274 戦争準備5 セイsideその4 ボーダー領
「確かに先程も言った通りなにも手を打たずそのまま戦闘に突入すればひとたまりもなく蹂躙され略奪の限りを受けるでしょう。フォース軍が進軍を開始するのは早くて後、2日、この村が戦場となるのは早くて一週間後、遅くとも2週間後だと思っています。正直に言ってこの村の住民を戦わせる考えはありません。自分としては村の人々は避難して貰い復興に尽力して貰うつもりなんで」
「なんと!一万の軍勢を相手に勝つ申されるるのかセイ殿は」
「戦争の勝敗に絶対は無いので勝つとは言いませんが負けるとは思ってもいません。勝ち目が無いならこの村で戦うなど言いません。村を放棄してフロントまで逃げて下さいと言いますよ。そして焦土戦を仕掛けます」
「焦土戦とはなんですかな?」
「焦土戦とは敵を自国の領土に深く進行させて敵の進行先の街や村に火を放ち井戸に毒を投げ入れ使えなくしてその上で敵の補給を断ち敵の兵士達を餓えさせて敵が弱ったところで敵を叩く戦法の事です。まあこれはあこれは悪手で下策、最後の手段ですね。こんな作戦使うつもりはありませんが」
「おお、なんと恐ろしい」
「男爵、此処からが本題です。この村に防御陣地を形成して敵を迎え討ちます。その了承と男爵領の住民をフロント迄避難の協力を頼みます。最悪、防御陣地を突破された場合、敵は容赦なく領民を蹂躙して略奪を行うのは目に見えていますので至急住民は避難をして頂きたい。出来れば明日中に出立して欲しいのですが」
「承知しました。最悪、領地を失っても領民を護るのが貴族の務めすぐさま領民達に避難指示を出しましょう。領地は又取り戻せば良い」
「現在、冒険者達を雇い避難させる為の準備をしています。準備が整い次第フロントから冒険者達が護衛する手筈になっていますが時間が無いの先に男爵領の領民達に避難をしてもらいその護衛を男爵配下の兵士達にして頂き途中冒険者達と合流してフロント迄避難をしてもらいたい。それとこの村にある麻袋を全て集めて欲しいのと今から出来るだけ多くのパンを焼いて下さい」
「麻袋ですかな?」「ええ麻袋です手持ちが無いもので」
「いったい何に使うのですかな?」
「避難袋です。領民に貸し出します。避難する時最低限の荷物をなんて考える人は少ないですし女、子供が徒歩でフロント迄と言うのも酷ですから。それと男爵がお持ちの馬車以外全ての馬車を一ヶ所に集めて下さい」
「男爵閣下、非常時です。なにも聴かずセイ様の指示に従って下さい」
「承知した」
男爵はセイの指示に従って配下に指示をだしセイはその間に村の入り口から500m先に高さ10m幅5mの防壁を作りだし村の周囲を覆い防壁の周囲を更に道となる部分幅10mを残しインベントリの能力を使い地下5cm幅50m深さ15mの空間を『硬化』をかけながらくり貫き大まかな防壁を完成させ、防壁の内側の樹木の伐採と閉じ込められた魔物の殲滅をアルファ達と行った。そして、用意させた麻袋に日本語で『避難袋』と書きそれを『複写』して四方10mの収納袋を作りあくまでも貸し出すだけだと官吏に言い含め収納袋の使い方を説明して荷物はこの袋に入れた物と鞄1つ以外持ち出しは認めない事を伝え各世帯に1つ配布させた。
唖然としている領民や男爵をよそに伐採し『乾燥』させた木をインベントリの中で製材した木を取り出し並んだ全ての馬車を『修復』させて男爵の元へ行き
「男爵、一応、僕がここの領民達に出来る事はここまでです。非常用の収納袋は後日、回収させてもらいます。領民達には大切に扱い必ず返却するように伝えて下さい。それとこの避難袋は時間遅延は付与してません。保存用の食料を入れる以外食料を入れる場合は注意して下さい。それとこれは余分に作った非常用です。備蓄の食料と樽に水を入れて袋に入れて下さい」
「セイ殿、貴方は一体・・・」
「なにも聴かないで避難の準備を進めて下さい。出来れば此処で見た事は誰にも言わないで頂きたい」
『まあ、アロンの住民はこれ以上の規模で外壁や住居を俺が作ったのを知っているから手遅れなんだけどね』
「ああ、承知した。誰にも言わないと約束します」
「男爵、貴方は魔法を使えますか?」
「得意では無いが、身体強化と生活魔法ぐらいしか使えませんがそれなにかしましたか?」
