271 戦争準備2 セイsideその1
セイもパワーレベリングの翌日、アロンの事は全てブラームに任せて戦争準備に取り掛かった。フォースの動向を探りながら戦術を立てていった。フォースの兵士達がフォースを出立して関所にたどり着くまで馬車で9日、関所を突破して最初の村に到着するまで馬車で3日、セコンド方面に進軍してもほぼ同じ日程を辿る。
スカイ達の偵察では兵士達の集結には2日程時間がかかりそうだった。猶予は13日有るが実質10日程で準備は終わらせておきたい。セイがまず行ったのは傭兵の募集これに関しては数はそれほど期待していないし当てにもしていなかった。劣勢になれば逃げるだろうし、正規兵程統制も取れていないし下手をしたら裏切って内側から崩される恐れもあるので前面に立たせて突撃させる以外使い道が無いからだ。そう信用が無い。
まあ、戦争が始まると言うのに数が少ないと言うのは住民達の不安を煽るのでそれの解消に役立って貰えばいいだけの存在だとセイは思っている。いざとなったらセイとアルファ達だけで殲滅すれば良いだけの事だ。それに新しくヴォバルバニーも加わり彼らを解き放ち後方から襲わせたらフォース軍は瓦解するのは目に見えている。だが今回はそうはしない。セイやアルファ達が表立って戦う事を選ばなかった。
確かに被害は出ないかもしれないがセイが全てをやってしまうと軍が弱体化してしまうと考えたからだ。フィフスの時は時間がなかったからお膳立てをして占領は任せた。だが今回は防衛戦だ時間的にギリギリだけど準備ができる。
兵士達には自分達が街の住民達と自分達の街を護るという自覚とその意思を領民達に示す必要があるとセイは思ったからだ。フロントは理不尽な侵略に断固戦うという意思を持つ事。
内外、延いては王家にさえセイが前面に立たなくてもフロントは強いと見せつける為でもあった。
「さて、会議を始めようか」
集まったのはボルド、ミリア、アラン大隊長とその副官のバレンシア。薬師ギルドを代表してアーニャ、冒険者ギルドからフォスターとミリア、商業ギルドからマチルダとボンザ。そして鍛治ギルドのマスターであるガッツの10名だ。
「セコンドのサージェ侯爵からフォースで徴兵を行い軍が集結していると情報があった。そして王都でも近衛や騎士団の一部に動きがある王都の方では演習だそうだがフォースと連動していると俺は見ている」
「戦争が始まるのか?」
「恐らくな。フォースの狙いはフロントかセコンド現在集結中だが集結完了まで後、2日ってとこだ。情報では行軍に必要な食料は遅れていて必用量の半分ってところ見たいだ」
「で、俺達にどうしろってんだ?冒険者ギルド、商業ギルド、鍛治ギルドのマスターを召集して」
「ああ、中立って言うのは解っているさ。別に参戦しろなんて事は言わないさ。冒険者ギルドにはフォース軍がフロントに進軍したら戦場になりそうな3つの村の住民の避難誘導とその護衛を依頼したい。まあ、できたら義勇軍?傭兵募集も頼みたいかな?」
「それなら問題ありませんね。魔物討伐では無いので強制参加には応じられないけど」
「こちらからは正直、本音で言うと傭兵は当てにして無いから参戦よりも手薄になる街の警備に重点をおいて欲しい。傭兵募集はあくまでも住民の不安を薄める為の措置だから募集は行うが冒険者ギルドの方からあまり薦めないでくれ」
「承知した。報酬はどうなんだ?」
「その辺は相場で。後、傭兵として参戦する者には最前線で戦って貰うからその辺も宜しく最悪フォース全軍1万とこっちは5百と村の兵士達ってとこだからその辺も伝えてそれでも参加したいのなら歓迎するよ」
「おいおい勝てるのかよ」
