6 『知識の書《グリモワ》』
木の上での生活は既に一月たった。
度々、獣との遭遇はあったが隠れ、遣り過ごし、逃げたりして
なんとか生き残っている。その間したことと言えば
木の上での雨対策と槍とナイフの作成だ。
黒曜石を石で叩きつけ割る。その破片で槍先や斧を作成。ナイフも同じだ。
そこに倒木を加工して、槍先やナイフの刀身を括り付け
石器時代の武器を作成してみたが、未だに肉の確保には至っていない。
あと、雨対策だが倒木を利用して、骨組みを作りその上に小枝を敷き詰め
むしった草をさらに載せ飛ばないように倒木で挟み込んで屋根を作った。
インベトリーがなかったらとても出来なかった。
その作業の合間にスキルのことを色々実験したりしてみた
まずよく解らなかった知識の書
実はスマホだった。切っ掛けはインベントリーの時間経過を調べる為に
電源を付けたまま、二日間ポケットに入れて置いたところ
全くバッテリーの残量が減っていない事に気付き
鑑定をかけたところ『知識の書』とでた
その当時、鑑定ではまだ詳細は解らなかったがスマホを弄っていると
アプリの中に『知識の書』が存在していた。
開いて見ると百科事典ようだった。内容は自分の知っている地球の知識だった。
「使えネェ~」思わず頭を掻きむしった
鑑定といいグリモワといい、全く不親切極まりない。
しかし、たった一つの項目が救いだった[魔法についてその学びかた]
思わず我が目を疑ってしまった。何度も眼を擦って観たが間違いなくあった。
その項目を開くと魔法の理念、習得方法が記されていた。
それによると魔法とは人の意思、イメージや概念をキーワードを元に
具現化させるものとあった。ただし、具現化させるにはそれ相当のエネルギーが
必要で、そのエネルギーに当たるのがMPと呼ばれるものと空気中に拡散して
いる魔粒子、一般的は魔素と呼ばれる物らしい
人が魔法を使うにはまず、自分の中にあるエネルギーを感知しないと始まら
ないらしい。一般的に数ヶ月掛かって、魔力を感じ取れれば才能がある方と
記載されていた。
夜は暇なので、横になりながらあれこれ試したが、一向に解らず
眠りに堕ちてしまう始末。これではイカンと思って座禅を組み瞑想を試みる。
自分の内なる世界に神経を集中させる。此処最近になって、心臓の付近に
何か暖かい物を感じ取れる様になった。それを認識をして循環を試みるが、
まだ動かすことは出来ていない。
それと『鑑定』だがグリモワと連動出来ないものか試して見ると
スマホをインベントリーのなかに収納して、念じて見るとあっさりできた。
この一月の間スキルレベルを上げる為、収納と鑑定を昼間、時間が有る限り
繰り返し夜になると座禅を組むそんな日々を過ごした。
『そろそろ肉が尽きてきた~』




