292 開戦前夜
ハルカとのミーティング?軽い打ち合わせしてサーシャに作ってもらった戦闘服と認識阻害の仮面をハルカに渡して華陽、ポーラ、雪、オメガを残しセコンドを出ると15時近かったのでフロントに戻り馬10頭を引き連れ関所にワープして20名の兵士達を見送り敵軍の様子伺った。『この分だと明日の明朝だな』兵士達に食事を取らせ暗くなったら等間隔で有りったけの松明を灯すように指示してボーダーに戻り作戦を変更するかどうかアレン達と相談した。
「敵の部隊は関所の近くで陣を張って明日の朝、関所を攻撃する積もりみたいだ。ちょっと作戦を変更してみようと思うんだ。今夜、馬を奪おうかなって思うんだけどどうかな?」
「効果的ですが敵は進軍するか、撤退するか迷うところですよね」
「あっしなら迷わず撤退しやすね」
「俺もそうする。だから迷っているんだ。関所を突破してボーダー迄馬なら2日ってとこだけど取り敢えず関所は調べるよな。その後が問題でアレンならどうする空っぽの関所だった事が判って?」
「関所を壊すかどうかは別にして私なら森の手前で一泊します。森を休憩無しで突っ切りたいのなら森の手前で一泊して一気に駆け抜けるしか無いですしね」
「だったら今晩仕掛け無い方が良いか。領内の方が大義名分がたつからな。わかった。森の手前で一泊する様ならそこで馬と食料を奪おうそれで撤退する様なら俺が退路を絶つそのまま進軍するのなら作戦通り森で迎撃でどうかな?」
「なぜ変更を考えたのですか?」
「個人的な事情も有るけど少しじれったいし馬が可哀想になったって言うのもあるかな。たぶん道を封鎖して周囲から弓で攻撃すると怪我をしたり死ぬ馬も出るし治療するにしてもポーションがもったいない。本番ならいざ知らずたかが前哨戦いまだに宣戦布告せず進行して来るんだ所属はどうであれ盗賊だろ?
それにこの戦争余り利益が出ないんだよね。実際、村の要塞化に配備した武器やポーション、傭兵に支払った金や武器を合わせた金額どれくらいになると思う?此方の方面だけで王国白金貨200枚は下らないと思うんだ。セコンド方面も入れるとその3倍になる。俺が作成して素材も魔の森で採取したから実質的な経費は掛かって無いけどとても村1つじゃ割に合わないんだよね。だったら少しでも回収しておきたいと思ってね」
「戦争の経費は賠償として請求出来るのでは?」
「セコンドも当然請求するさ。フォースが支払えると思う?」
「だから今回はフロントとしては盗賊として処理すれば捕虜は奴隷として売れるし馬も無事なら高く売れるそれにフォースといちいち交渉する必要もない。関所を無断で襲ってきての突破は盗賊だよな。フォースが何か言って来てももう既に戦争状態だから関係無いし。それに王家が仲裁に入ると捕虜と盗賊では意味合いが違ってくるしそれと賠償とは別の話だろ?」
「ふふふっはははっ確かに盗られる物はありませんが関所を襲った時点で盗賊ですな。所詮田舎貴族の騎士ですから身代金なんてたかだかしれてますし此方から金額を提示して払えなければ奴隷でオークションでも良いですね。でもどうやって無傷で捕らえるんですか?」
「方法はいくつか有るけど。取り敢えず機動力をそぐ為に馬を奪う。まあ、撤退するなら壁を作って取り囲んで無力化すれば良いし森へ入るなら俺達の独壇場だろ?道に沿って進むのなら道を塞いで退路を絶って毒薬を使っても良いし眠らせても良い。クリスの方で何かあるかい?」
「そうですね麻痺毒でもいいですし固まってくれているのなら精霊魔法やアイテムで眠らせる事も出来ますわ」
「だったら夜襲を掛けようかキャロット達に馬達を任せてクリス達は盗賊達を眠らせて無力化する捕縛はボルド達でこれが森の手前で夜営した場合プランA。
