100 シャザールの街 3
若い神官はなにかの買い物の帰りなのだろうか。
手に持った袋には野菜などが入っているのが見えた。
「巡礼の方ですか?」
「いや、旅の途中ですよ」
「旅の? ほう、珍しい」
「祖父が一度行った事のない所へ行ってみたいというので……」
「祖父?」
そう言うと男はあたりを見回す。当然この場にグランパ居ない。確かに「ん?」となるだろう。
「祖父は今、宿で寝ていますよ」
「ああ、なるほど」
「旅に疲れたのでしょう。起きるまでの時間つぶしですよ」
「ふむ……。魔法の練習をしていたのかな?」
「ええ、まあ……」
見ていたのだろうか、それともたまたま?
うーん。なんとなくこの街の存在自体に警戒してしまってる俺がいる。単なる興味本位で聞いているのだろうけど、それでも目の前の神官に素直に話をしにくい自分がいる。
「魔法は神からの贈り物です。良き力を頂きましたね」
「神、ですか?」
「ええ、当然この世界のすべてが神の意思で作られた物ですから」
「へえ……」
あああ。駄目だ。宗教に関して割とドライな日本人の感覚のせいか、こういった宗教発言に冷めた反応をしてしまう。ファンタジーな世界なだけに神の存在も割とリアルな筈なのだが、心に染み付いた感覚なのだろうな。
でも、ティリーにとってはそうではないようだ。
聖地の一つであるシャザールの街の神官だ。それだけで尊敬の対象になるのだろう。ウンウンと頷きながら彼の話を聞いてる。




