#1 黄泉の夢
一気に書いてそのまま載せたので、誤字脱字所々あると思います。すみません、どうぞ#1だけでも読んでみてくだされば幸いです。
主人公 メル…18歳♀ 現在一人暮らし
目を覚ますと、自室のベットにいた。寝起きが悪い身体をゆっくりと起こし、しばらくぼうっと部屋を眺めていた。二度寝をしようかと、シーツに顔を埋めようすると、ベットの半分くらいシーツが剥がれていた。捨てたはずの薄水色に白い花火のような花柄のシーツ。これは冬用なので取り替えたはずであったのに。不思議だったが眠気が勝ち、そんなこともあるかと適当にやり過ごし、うつ伏せて再び目を閉じた。しかし眠れなかった。というより、寝るってどうするんだっけと我にかえった。何となく違和感を感じ、部屋を歩き回って携帯を探した。なぜならメルは不安なことがあると、すぐに携帯に心で思ったことを書き込む癖があった。それが彼女の心を保つ唯一の方法だった。メルは何でも頭で考えると、長時間止まらずに考える。そうすると、頭が毎度爆発するような頭痛に襲われる。だから、考え事をする時は書き出すようになった。書き出す時は、頭の中のごちゃごちゃとした考えが外に出ていく。文字が頭を整理してくれるので、メルにはこれが欠かせなかった。だからまずは携帯を見つけなければならなかった。メルは携帯を片時も離さないので、寝るときにも枕元に置いていた。しかし見当たらないので、部屋中を探すことになった。しかし不思議なことに部屋中を探そうと思って動き始めると、何故か既に手には携帯が握られていた。メルは特にこれに何の疑問も持たずに携帯を開いたと同時に心がすっと軽くなるのを感じた。すぐにメモを開いて、書き込んだ。
(ここは、どこ?)と。
ここでメルは気づく。先程から、頭がふわふわしているし現実ではあり得ないような感覚がいくつかある。
(もしかして夢?)
夢なのかもしれないと、そこでやっと思った。しかしあまりにもリアルなのである。メルの行動も現実と何も変わらないし、部屋も少し違和感はあるけれど細部まで現実の部屋と変わらない。買ってから一度も読んでいないまま、引き出しの奥にやられた本まで内容が全て書かれている。これはおかしい、こんな夢は見たことがないとメルは焦った。もっと情報が欲しいと思い、1度部屋を出てみることにした。襖を開けると、そこには小さな細い廊下があった。自分の家の玄関に続く廊下と同じ木目なのだが、それよりもはるかに長くその廊下は続いていた。本来なら壁があるはずのところまで突き抜けて道は通っていた。そして何やら学校のような雰囲気だった。しかし人の気配は全くない。少しネオンのようなピンクの光がチカチカとしていま。闇雲に部屋を出るのも危ないと思い、やはり自室に戻った。そして考えた。
(ここは、たぶん夢。だったら目を覚ませばいいんじゃないか。衝撃を与えて目を覚まさせようか。)
メモに意向を書き込み、まずはほっぺたを叩いたり引っ張ったりしたが覚めなかった。そこで思い切って地面に倒れて、何度か目を覚ましたことがあるのを思い出してやってみた。
すると、目が覚めた。自室のベットだった。
(あー、よかった。夢だったんだ、最近夢みないのにどうしたんだろ。まぁいいや。)
自己完結して、とりあえずシャワーでも浴びようとベットを立つと急に吐き気がした。ムカムカと気持ち悪くなって、その場にしゃがみ込んだ。どうしたんだろうと不安になり、もう一度携帯を取り出した。
(なんか変なもの食べたっけ?なんで思い出せないんだろう…変だな…)
「何が変なの?」
目の前に、弟が立っていた。
「え、なんでいるの?」
母と2人で住んでいるはずの弟が、何故か目の前にいた。
「なんでって言われても…」
「ここ、現実だよね?」
「現実?」
「いや、なんでもない…。」
少し話していて分かったことは、この人は弟じゃない。
「誰?」
「分からない、僕は僕でしかないから。」
そう、なんともふわふわした答えしかしない男。とても弟に似ている。幼少期の弟をそのまま大人にしたような雰囲気があった。髪の毛はゆるいパーマで栗のような色の髪の毛、色白でなよっとした人物。声は弟そのものだった。性格は弟よりも繊細さが表に出ているようだった。
「誰なの?どこから来たの?ここは夢なの?」
私はとにかくその男に質問をぶつけた。
「え…」
その男は、とてもビックリした顔をして床に蹲った。そして何かボソボソと言っている。メルはその姿を見て、妙にイラついた。
「何?!聞こえないんだけど!」
男の方を掴んで顔を上げさせた。すると、
「知らない、わからない。気持ち悪い…頭が痛い…!」
男はとても動揺したように苦しんでいた。
「ごめん…。」
メルは先程の自分と重ねて、悪いことをしたと感じた。この男も私と同じで夢に迷い込んだのかもしれないと思った。
(夢に迷い込むってなに?ここは夢ということで間違いないってこと?でも明らかに思考はしっかりしてるし、さっき倒れて目を覚ましたはずなのに。もしかして、死後の世界…?実は眠ったまま死んだの?)
