登校までのアクシデント
今日も更新です。他のは聞かないでください、はい。
頭の中で響く目覚ましの音と、窓から差し込んでくる光により目が覚めた。昨日に色々あったせいだろうか、しっかりと睡眠を取ったはずなのに疲労が取れていない。
あのあと社には妹の部屋で寝るように伝えたが、まだ寝ているのだろうか?昨日とは違いリビングに出てみても誰もいなかった。
「...仕方ない、朝ご飯は自分で作るか」
家事は苦手なだけでできない訳では無い。トーストぐらいなら簡単に作れるだろうと思い、買ってきておいたパンを取り出し、トースターに入れて焼く。焼き上がったパンに冷蔵庫に残っていたジャムを塗り食べていると、社がリビングに入ってきた。
「ふわぁ...おはよう御座います...」
「...ちょっ!?」
「すみません...久しぶりにしっかり寝たので起きれなくて...なんで目を逸らすんですか?」
昨日起きた時と同じく間延びした声で朝の挨拶をしつつ、起きれなかったことを謝っている。だがその声に反応して振り向いたその瞬間、目に映ってしまったその容姿から瞬時に顔を背ける。なぜならば...
「...一旦、服着ようか」
「...?...!?」
下着のみを身に着けた、発展途上とはいえ、れっきとした少女の裸体が晒されていたからだ。
「...大丈夫か?」
「......」
僕はトーストの残りを食べつつ、着替えてリビングに来たあと手で顔を覆ったまま動かなくなった社に声をかけるが、反応は無かった。指の隙間から見える色白の肌に赤みがさしていることから恥ずかしがっている、というのは分かるが...あいにく、フォローする時間は無い。
「...今日は平日だし、僕は学校に行ってくるよ」
「女性の下着姿を見ておいてそれは無くないですか...?」
「仕方無いだろ。登校しないと進学できないしな」
「...私、もう14歳なんですけど...」
学生である僕は学校に行かなければならないのだ。その旨を社に伝えると、消え入りそうな声で2度返事が返ってきた。あれ、今14歳って言ったか?年齢の割には...いや、これ以上はいけないな。
「大きな山が二つかぁ...」
「煩悩に染まりきった発言しないでください!!!!私だって乙女なんですよ!!??」
「はは、悪いな」
少しからかってみると、先程よりも大きな声で返事が飛んでくる。僕はそれを耳で受け止めつつ、学校に行くために玄関へ向かう。既に着替えは済ませてあるため、靴を履き替え戸口を開く。
「そろそろ出ないとな...じゃあ、行ってくるよ」
「むぅ...」
「膨れたって仕方ないだろう?まぁ、帰ってきたら買い物にでも行こうか」
僕は社にそう言い残し、人が増え少し賑やかになった家の扉から外へ出た。
「今日の授業は...週末だからそこまで重要な教科はないな。休んで研究所の調査でもするか?...いや、休むと単位が取れないからなぁ...仕方ない、あいつらに助けてもらおう」
そう呟きながら、朝という時間帯ということもあり、人の多い学校への道のりを歩いていく。道中授業を欠席することも考えたが、やはり成績的にも休むのはまずいと判断し、親友達に助けを求めるのが一番だろうという結論に至る。
「それなら今日やることは...友達に事情を説明することか?あいつらなら信じてくれるだろうしな...ん?」
曲がり角に差し掛かったところで安全確認のためにふとカーブミラーを確認し、いるはずのない人物が視界に入ったような気がして強烈な違和感を覚える。道を曲がり気づかれないよう後ろを確認したことにより、疑念が確信へと変わった。そして、はっきりと聞き取れるであろう声でその正体を看破する。
「なんで社がついてきてるんだ?」
時は数刻遡り、望門が家を出た後
「乙女の心を弄んで...絶対に許しません...!」
社は下着は着ていたとはいえ裸を見られたことと、他と比べても大きいことから気にしている自身の胸のことをからかわれたことに腹を立てていた。
「ここに泊めてくれた時はいい人だと思いましたが...所詮男の人なんてそんなものですよね」
彼女は今、家の中に一人でいるためにその気持ちをなだめる人間は存在しない。とはいえ、人にからかわれたことで怒る理由は純粋な気持ちからだ。
「...もしかしたら研究所の人間に私のことを話すかもしれませんし、今日一日は望門さんに付いて回って性格を見定めましょうか」
世間一般的にそれはストーカーというものなのでは?と一瞬考えたが、悪人かどうかを判断するためなのだからと無理やり自分を説得させ、トーストを全て口に放り込み渡されていた鍵を持って外に出た。
「ええと...あの人かな?よし、気づかれないように...」
玄関の鍵を締め、ちらほらと道を歩く人の中から目標の人物を見つけ出し、気配を殺しながら見失わないようそろりそろりとついて行く。
最も、尾行は素人であるため、その容姿と行動から少なからず注目されているのだが。
「...!?なんでバレっ...」
「自分の容姿を省みなよ...それより、なんでここにいるんだ?」
そう問いを投げかけると、後ろめたさや罪悪感からだろうか?見つかった事による焦りを取り繕い、俯いて黙ってしまった。
「...はぁ、まあいいさ。出会ってまだ1日も経って無いし、僕の友達に会わせるためにも一緒に学校に行こうか」
「...学校って私も入れるんですか?」
社はその言葉に驚いたようだった。心情を隠すためにしてもオーバーな顔つきになった後、先ほどまでの態度はどこへやら興味津々といった調子でそう言った。
「うちの学校ゆるいからなんとかなると思うぞ」
「それはそれでどうなんですか...」
「まぁまぁ、それでどうする?...うちの学校のスポンサーにはあの研究所もついてるぞ」
ましてやあの天立向研究所だ。何らかのコネを使って社を指名手配している可能性すらある。迂闊に外を出歩けば補足される可能性は否定できないだろう。ただ...
「うーん...でも、学校にいるほうが研究所も仕掛けてこれないと思います。望門さん達と一緒についていれば襲われた場合に目立ちますし、それだけ目撃者が増えますから」
「たしかに。なら君的にも僕的にも今日は学校で動くのが一番だな」
...まぁ、社がいいならいいか。
そういうわけで、僕達二人は一緒に学校へ行くこととなった。
社ちゃんは結構立派なものを持っています()




