのだろうか」

「あっ、無理に話さねぇでも大丈夫だぞ!俺達も先刻みてぇな事情があったし、隠したい気持ちは理解できるからな」


そう思っていると、私の隠していることについて忍さんが聞いてきました。無理に話さなくていいと武尊さんが続けて言ってくれましたが、このお二方には話しても問題ないと思い、望門さんに話した内容を繰り返し伝えることに。


「実は────

────成る程、それは...災難だったな」

「たしかに、それは隠しておいて正解だったな。俺だってそうするわ」


一通り話し終えた後、万が一に備えて逃げる準備はしていたのですが、それも杞憂に終わったようです。最後の危機は去ったと思い、息をついて安心していると


「しかし妙だな、その話は」

「え、どこがですか?」

「いやぁ────天立向研究所って俺の母さんが作った施設なんだよ」

「...え!?」


今日一番の予想外が、武尊さんの口から飛び出てきました。

ようやくフラグらしいフラグを回収出来た気がします

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