次に休まず進軍してきた場合は道を封鎖して進軍を止めて退路も絶つ。後は麻痺毒を使って射かける森に逃げたら各個撃破。留まり固まれば眠らせるか麻痺させる事にしようかこの時はアルファ達も攻撃に加わるから同士討ちは避ける事。これがプランB。
夜営もせずそのままバラバラに進軍した場合。各個撃破する以外に無いよね。まずあり得ないけど。クリスとボルドは一応3人ないし4人で行動させてくれ。冒険者のやり方で絶対に勝てる場合にしか接近戦はしない事。遠距離からの麻痺毒での弓矢で攻撃するのが基本それを徹底させるようにしてくれ。これがプランC
バラバラになって夜営した場合も同じ各パーティーが連携して夜営地を攻撃して1つ1つを確実に無力化する事」
「旦那、これって敵本隊の時も使えると思いやすがどうですか?」
「適度に正規軍が農民兵や傭兵達と距離をとるか関所で待機している場合は使える。相手の布陣と采配次第だな。
アレン、フォースの農民兵が全滅した場合、フォースはやっていけるのか?それとフロントは最大1万の捕虜を収用できるのか?」
「フォースの各村は大変でしょうね。働き手がいなくなるので生産も上がらないですから。収用の事は考えていませんでした。すいません」
「捕虜をどうするかも問題で今回最低でも2千の捕虜がでる分散させるかそれとも1箇所に集めるかそれと食料の問題もある。さて、どうする?」
「アロンではどうしてましたか?」
「帝国では捕虜は帝国軍の管轄だったから感知していないけど10日程は夜営内7日程は一般兵は農作業に従事食事代と少しの賃金を与えて王家が身代金を出した。一人銀貨1枚で約3万人と食費代だったな。残り3万は今も収用施設か裕福な貴族は空いている屋敷にいるよ」
「一般兵を奴隷にしなかったんですか?」
「はっきり言って帝国も一般兵まで養いたくなかったんだよ食料の問題もあるしそれに王国も困るだろそれに奴隷ばかり増えても単純労働しか出来ない者を誰が買うんだ?奴隷商人の在庫が増えるだけだから自分を買える金額にしたんだ」
「確かに銀貨1枚なら買えますね」
「今回もそれでいこうと思ってる農民兵は極力見逃す。奴隷にしたら分割統治されて、新しい領主が立ち往かないしこっちも急激に人口が増えて食料が追いつかなくなってしまう。どうせなら家族ごと移民してくれた方がまだましだ。銀貨1枚ってのは家族がいない者や本当に貧しい者でも一月働けば稼げる金額だろ捕虜の間、防壁内部を開墾してもらうのさ。低賃金でこっちも助かる」
「なるほど。さすが旦那だ、そうすれば恨みも買わずにすみやすね」
「それよりも正規兵と傭兵だなぁ。全部捕虜にした場合どうするか決めてくれ」
「捕虜の数が多すぎて管理が出来ないですね」
「隷属の首輪を作って嵌めるか借りるかだけど」
「作れるのですか?」
「結局あれは契約魔法の応用だから解析したら作れるけど許可いるんじゃないかな。ちょっと王都に行ってくる」
◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◆
ここは王城宰相執務室
「いつも突然で済まない」
「いつでも構わないと言ったのは此方ですから。王家の事も考えてお互い妥協出来る点を探って下さるので助かってます。今日はどのような御用ですか?」
「明日の朝、フォースの騎士団がフロントの関所を襲って突破する。宣戦布告は今のところまだ無いんだ。フロントは関所を放棄して撤退する予定だ」
「応戦しないのですか?」
「応戦すると緩衝地帯で戦って勝ってしまうから別の方法を取るよ。関所を襲った奴らは盗賊として扱うけど問題あるかな?」
「宣戦布告もせず関所を襲った時点で盗賊ですな。問題ありませんよ。まあフォースは何か言ってくるかもしれませんが・・」
「関所で応戦しない理由はそれでわかったと思うけど。もう1つがこれ」
セイは書類の束を積み上げた。
「フロントの主力部隊の退職願いで日付が昨日だと言うことを確認して欲しいんだ」
「えっ、どういう事ですか?」
