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成長1 「予言、旅立ち」

「残念じゃがお主はあと10年以内に死ぬ」


「えええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」



  『ー10年以内に死ぬー』


 その言葉を聞いて私は顔を青ざめ絶望する。

 私、ラクルス=ナミレは、王都の南側の道沿いにある村ムルアースで、農業を営む両親のもとに生まれた綺麗な長い金髪が少し自慢の普通の女の子。


 有名な預言者のお婆さんを乗せたキャラバンが村の付近を通るからって聞いて、急いで向かって占ってもらったらこんなこと言われて…。


 昨日18歳になったばっかで、全然生き足りないし……!

 それに10年以内って、10年の間いつでも死ぬ可能性があるってことでしょ。いつ死ぬかわからない不安感が半端じゃない!


「なにか助かる方法とかはないんですか!?」

 死期がわかるんなら、助かる方法とかも教えていただけないかなぁ。

「幸運なことにお主は全能力の成長が100倍という特異で強大な能力を持っておる。わしが今まで生きてきた中で最も強力じゃ」


 成長が100倍…。凄い魔法や、特殊な能力が使えるみたいな派手なものじゃないけど、めちゃくちゃ凄そうなのはわかる。その能力について心当たりはある、昔から何でもすぐに上達することができたんだった。


 幼い頃から走ったり、動き回るのが好きで、今では馬より速く走れる。


 両親の手伝いで重いものを持っていたら、今では100キロ越えの荷物も息を切らさず運べる。


 石投げも昔からしていて、今では飛んでる鳥も落とせる。


 それらのことをお父さんやお母さん、友達や村の人は凄いって言ってくれてたけど、それはただの村の中だけの話って思ってた。

 預言者のお婆さんの言う通りなら私の想像以上だったみたい。


「お主の能力を上手く使えば、もしかしたら死の運命から逃れることができるかもしれん」

「本当ですか!?私が今後何すべきかとかも占えますか!」

「わしが見えるのはここまでじゃ。これから言うのは単なるアドバイスじゃが、仲間探しでもしてみたらどうじゃ?では強き娘よ、さらば」

「えっちょっとー!」


 お婆さんはそう言い残すとキャラバンの馬車に乗って出発してしまった。


「唐突過ぎるし、私どうしたらいいの〜〜!!!」


 言い切れない感情をその場で吐き出すが何も解決することはない。

 これは近いうちに人生最大の決断をすることになりそうね。


ーーーーー


「今日このムルアースを出ます」


 あれから三日後、私はこの世界を旅して生きる道を探すことを決めた。

 案外早く決めれたけど、もしかして決定力も成長するのかな?

 

 まず最初にしなきゃいけないのは両親とのお別れだ。


「お父さん、お母さん。ゴメンね勝手なこと言っちゃって」

「ラクルスいいんだよ、お前が決めた行動をしなさい。父さんと母さんは大丈夫だから」

「母さんはあんたはこんな村でずっと過ごしてるような器じゃないって思ってたよ。気をつけてね」


 こんな時も温かい言葉をかけてくれる優しい両親の元を離れるのは辛いけど、旅から帰った時に私の冒険譚(ぼうけんたん)を話すのが楽しみで仕方ないな。


「それじゃあ行ってくるね!」


 そう言い残して手を振る両親に手を振りながら離れていく。


「ラクルスちゃん頑張ってな」

「ラクルスお姉ちゃん絶対生きて帰ってきてね」

「お前さんがいなくなると寂しくなるのう」


 村の人達からも別れの言葉をかけられる。


「みなさん今までお世話になりましたー!世界を見てきます!」


 これからは本当に1人ということを痛感させられる。

 でも自分で決めたことなんだし後悔はない。


「はてさて、まずは王都でも目指しますか」


 この村から北にあるアレス王国の王都タルク。

 整備された道を辿れば徒歩で1日ほどで着くはずだ。


 行ってなにをするかは決めている、とにかく仲間を探すんだ。やっぱり1人だけだと心細いし、誰か一緒に旅してくれる人いないかな~。


 歩きながら持ってきたものを思い出す。

 まず1番大事なお金、1000G(ガレン)。平均的な一食が3~10Gくらいで、一泊が安いとこで20G、結構良いとこで100Gぐらいだったかな、安い場所に泊まればひとまず何週間かは過ごせるはず。

