奴隷契約と主従関係
父と母の追及とお説教も終わり、部屋戻るとアイリスが待っていた。
「お、おかえりなさいませ、ご主人様」
メイド服を着たアイリスがぎこちなく礼をする。
今日はもう疲れたしベッドに飛び込んでそのまま寝たかったが、寝ることは出来なさそうだ。
屋敷に帰って早々に見つかったアイリスは母に連れて行かれ、俺はそのまま父の書斎へ連行されたため、その後どうなったか分からなかったが、母に相手されていたようだ。
(母の追求が少なかったのはこれのせいか)
「メイド服似合っているね」
「ありがとうございます」
「それで君はこれからどうしたい?」
「わ、私は…行く場所も帰る場所も無いです。で、出来ればこのままご主人様にお仕えさせていただきたいです」
「俺はたまたま成り行きで君を助けた訳だけど、俺が良い人かは分からないよ?」
「それでも、私はあなたにお仕えしたいです」
それは危機管理的にどうなんだろうか。
いや、まぁ選択肢も無いような状況で聞く事じゃなかったな。
「そっか、ならお願いしようかな」
「はいっ」
アイリスは嬉しそうに笑顔で答えた。
さて、まずは奴隷契約の確認から始めよう。
「奴隷契約の確認をしたいからこっちにきてここに座って」
そう言って自分の座っているソファの横を指す。
トテテッと可愛い足取りで横に来てちょこんと座る。
「それじゃ、奴隷契約を…っと、まずはこっちが先だな」
「?」
アイリスのメイド服は可愛いがメイド服には似つかわしくない物がついている。
そう、逃げてきた時から付いている鉄の首輪と手錠である。
(そういうプレイに興味が無い訳ではないが…)
強制というのは良くない。
何より可愛い見た目にそぐわない。
なので外す事にした。
首輪も手錠も鍵が無いと外せない。
無理に外そうとするなら切断したり溶かしたり壊したりして外すしかないが、肌を傷付ける可能性がある。
それを考慮して母や他のメイドたちも無理に外そうとしなかった。
今日一日でこの支配スキルがどんなものか、そしてどんな事が出来るのか色々発見出来た。
おかげで鍵が無くても、支配スキルでなんとか出来るんじゃないかと思考を巡らせる。
支配スキルで手錠を支配して…上手くいきそうにない。
魔力錠みたいな物であれば出来たんだろうけど、物理的な鍵が必要なので上手くいかないのか?
出来ないなら仕方ない。
考え方を変える。
物理的な鍵が無いなら作ればいい。
手近にあった蝋を手に取り魔力支配で空気中の魔力を使い、錠の内部構造を把握して、それに合わせて蝋を変形させ折れないように魔力で硬化させて鍵の代用とする。
無事、首輪と手錠を外す事が出来た。
唖然とするアイリス。
今日、何度目のその顔でだろうか。
驚いている顔も可愛い。
小さい子が好きな子にちょっかいをかける気持ちが少しだけ分かった気がした。
まぁ、あれは大抵の場合、相手の女の子からしたら嫌がらせやいじめみたいになってしまう事が多く、悪気が無くても嫌われてしまう為、世の男性諸君気を付けたまえ。
だがしかし、錠に手を当てて蝋を取ったかと思えば、それを鍵の形に変えあっさりと解錠してしまったのだ。
驚かない方が難しいだろう。
だから、俺は悪くない。
いや、こういう慢心が良くないんだ。
俺も気を付けよう。
「驚かせてごめんね。錠が付いていたとこは痛まないかい」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます」
「それじゃあ、本題だ。奴隷契約の確認をさせてね」
首元の奴隷紋に手を当て、「コントラクト、オープン」と唱える。
奴隷契約書
対象奴隷:アイリス・マリア・マナトラム
契約形態:性奴隷
契約期間:無期
契約内容:
対象奴隷は身体の全て及び精神に至る全てで所有者へ奉仕し、所有者において満足が得られるまで尽くす事を誓約する。対象奴隷は所有者に対し、永久の忠誠と絶対服従を誓約する。対象奴隷は所有者に対し全ての権利を譲渡し一切の要求を求めてはならない。対象奴隷は所有者の意思に背く事及び逃亡は如何なる事があっても許されない。
所有者は当奴隷の身体の全て及び精神に至るまで権利を有し、本契約含めあらゆる契約及び誓約等に違反した場合、奴隷紋による処罰及び処刑を執行出来る。また違反の判断及び執行において所有者に全権が委ねられる。所有者は何ら制限を受ける事なく対象奴隷の売買、譲渡及び貸与が出来る。
契約変更不可:
契約形態及び契約期間の変更は所有者であっても不可とする。契約形態に付随した契約内容の変更は所有者であっても認められない。処刑による廃棄以外での解放は所有者であっても認められない。
所有者:フェイル・ドミネ・スカーレット
とんでもない内容だった。
他の奴隷契約を見た事がないので、比較は出来ないが酷いとしか言えない。
なるほど、この契約変更不可の部分があるから奴隷解放が出来なかったのか。
改めて、支配スキルを使ってみるが、現状では解放することは出来ないようだ。
そして初めて見たらしい契約内容に驚き哀しみショックを受けそして照れ恥ずかしがるアイリスはまるで百面相のようだった。
「えっと、とりあえず奴隷としてじゃなくて使用人としてこれからよろしくね」
「わ、わかりました。ご、ご主人様」
うん、照れてるのも可愛いんだけどね。
「さて、夜も遅くなってきたし、そろそろ寝ようか」
アイリスがビクンッと肩跳ねて返事をしてくる。
「はっはい、よよy、よろしくお願いします。だ、旦那様!」
あ、これ完全に勘違いしてるやつだ。
「違うよー、部屋に戻って寝ていいよーって。奴隷じゃなくて専属使用人として明日からよろしくね」
勘違いと知ったアイリスはさらに真っ赤になり。
「はい…おやすみなさいませ…旦那様」
目をぐるぐる回し顔を真っ赤にしつつ、油の切れたロボットのようにカクカクしながら部屋を出ていった…
思わず抱きしめたくなるくらい可愛かったがちゃんと自制した。
そして、今度こそベッドへダイブし深い眠りへと落ちていった。