もう、メルには分からなかった。もしかしたら死んでしまっているのかもしれないと思うと、周りに人が全然いないことからも、なんとなく現実味がないことから察することが出来る。
(自分が死んだことを飲み込めない幽霊になったのかもしれない。そして自分の部屋を彷徨いているのかもしれない。でもそれを確かめる方法も分からない。)
メルは自分が死んだ前提で考えることにした。
「とりあえず、起きて外に出てみよう。」
そう男に声をかけた。
男は呆然とした顔で、動かない。
「名前は?もしここが死後の世界でも、楽しいかもしれないよ。」
メルは少しだけ気を使ってみた。すると男はメルの方を向き、水色のブレスレットを差し出した。
「これあげる。僕が作ったんだ、他にも色々あるけど水色が似合いそうだから。それと名前はニールだよ。」
「ありがとう…。」
(ここは、外国なのかな?いや、たまたまこの子が外国人のような名前なだけ?私もメルだし、日本人にしては変わった名前だし…、まぁどうでもいいや。)
もう、頭の中も事態のヘンテコ具合に呆れていた。
ニールの手を取り、ドアを開けた。その時気づいたがニールは私よりも少し背が低かった。歳でいうと13くらいの男子のようだった。
ドアを開けると、前に見た時とあまり変わらなかった。しかし1つだけ違う点があった。人がいるのだ。そして廊下を進むと、一部屋だけ明るいところがあった。部屋の前に着くと、ニールが
「ここに入ろう!」
と言った。
「え、なにここ…?」
その部屋は学校の教室を3部屋くらい繋げたような作りになっていた。天井からネオンの豆電球がたくさん吊られていて、全体の内装は白かった。とても中は賑わっていて、入り口には2人のウェイターがいた。
「どうぞ、入って〜!」
「ニールじゃん。お前、最近何やってたんだよー!」
急に詰め寄ってきてウェイターの男2人は喋った。
服装はいわゆるウェイターの正装であるのに、片方は髪の毛が赤、片方は金髪。二人とも喋り方がチャラい。
「あー、ごめんね〜。」
ニールは、金髪の方とペチャペチャと喋っていた。何も思い出せないと言っていたのに、なんで知り合いがいるんだろうとわからなかった。その出来事をメモしようと携帯を開こうとすると、手で画面を閉じられた。
「何してんの?ダメだよ、ここで携帯を使っちゃあ。」
赤髪の方が、そう言ってきた。
「あ、すみません。」
反射的に謝ってしまったが納得は出来なかった。入るならさっさと入りたいと思ったが、ニールがまだ金髪と喋っていた。喋っていたがムカついたので1人で入って行った。するとニールが
「あ、待ってよー。」
と言いながらついてきた。
席に座ると、自動的に別のウェイターが来た。この人の髪の色は緑色でいわゆるマッシュヘアというやつだった。ふわふわしたパーマまでかかっていた。
「何にしますかー?」
「また後で呼びます。」
と言うと、
「じゃあ後で来まーす!」
と言いながら、目の前にメロンソーダを置いって行った。何も注文してないのにおかしいなと思いながらも、メルはこれが大好きだったので何も言わなかった。
席について1.2分も立たないうちに、5.6人のグループが店内に入ってきた。そして何も遠慮することなく、同じテーブルに相席してきた。さもいつも会う友達かのように。
「あれ、メロンソーダじゃん、ちょーだい。」
金髪の巻紙の派手な女子が、メルはのメロンソーダを奪った。メルはもう訳がわからなかった。訳は分からなかったが、これは夢もしくは死後の世界なんだと悟った。そしてもしこれが本当に夢だった場合、冷めると忘れてしまう気がした。そうならないように、ルールを破って携帯を取り出した。
(ネオンのクラブのような食堂、そして派手な髪のウェイター、メロンソーダを頼んだが派手な女に奪われた。)
少しでもたくさんの要素を思い出せるようにメモをした。メルがこうして書き込むのは、思考を整理するだけではなく忘れたくないことも同様である。そして忘れたくないことはいつか物語にして書いてみたいという夢がメルにはあった。
(つづけてもいい?)