 次に鞄、背中にかけるタイプで結構な容量が入る。

 そして必要になるかもしれない長剣、もしもの時のためにお父さんがくれた。

 あとお母さんが作ってくれたハムとレタスと卵のサンドイッチ。王都タルクに着くまではこれで足りる。


 何事もなく平原を眺めながら歩く。いつものように綺麗な草花が辺り一面咲き乱れ、道の隣を流れる小川の水が太陽を(きら)びやかに反射している。

 ムルアースからタルクまでを繋ぐこの道は『ナルア(どう)』と呼ばれ、ナルアという回復薬にも使われる花が取れるので有名な通りだ。

 私と同年代の子は村にはいないから、1人花畑の中で走り回って遊んでいたりもしたなぁ。


 昔の思い出に浸っていると、風に流されてたくさんの紙が宙を舞って近づいてきた。

 えいっと数枚取ってみる。


「えと~なになに、手配書ってやつかなこれ」


・S級賞金首 刻面(きざみづら)ザザムム 150000G(ガレン)

[冒険者を狩る要注意人物。被害者は全員死亡している。被害にあったものはA級以下の冒険者27名。長身の男性であり、顔には自分で彫ったと思われる無数の文字が刻んである。個人としての戦闘能力が非常に高く、二刀流の不思議な剣技を扱う]


 恐ろしい顔の人が載ってる…シンプルに異常者で怖い。


・A級盗賊団 (あか)(ちかい) 頭首(とうしゅ)キャリス25000G 副長ソラク 20000G 団員 2000G

[最近頭角を現した盗賊団。団員は全員赤い布を体のどこかしらに巻いているのが特徴。タルク近辺を縄張りにしており商人が多く襲われ被害は甚大。もとは現副長ソラクが率いていたが、少し前から突然現れたキャリスが支配している。頭首のキャリスは非常に腕の立つ女剣士で、上級呪文も使うことが確認されている。団員も手練れであり全員C級冒険者以上の実力があるとされる]


 この頭首のキャリスって人、若いな。私と同じくらいかもしれないのに凄いことやってるなぁ。他の団員や、特に副長はごつい感じなのに、華奢な女の人が仕切ってるって面白いな。

 

・B級賞金首 慈愛家(じあいか)ハギー 8000G

[魔物に味方する危険人物。元はB級冒険者だったが突然自分のパーティーを裏切り3人を不意を突いて殺害した]


 好青年って感じの出で立ちなのに、危険人物過ぎる。


 数枚を手に取って見てみたが、載っている絵と説明が怖い。

 こんな人達と遭遇したらと思うと恐ろしい。


 でも危険度ランクはD~A、その上にSとSSがあるらしいので、今見た手配書の人達は相当高いランクだしそこらにはいないでしょうと、勝手な安心をする。

 S級以上になると全大陸共通指名手配になって色んなところに手配書が配られるらしいので、ザザムムって人はこの大陸にいるかすら怪しい。

 赤の誓ってのがタルク周辺にいるらしいけど、到底お金を多く持っているとは思えない女の子1人を襲わないでもらえるとありがたい。

 

 まあそんな危険な人たちは冒険者や衛兵がやっつけてくれるでしょ、私は気楽に王都に進みますか。


 というかなんで手配書が飛んできたんだ?

 まあわからないことは考えないでおこう。


 一体これからは何が起こるのか、どんな人々と出会うのか、不安もあるけど結構楽しみだなー。

 そんなことを思いつつとことこと歩き出す。

 

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