275 戦争準備6 セイsideその5 バカン準男爵領
セイ達はボーダー領の隣村に到着するとその村を統治を任されたバカン準男爵に面会を求めたが何故か拒否された。セイとしては先触れもなくいきなり訪れ面会を求めるのは無礼な行為だという事は知っているが、それはあくまでも平時でセイの方が身分は各上でましてやもう戦時下でありバカンは辺境伯家の一介の依子に過ぎなかった。
セイとしては円滑にこの村の住民達の避難を行い野戦病院の開設を行いたかったのだがいきなり躓いてしまった。身分を証しギルバートより全権委任され緊急用件だと伝えてのまさかの面会拒否である。
村には入れたのでバカンの屋敷に行って門番が居なかったので勝手に屋敷に入ってみると屋敷の家人達が慌ただしく動いているのが見えよく観察すると2台の馬車に荷物を積んでいた。
セイは屋敷の玄関まで行きなにやら指示を出している男に鑑定をかけ氏名を確認して丁寧に尋ねた。「何をしているのですか?」
「見て、わからんのかフォースから大軍が来るから逃げる準備をしておるんだ!お前達もボーッとせず荷物を運ぶのを手伝え!」
「で、何処へ逃げるんですか?」
「そんな事はお前達の知った事ではない!さっさと荷物を運べ!」
「ふーん」セイはその男をいきなり殴り吹っ飛ばした。そしてその男に近づき腰の後ろに装備していたダガーでその男の足の腱を深く切り初級ポーションを傷口にかけ止血した。
一瞬の出来事だったが周囲はその出来事が理解出来ずに硬直して一人のメイドの悲鳴によって静寂が破られ彼らの時が動き出した。
「アレン、この男を押さえつけて目を閉じとけ」
荷物を運んでいる兵士達が荷物を放り出して剣を抜き屋敷からも騒ぎを聞きつけた兵士達が駆けつけセイ達を取り囲み剣を抜きなにかを言おうとした瞬間『閃光』強烈な閃光が辺りを包みメイド達を含め屋敷中の者達が地に伏し、麻痺に陥った。
「アレン、面倒をかけるけど一応、この屋敷にいる者達全員拘束の上、監禁しろ」
「セイ君、「公私の公!」失礼しました。セイ様いったいどうしたんですか?」
「そこの男の名前を確認してたら偶然メイド達も一緒に鑑定が入ってしまってフォースの密偵だったり本当の意味での暗殺者だったりで面倒だったから屋敷中の人間を無力化した。弱い麻痺だから明日の朝までには解けると思う。シロ、イプ、カール暫くこの屋敷で待機こいつら放置しとくから見張ってて屋敷の外部からの侵入者がいたら遊んでやって良いからただしいつもの事だけど殺したらダメだからね」
『『『ラジャー♪』』』
「アラン、命令撤回。アラン一人で拘束監禁するのも大変だし頭をすげ替える必要もあるから役場に行くよ。「はっ!」アルファ、シータ気配を消さず姿を見せたまま一緒について来て」『『ラジャー♪』』
セイ達は屋敷の隣にある建物に入り大きな声で「此処の責任者は居るか?」と尋ねた?そしてアレンも「責任者を此処に呼べ」と言った
官吏達は大きな狼2頭をつれた2人が入って来ていきなり大きな声で責任者を呼べと言って来たのだから驚いて一瞬、身体が固まってしまったが我に返り、「何ですか?あなた達は、無礼な!」
所詮は貴族社会答えた者もバカンの縁者で貴族に属する者だった。
「無礼はそちらであろう!口の聞き方に気をつけろこの方はフロント領主のご子息セイ様である。そして私はフロント守備隊大佐アレン」
『ちょっとやめてぇぇ~。水戸の御老公なノリは、此処で官吏達がひれ伏し『もはやこれまで』って事は無いよな。恥ずかしい~』
それを聞いた官吏は青ざめ態度を変えた。普通、貴族それも上級貴族の名を詐称する事は大罪で死罪に当たるのでまず詐称はしない。
「失礼しました。私共の見識を恥じるところですがなにぶん面識もなく失礼かと思いますが身分を証明するなにかを見せて頂けないでしょうか?」
「問題無い」セイは2振りの短剣を見せた。エリック家の紋章の入った物と王家の紋章が入った短剣だ。実際、下級貴族のその配下や分家など上級貴族の当主や王家に連なる者と直接面識を得る機会などそうあるはずもなくましてやその子息など知りようも無いが少なくとも自分達の寄り親の紋章や王家の紋章ぐらいは貴族の常識として覚えさせられる。2振りの短剣を見て更に青ざめその官吏?受付孃は「申し訳ありません。ご無礼の段お許し下さい」と言ってひざまづいた。
