295 勃発
セイ侯爵邸から関所に転移して
「すまん遅くなった。もう一度各部屋が空であること確認してボーダー迄待避しろ。これは命令である。俺は一応奴らの宣戦布告を待っている。この関所は明日、日の出と共に放棄する。ご苦労」
兵士達は敬礼をして命令を実行した。
日の出迄後7時間、門が閉まっていること確認して物見櫓に上りフォース軍が来るのを待つ間セイは『隷属の首輪』の解析を行った。
結果、『催眠暗示』『自動登録』『自動調節』が付与されていた。
『暗示』で思考を鈍らせ恭順を促し『催眠』で逃亡、登録者への暴力を禁じ違反すれば段階的に呼吸が出来なくなり鍵を掛けることで登録者が自動で登録されるようになっていた。『催眠暗示』似た効果の物を組み合わせる事によりスロットを節約してコストを下げたと思われた。
『なるほどこうなっていたのかこの程度なら作れるな』セイは魔鉄で腕輪と首輪を作り『催眠暗示』『自動登録』『自動調節』を付与し『隷属の首輪』『隷属の腕輪』を完成させ『自動工場』で『隷属の腕輪』を1万個設定して待機させて『異空間』の中に入り小部屋程の別空間を作りその中に鉄、銀、等のインゴットを置き魔力を流し込み高濃度の魔力空間を作りあげその空間から出て高濃度魔力空間を『魔力部屋』と名付け時間設定を魔力部屋の1年を現実時間の1分つまり24時間で144年と設定して扉に注意書きを張りセイしか入れないようにしたい。そして異空間から出て日の出を待った。
そして、日の出。緩衝地帯を闇を押し退けるように光が辺りを明るく照らしだし土煙が見えて騎士団達の姿が小さく見えた。騎士団達の姿がだんだんと大きくなり関所の10m程手前で止まり。団長らしき男が関所に向かって
「関所の者に告げる。大人しく投降して開門せよ!さもなくば攻撃する。火矢を放て!」
『馬鹿かこいつ投降を呼び掛けて時間を置かず火矢を放つって生かす気はないってことか?』
騎士達は門に向かって火矢を射かけるがなかなか燃えなかった。普通、砦や関所、城門等の門は火に対して対策とられていることが普通で燃え難くなっている。数百の火矢が撃ち込まれたがなかなか燃えないかれこれ1時間程火矢を放つが門は燃える気配すらなかった。とうとう火矢が尽きて業を煮やしバトルハンマーを持った数人が門の前に立ち門を叩くが壊れそうな雰囲気でない。そう単なる力自慢がバトルハンマーを振り回しているだけだった。
『そりゃ壊れんわ。硬化の魔法が掛かっているし魔石の魔力が尽きる迄は壊れ無いな』
門をバトルハンマーで叩いていた者達は次第に疲れていき叩く音も弱くなりとうとうへたり込んでしまい代わりの者と交代して門を叩き始めたが門はびくともしなかった。
「聞いていた話と違う」「何をしている」「門を開けろ!」等と団長らしき男が喚き散らしているが一向に門は開きもせず壊れもしない。
『シータ、キャロット騎士団の背後に回って俺と体格の似ている奴を2人捕まえて来てくれ。キャロットは馬を誘導。このままじゃ埒があかない。本隊と合流するまであいつらこの関所突破出来ないぞ』
『『ラジャー♪』』
『イプシロン、このメモをボルドに渡して』『うん♪』
シータは騎士団の背後に回って最後尾のセイの体格に近い2人を眠らせ影に入れて戻り、キャロットは空いた馬や予備の馬を従えさせ命令がある迄人間に従えと命令して2頭の馬を影に入れてセイの元に戻った。
『『戻ったよ~♪』』『お疲れ様』
セイは2頭の馬の馬具を取り外し異空間に入れて捕らえた2人の装備を剥ぎとり2人に首輪と腕輪を嵌めてロープで拘束して異空間に放り込んだ。セイは奪った装備に着替え認識阻害の仮面を付けて兜かぶりキャロットにも騎士団の馬具や鎧を装備させてキャロットと共に騎士団の後方に転移してキャロットに騎乗したままバトルアスクを担ぎ少し周囲に威圧を放ちながら門に向かった。
セイの周囲は異様な雰囲気を感じその元凶から離れようとセイが門に進むと門迄の道が開きセイは騎乗したまま門に横付けしてバトルアスクを振り上げ一閃して門の閂を切断して無言のまま団長らしき者の元迄行き、
