突然のできごと:転入生
金曜日に更新できなかったので詫び更新です。明日もちゃんと投稿...できるかなぁ...(遠い目)
窓があるというのに薄暗い部屋、その中で僕、澪さん、七邸先生は向かい合うように椅子に座っていた。
「いやぁ、望門くんが研究所に来たってのは聞いてたけど、まさかここで会うなんてねぇ」
そうのんびりと話すが、そもそも学校は研究所がスポンサーとなっている。研究所にいたとしてもそれなりに関わりがあるだろう、そこまで考えて、改めて先生がここにいる理由を考えてみる。
「...まさか、先生が何か問題を起こしたとか...」
「ねぇ望門くん、私のこと何だと思ってるの?」
七邸先生は心外といった風でそう返す。
いや、どこか適当だし一回本当に問題を起こしていた事があるからそう言っただけなのだが、どうやら違ったらしい。
「望門君、からかうのはそこまでにしておけ。彩斗は別に問題を起こしたわけじゃない」
その様子を見ていた澪さんは、半ば面白がっているようには見えたが、僕の冗談をたしなめた。
「まぁいい、本題に入ろう。彩斗、説明を」
「分かったぁ。えーとまず、望門くんは学校来てない、であってるよね?」
「そうですね」
ここ一週間は学校に行かず研究所で魔法の研究を行っていたため、嘘ではない。
「望門くんが来なくなってから学校で問題が起きちゃってねぇ〜...それの助けを求めに来てたのさ」
七邸先生は淡々とそう言う。
聞けば澪さん、七邸先生は気の知れた仲であり、仕事じゃなくても頻繁に話し合うらしい。
…あれ?澪さんって確か結構な年齢だったような...ということは知り合いの七邸先生って...
深く考えないことにした。
「それで問題というのは...」
「まぁ、それが副所長派の起こした行動だからここに来たのだろう?」
澪さんが言ったその一言で僕は驚いた。確かに研究所は勢力が分かれていると聞いたが、まさかここまでとは...
武尊から聞いた話では学校の実質的なスポンサーは澪さん派の人達だ。だから副所長派は学校へ破壊工作をしている...ということだと思う
「そういうことだろうねぇ...あっそうだ、いいこと思いついた」
話半分に考え事をしていると、七邸先生が不穏なことを言う。つい最近、一日の授業を全て授業参観にした先生だ。僕は嫌でも警戒心を高める。
「望門くん、武尊くん、忍ちゃん...あ、社ちゃんも入れたほうが面白そう。君たちが学校に来て潜入調査みたいなのをすればいいんだよ」
そして案の定、七邸先生の提案したことは、とんでもない解決法だった。
「くそ...なんでいっつも僕は振り回されるんだ...」
「まぁ、あの先生に言われちゃ仕方ないわな」
僕と武尊はそう会話を交わしながら、教室へ続く廊下を歩いていく。
あのあと澪さん、七邸先生と相談した話では、主に二つの問題が発生しているらしい。
一つ目は生徒による先生への暴力行為。もっと言えば、それによる先生の辞職が増えてきたのだとか。この問題は「何故暴力を行うのか」を相手から引き出し、あわよくば副所長派に繋がる情報を得て欲しいとのこと。
二つ目は生徒達からの情報で、差別的思考を持った生徒から嫌がらせを受けた、というもの。こちらに関してはその生徒自身が研究所との繋がりがある、と高らかに自慢しているため、確実な証拠を見つけて欲しいと頼まれた。
「考えても無意味だろうし、切り替えて行くか」
「そうだな」
ちなみに忍、社は別のクラスだ。社に関しては特例として学園への入学手続きを行っているため、武尊や僕よりもしっかりした権力を持つ家の忍の方が適任だろうとのこと。
まぁ、男二人と女性二人でちょうどよかったからかも知れないが。
教室に入ると、いつものように賑やかな談笑が聞こえてくる。僕達は静かに自分の席まで歩いていき、そのまま着席した。
しばらくするとチャイムが鳴り、全員の話し声が水を打ったように静かになる。タイミングを見計らったかのように、七邸先生が扉から...ん?
「えー皆、ちょっと注目」
いつもとは違い、整然とした七邸先生の声が教室に響く。先生は扉から歩き、普段は全く使わない教壇へと立つと、険しい表情で次のことをクラス全員に伝える。
「本日より、転入生がこのクラスに入ります。金山くん、挨拶を」
「初めまして、金山 鋼太郎です。皆さん、よろしくお願いしまーす」
先生がそう言うのと同時に、扉から一人の少年が入ってくる。
武尊と同じくらいの高い背、磨かれていない金属のように光沢のない銀髪、鍛えているのかがっしりとした体躯、それに加え、ハイライトのない虚ろな黒眼を持った金山さんは、何故か微笑を浮かべながら端的に自己紹介を行った。
「あれ?これ趣味とかの話したほうがいい感じ?まぁ、趣味はケンカ...の漫画を読むことだよ」
ケンカ、で一瞬口ごもったあたり、荒事に慣れているのだろう...
僕と武尊はそれだけで、「先生に暴力行為を行う生徒」というのが金山さんであることを確信する。
「...じゃあ、席は望門くんの隣で」
(嘘でしょ、この人何のためらいもなく僕に面倒事押し付けたよ...)
仕方のないことではあるだろう、自分に危害を加えてくるかも知れない相手なのだから。
だが、その行動の早さに僕は文句が言いたいのだ。
「君が望門、であってる?仲良くしてねー」
「う、うん...よろしく」
いつの間にか僕の隣に来ていた金山さんに、僕は少しどもりつつも、なんとか好意的に接することが出来た。
割とそのまんまなネーミングな金山君...一体誰がこんな名前を...(←犯人)
金曜投稿出来なかったのは作品のコンセプト等をしっかり決めていたからです。あとプロットを粉砕して50話くらいで完結するのを完結予定:未定にしました
これからもしっかり面白い話を書けるように尽力していきます