「許す。堅苦しい挨拶は抜きにする。官吏、行政の責任者に会いたい。それと兵士を数人借りたい」
「責任者のボマーはここにはいません。隣の領主館に詰めております」
「だったら、この建物の中で一番偉い?権限のある者に会いたい」
「だったら私になります。領主バカンが姪、カレンと申します。兵士を借りたいとの事でしたがどうされたのですか?」
「まあ、なんだ隣の屋敷の奴ら全員気絶させたんで拘束して監禁するのを手伝っ欲しいのとここの頭を変えるからその宣言の為に此処に来たんだ」
「アレン、説明を頼む。暫定的に俺が此処を統治して、バカン家は私財没収の上とり潰す事になるからこのお嬢様に納得して貰ってくれ。カレン、アレンを応接室に案内して説明を聞いてアレンの指示に従え、俺は勝手に作業を開始する。こんな事に時間を使いたくない」「はっ」
そう言い残すとアルファとシータは役場を出てアルファとシータには領主屋敷に待機してもらいボーダーと同じ様に村の入り口から500m先に高さ7m幅5mの防壁を村を囲むように作りだし門を設置して幅25m深さ15mの掘りを一瞬で作り上げ、門の近くに100人が収用出来る四角い建物を作り窓をくり貫き内部には柱を立ててハンモックが設置出来るようにして作業をひとまず終了させて領主館に戻ると。カレンとアレンがいた。
俺の姿を見るなり土下座され「どうか一族までは罰しないで下さい」と懇願され鬱陶しいと感じてしまった。
『そりゃ一族って自分も入るもんな。必死になるか』
「だったら、カレンが有能である事を示せ。アレンから聞いたと思うがバカンは領主でありながらフォースが進軍すると知って逃亡を計った。推測ではあるが逃亡先はフォースだろうな。フォースの軍と合流してフロントを一緒に攻めるつもりだったのかは今のところわからないが伯父?叔父?の不始末の責任ぐらいはとれ。
今は、後継を決める時間も惜しいから暫定的に俺が領主を務める。一応簡単な防壁と掘りは作っておいたがバカンの処罰は義父殿が決める。その時口添えが出来るかどうかはカレンの働き次第だ。励め」「はい」
「アレン、此処の領民をどうしたら良いと思う?」
「避難を希望する者だけ避難させれば良いかと。此処の防衛に当たる兵士も必要ですし避難する者はボーダーの領民と合流させれば問題無い思われます」
「そうしようか。カレン、フォースとの戦が始まる主戦場はボーダーだがこちらにも飛び火する可能性はある一応、防壁を築いたから一気に占領される事は無いとは思うが最低限此処を護る兵力がいる。情報を開示して村の有力者を集めてどうするか今日中に決めろ。明日、昼過ぎにまた来るのでその時に報告してくれ。それと、領主の屋敷の立ち入りは禁止する。もし立ち入ろうとする者がいたら密偵、盗賊の類いとして厳しく罰するからそのつもりでいろと皆に通告しろ。「はい」
アレンには悪いがこの件に関わっている時間が惜しい、この後、バカン他5名をフロントに連れ帰るから尋問とフロントから5人を選んでこの屋敷の捜査をしてくれ」
「承知しました」
「カレン、捕縛した者中に兵士長?バカン領軍の幹部はいたか?」
「はい。隊長と副隊長とその副官4名がいました」
「ちっ、軍の掌握もしなきゃいけないのか面倒だっ。アレン、派遣する5人には此処の軍の掌握もして貰うそのつもりで人選してくれ」
「承知しました」
「あの~「なんだカレン?」発言宜しいですか?」「許可する」
「領軍は総勢50名ほどなんですがその中に兵士達にかなり慕われている人物がいるんですがその者を昇格させれば掌握も簡単なのでは?」
「アレン、どう思う?」
「一考の価値はありますが下士官と士官の役割は別ものです。慕われていると言うのもある意味問題で任務によっては死ねと部下に命令しなければならない場合もあります。一般の50人程度の兵士なら力でねじ伏せる事もフロントの士官は要求されますのでまずは派遣して様子を見てからですね」
「という事だ。アレン、今日ところは5人で良いが此処にも部隊を送り込む必要が有りそうだからボーダーに500、此処には100ぐらいは派遣しようか?」
「そうですね。それくらいは最低必要でしょうね。一個中隊の派遣を検討します」