「何をしているんだ?門は押せば開くぞ」「えっ」
騎士団の者達はセイの威圧に圧倒されバトルアスクを振り上げた迄は見えたが振り下ろした瞬間が見えずただ門の前に騎乗したままバトルアスクを構えそのまま戻っていったようにしか見えなかった。普通なら笑いが起こるところだがセイの威圧で笑いは起きず皆が唖然としていた。セイが団長に言葉を発した頃、門が僅かに開き歓声が沸き起こり、騎士団全員の注意が向いた瞬間セイは気配を消して最後尾まで戻り、団長の『突撃』の号令を聞き騎士団達の雄叫びと突撃する様を見守ってキャロットの装備と自分が装備していた物を収納して普段の装備に戻した頃「なっなんだ、これは~!」という怒鳴り声が聞こえてきた。
『さて、奴らはどう動くかな?』
◆◇◆◇◆◇
フォース騎士団団長side
日の出を迎えたいよいよフロントに攻め入って村を蹂111躙する時間だ。関所はバタンなる者と暗部の手によって制圧されているはず。
ん?門が閉まっている。到着が早かったか、これでバタンなる者も気付くはず
「関所の者に告げる。大人しく投降して開門せよ!さもなくば攻撃する。火矢を放て!」
火矢を射かけても門は燃えない。「もっと火矢を!」どんどん火矢射かけて門を燃やすのだ。しかしおかしい何故門が開かない。声が届いて無い訳がないしまった火矢が尽きてしまったか。
「バトルハンマーで打ち壊せ!」
部下が危険だが仕方がない。ハンマーを打ち衝ける音が響きうるさい。次第に音が小さくなっていき部下は息絶え絶えにへたり込んでしまった。「何をやっておる。交代して門を打ち破れ!」なんて頑丈な門なんだ。これでは今日中に関所を陥落させる事ができんではないか。
よじ登る?無理だ。梯子は持って来ていない。作る?木がないし道具が無い。戻って破城槌を持って来る。戻ったらいい笑い者になる。
うーんどうしたものか。ん?何か変だ。隊列が崩れ見事な黒い馬に股がった小柄な騎士の前が開いて道が出来ているなんだこの光景は門の中央に陣取り何をしようよするのだ。ん?バトルアスクを構えたまではいいが何故儂の方に向かって来る。なんだ、なんなんだこいつは!なにがしたい。そいつは俺のお近くまで来て抑揚の無い声で言った。
「何をしているんだ?門は押せば開くぞ」「えっ?」
思わず変な声を出してしまった。その時門の前で歓声が沸き起こり一瞬そちらに意識が向き気付くとそいつは居なかった。誰だあいつはあの不気味な者は?「団長」と側近の者が小声で号令をかけろと促す俺はあいつの事を忘れる事にした。そうこれから始まる楽しい時間を夢見て。待ちに待った略奪の時間だ。「突撃!」
我先に関所ある物を自分が奪うのだと『号令』と共に皆が関所の門に押し寄せ犇めき合う。門を通過する時一刀両断された太い閂を見て又あいつの事を思い出し、関所に入って又あいつの事が脳裏から消えた。
建物だけで閑散とした関所の内部。誰もいないそれだけではない何も本当に何もなかった。井戸の桶さえなかった。そして思わず叫んだ「なんなんだ。これは~!」
「関所内を隈無く探索しろ!第2、第3の中隊長以上を至急この場に集めろ!」
◇◆◇◆
「予定が狂った。ここで合流して補給する筈の物資、食料が無い。持って来た食料は後2日そこで諸君達に聞きたい。どうすべきかを」
「後、2日ある近隣の村を襲えば良い」
「森に入りましょうそれなりに食べる物があるはずです」
「森に入るのは危険です。部隊を分けて一部本隊に向かわせ食料を分けてもらいましょう」
どうも意思統一が出来ないようだ。
「目的の村まで馬車で3日我ならば2日で着くが食料が全く無いと言うのも不安が残る。本隊との距離は4日程離れている本隊に向かわせ食料を調達するのは無しだ。それまでに我々の食料が尽きてしまうよって百名を関所に配置して直ちに進軍して森の手前で布陣してそこで森で食料を調達する。以上」
2千の騎士達はすぐに出立準備を整わせ関所を後にした。