「この書類は後から書かれた物ではないと知って欲しいだけさ。今回の戦争が終わるまで預かってくれたら嬉しいかな」
「訳が解りませんな」
「ヒントだけ教えるよサード、王国騎士団、近衛そしてセコンド。何もなければいいんだ。何もね」
「あっ!私も失念していました」
「侯爵も気づいていなかったよ。さすがに2正面作戦はきついしタイミングが合えば不味いんでね。セコンドが籠城すれば俺なら部隊を分けてフロントに向かう。という訳で主力部隊は全員辞めたいそうなのでフロントはそれを受理しました。その報告。
王国騎士団と近衛の戦いが終わったのを見定めて王家は仲裁に入ると思うけどフロント、フォースはまだ戦争は続いているし、横やりが入った時点でセコンドとその貴族との戦争だからその点は勘違いしないように。
今回の戦争かなりの出費で村1つじゃ大赤字なんだ。フロントの方は適当に帳尻合わせてやるけどセコンドは余分な出費が出てね勘違いな横やりが入った場合は暫く成り行き見て仲裁に入るか泣き付いて来たら仲裁に入って欲しいんだ」
「解りました」
「フォースの事について現状かなり経済状態が悪いだろ?農民兵約6千失ってもやって行けるのかな?それと分割統治って言ってたけどいまいる村の統治者はどうするのか聞きたいかな?」
「フォースの街に関しては子爵を任命して派遣する積もりです。後の村に関しては切り取り次第って事にしましょうか?」
「じゃフォースに加担している村の統治者は全て潰してもいいのかな?」
「ええ、構いません」
「もうその子爵は内定しているんだよね。その子爵に同じ事言っておいてくれないか?」
「実は候補が2人いてまして揉めているんですよ」
「潰す貴族は選ぶけど今のフォース建て直すはある程度財力ないと難しいからその辺で決めた方が良いかな?後、6千もの農民兵はこっちで奪って良いのかな?仲裁する立場から聞かせてくれないかな?」
「村の統治者を潰すのであればその村は一度何処にも属さない村になります。フォースにしても同じ事です独自でフォースを護るのか誰かの傘下に入って援助して貰うのかその辺は王家としては口を出しません」
「了解した。まあ、今回の出費を埋める為に評判の悪い貴族を潰して回るよ。それともう1つ隷属の首輪は誰かが制作してるのかな?」
「なぜそんな事を?」
「捕虜の管理に使おうかと思ってる。さすがに1万も持って無いから誰かが作っているなら買おうかと勝手に作ると問題だろ?多分認可がいるんじゃないかと思ってね。契約魔法で縛っも良いけど数が多すぎるからそれに時間をかけたくないんでね」
「隷属の首輪は古代遺産で誰も作ってはいません。作れるのですか?」
「さあ、わからない。作ろうなんて思った事無いからな。物作りは好きなんだ。許可も何もなければ問題ないか隷属の首輪以外の捕虜用のアイテムを考えてみるかありがと♪」
「ところで6千の農民兵って言ってましたが全員捕虜にするつもりですか?」
「農民兵は殺したく無いからなぁ。何も解らず命令されて逆らったら殺される覚悟がない木偶だよ戦場で死ぬべきじゃない。彼らの戦場は大地だよだから最小限で。できたら無血で終わらせたい。フロントでは彼らの本当の戦場が用意できてる。王家が許すならアロンでもいいせっかくの命を無駄にするのもったいない。
でも、フロントで農民達独り占めしていいのかと思ったので聞いただけ、もし農民達が子爵の民になるなら返還する必要があったから。王家の要望を確認するぞ」
1 フォースを壊滅させない事
2 騎士団と近衛の被害は最小限で
「これ以外自由にするから。邪魔をした」
◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆
「相変わらず・・・・・おしいですね。この大陸の覇者になれるものを欲しないとは。本当におしい」




