救援
構える護衛に聞く
「一対一なら勝てるかい?」
「愚問ですな」
「それは重畳。じゃ、二人足止めして時間を稼ぐから、残りの二人を頼む」
「坊やが二人も倒せるんですかい?」
「んーそれは難しいかなー。でも、頭数二人を減らしてる間の時間稼ぎくらいなら、出来ると思うよ」
「自信家だな」
「期待してるよ」
「承知!」
護衛二人が両サイドの襲撃者を押し込んで引き剥がす。
すかさず、残りの二人も援護しようと動こうとするので、俺の出番だ。
支配スキルで相手の魔力及び周囲の魔力を掻き乱していく。
魔力を掻き乱すのはずっとじゃない。
相手もプロだ。
乱された魔力に驚きはするが、すぐに順応させようとしてくる。
なので、踏み込みや暗器を振る際などランダムで魔力を掻き乱してく。
とても神経を使うが、油断したら一瞬でこっちがやられかねない。
とはいえ、相手もプロだ。
段々、動きが洗練されていってる。
余裕を持って避けられなくなってくる。
流石に二人は欲張りすぎたなぁ。
(終わったら、絶対に助けた恩を着せまくってやるんだからな)
少しずつ、避けきれず剣で捌いていくが、それも限界に近くなってきている。
「痛っ」
ついに襲撃者の刃が俺の肌に届いた。
そろそろ限界だ。
何分耐えた?
十数分?
数十分?
集中し過ぎて体感時間はとても長く感じるが、実際は数分程度だろう。
正直、十分過ぎる程耐えた。
向こうはおそらく戦闘のプロ二人。
それに対してこっちはたった6歳の子供だ。
子供の一人対、大の大人二人なんて転生前の世界だったら絶対にあり得ない話だ。
だがこの世界ではこういう事がよくある世界のようで、容姿で相手は油断なんて全くしてくれない
段々こっちの傷が増えていく。
防戦一方の為、他の護衛が来てくれるか俺が死ぬまで終われない。
何か形勢逆転出来そうなものがないか考えてはいるが思い付かない。
(もっと手札が欲しいなぁ)
襲撃者も疲弊している為、隙が無い訳では無い。
しかし、二人を相手取っている以上、一人の隙を突くともう一人にやられる未来しか見えないのだ。
(なんとか、二人まとめて吹っ飛ばせないものか)
なんて、都合のいいことは起きたり…
ドドドッとものすごい勢いで、後方から何かが近付いて来る音が聞こえた。
確認したいが確認する余裕は無い。
何かは分からないが後方の何かに賭けてみるしかない。
タイミングよく避けられれば、攻勢に出れるかもしれない。
攻撃を捌きつつ、後方の音にも耳を澄ませる。
だいぶ近付いてきた。
もう少し、という所で音が消えた。
(なんだ?なんで音が消え…ッ)
そう思った瞬間、俺は吹っ飛ばされた。
ついでに襲撃者二人も吹き飛ばされたようだ。
幸い、その『何か』が敵であってもいいように、周囲の魔力で後方に魔力障壁を張っていたおかげで、衝突のダメージこそ無かった。
しかし勢いは凄かったようで、十数メートルは吹っ飛ばされた。
襲撃者は防御態勢を取れずに巻き込まれて吹き飛ばされた為、かなりいいダメージが入ったはずだ。
吹き飛ばされるがすぐに起き上がり態勢を整え、周囲の状況を確認する。
襲撃者の一人は俺に攻撃しようとしたタイミングで吹き飛ばされた為、不意打ちで気絶したのか起き上がらない。
もう一人は少し後ろにいた為、違和感に勘づいて防御態勢を取った様だが、それでもダメージを受けている。
相手が一人になりフラついているなら倒せるだろう。
しかし、新たな障害も確認しなくてはいけない。
周囲を確認するが、何も見えない。
受けた衝撃の感じで小さいものじゃないのは分かっている。
しかし、周囲にそれほど大きい生き物は見えない。
なんなら、周囲に見える生き物はいない。
(まずいな)
何に襲われたか分からない。
見えない相手が、第三勢力なのか通りすがりの魔物なのかで対処法が変わってくる。
魔物ならなんとか出来る可能性は高いが、第三勢力なら致命的だ。
ふらついている敵を倒したいが新たな敵なら不意打ちを喰らう。
とはいえ、現時点で見えないから、どのみち不意打ちは喰らいそうだ。
気合いを入れ直し両方の線で警戒をする。
魔物もしくは第三勢力どちらでもいい様に魔力障壁を全開で張る。
しかし、運はこちらに味方をしていたようだ。
目の前のふらついている襲撃者が、再び吹っ飛ばされた。