セイは箱を取り出しその中からポーチを2つ選んで20m四方、時間遅延1/8を『付与』しなおして男爵に渡し箱を収納した。
「これは、20m四方、1/8の時間遅延のついたマジックバッグです。使い方は収納したい物に手を触れ『ストレージ』と念じて下さい収納出来ます。取り出したい時はポーチを触り取り出したい物をイメージして
『排出』と言って取り出して下さい。どちらも使う時魔力を消費するのでMPが残り少ない時は発動しないので気をつけて下さい。このポーチは男爵に差し上げます。1つは保存でき無い食料を入れてフロント迄の道中領民達と食料を分けあって過ごす為に使って下さい。もう1つはご自由に」
「こんな高価なマジックバッグを頂けるのですか?」
「ええ、これだけの収納アイテムが有れば家屋以外の物は殆ど収納出来る筈です。男爵を含め領民達がこの村を出て避難した時点で家屋以外の残った物を徴収させて下さい。それと今回の男爵領民の避難について費用は辺境伯家としては冒険者達を雇い避難袋を貸し出す以外の費用は持ちませんそれがそのバッグを差し上げる対価です。男爵家で費用が捻出出来ないので有ればそのマジックバッグ1つを売れば十分な費用なるかと。
その場合は義父に先ずは相談して下さい。
なお、男爵を信用しない訳ではありませんがなにぶん貴族通しの取引文書にして契約を交わしたいと思って思っています。其処に官吏もいるようですから先程の件文書にして下さい」
以下の文言が契約書としては記された
フォースとの進軍を阻止するにあたりボーダー男爵領を戦場として辺境伯家が一時男爵領を借り受ける事についての契約を以下の通り記するものとす。
1 男爵領の領民をフロントに避難するにあたり冒険者を護衛として辺境伯家が雇い又、男爵家も配下を出し 尽力する。
2 領民達のフロント迄の避難に対しての食料や宿泊の費用は全て男爵家及びその領民が負担する事として辺境伯家は冒険者の雇用以外の費用は出さない。
3 辺境伯家は2つのマジックアイテムを男爵領を一時借り受ける対価として男爵家に授与し領民達には避難用のマジックアイテムを貸与し避難完了後避難用のマジックアイテムを辺境伯家に返却する。もし、1つでも返却しなかった場合。男爵家とその領民はマジックアイテムの相場の2倍を支払う事とする。
ただし故意以外のなんらかの事情で破損した場合はその限りではなく破損したマジックアイテムを辺境伯家に返却すればその限りではないが返却しない場合は上記に記した条項に準ずる
4 避難の為に村を出発した時点で一時的に辺境伯領となり、男爵領に残された物全て辺境伯家の所有物となり、戦争が終わり次第フロントが勝利すれば家屋は返却されるが戦禍にみまわれ焼失した場合はその限りではなく男爵家及びその領民達は辺境伯家に損害賠償の請求は出来ないものとす。
5 避難を拒否した領民に関しては安全を保障せず行動に制限かけるものとして場合によっては拘束、監禁する。
6 戦争終結後、男爵領にとって不都合を生じさせる物が有れば協議し対処する事とす。
以上上記の事実行すると誓う。
バレット フォン ボーダー セイ ワタヌキ エリック
立会人 アレン ザナック
契約を交わし避難に関しての詳細な打ち合わせはアレンに任せセイは防壁をくり貫き門を設置して門の前と門の50m先に4本の杭を打ち込みロープを結び一応の防御陣地を完成させ隣の村に行く為にアレンに声をかけた。
「アレンさん。こっちはだいたい出来たから隣村に行こうと思うんだけどそっちはどう?」
「ああ、もうすぐ終わる。道中の事は問題無いんだけど。フロントについてからの事でちょっとね」
「だったら。フロントについてから官吏に任せてしまおう。アレンさんにその権限は無いしせいぜい天幕やテントの提供と炊き出しぐらいでしょ?それにフォースに勝ったらすぐ戻るんだし今、此処で協議するのは無駄だよ」
「それと男爵配下の兵士達なんだけどどうする?」
「この周囲に詳しく斥候が数人いればいいかな?居なくても問題無いし一万の軍勢を相手にするんだ、参戦を希望するなら冒険者達と合流後に参戦して貰っても構わないよ。それと情報統制を行いたいから避難から外れて行動する者は拘束して。密偵や盗賊の類いかもしれない」
「セイ君は徹底してるね。男爵にはそう伝えるよ」
セイはアレンが打ち合わせを終えるのを待ってアレンと共にボーダー領の隣村に向かった。