「勝てる?じゃなく勝つんだよ。俺抜きでな」
「お前が最前線に出なくてどうするんだよ!」
「俺は準備して総指揮官として指揮を取るだけ直接は俺もアルファ達も直接は戦うつもりはないよ」
「お前は一応は領主の息子だろ!」
「名目上はね。だからこうして準備している。それに俺は帝国の貴族でもあるんだそれも実質街を統治している領主なんだよ。立場上出来ないんだよ」
「ふざけた野郎だ」
「勝ち目が無いと思ったら逃げ出してくれて良いよ。今回の戦争は犠牲者いや戦死者がでるし確実に勝つとも言わない。アラン達には酷な言い方だけど自分達の街は自分達で護ってくれ。領民達の為に命を懸けてくれ」
「それは、もう当然の事です」
「冒険者ギルドへの要望はそれだけです。詳細はボルドに任せるから依頼を含めて詰めてくれ」「へい」
「商業ギルドなんだけど要望としては住民避難の為の馬車を貸し出して欲しい。その代わり街中の物資の輸送は収納袋を貸し出す。それと、フォースがフロントに向けて進軍した時点でフロントは戦時戒厳令をしき街への出入りを制限または閉鎖する。俺の予想ではだいたい14日ってところだ。その間物価の統制を行い食料の便乗値上げは厳しく取り締まるからそのつもりでいてくれ各商会に通達宜しく」
「商人達に喧嘩を売るつもりですかな?」
「うーん、別に喧嘩するつもりはないけど物価を上げたり下げたりするのは面倒だし2週間だけの事だしフォースの事は知らないけどそろそろフォースの辺りは食料の価格が高騰してるんじゃないかな?儲けたいならそっちでやってくれってのが本音だ。それに食料に関しては俺の商会が握っているんだからそうそう問題にならないと思うんだがどうかな?」
「街への出入りの制限と物価統制が問題ですな」
「フォースの密偵が入り込んでいると思う。だけど戦争が始まっても出入り自由にしたら俺だったら冒険者を装って街に入り火でもかけて混乱を誘うってのも有りなんだわ。それと物価を統制しないと領民に不満と不安が出てこれまた騒動を誘う原因にもなるんだわ。戦う上で内部崩壊を誘う要因を潰すのは当たり前だろ。ということでこれは決定事項であって要請じゃ無い。後2日あるから不満なら街から出て行って欲しいかな?」
「横暴ですな。商業ギルドを敵に回すおつもりか?」
「俺を敵にしたいならそれでも良いさ冒険者ギルドもそうだけどたかだか相互御助組合が脅しかけてくるんじゃない!はっきり言って物理的にも機能的にも潰すのは簡単なんだよ。後の事が面倒だからしないだけだ。思い上がるな!こっちは兵士達と領民の命護ってんだ。その為だったら横暴と言われようが打てる手はなんでも打つさ。それが領主としての責任だからな。俺の故郷じゃさっき言った事は当たり前に行われていたんだよ。内部崩壊させるなんて常套手段で力による制圧なんて下策も下策、もう戦争は俺にとっちゃ始まってるんだ。商業ギルドが従わないなら構わない。今後、領内の取引は全て商業ギルドは外す。アロン、フィフス、フロントだけでも十分に経済は回せるからな。王国の穀倉地帯の2都市で商売が出来なくなったら困るのはどっちだ?少なくとも俺達は困らない必用な物は産業を起こして作れば良いだけだ」
「塩、塩はどうする」
「ああ、こっちの主流は岩塩だったな。全く問題無い当面は俺が錬成するが王国と帝国その両方で俺は販売許可を持ってるから現地で工場でも作って輸送するさ。お前達は売り買いするだけだろ。俺達は作る、運ぶ、独自で売る。それだけだ別に商業ギルドを通さなくてもやって行けるんだ。必用とあらばこの大陸以外での個人間での直接取引をすれば問題無い俺の故郷では普通に行われていたしそれが当たり前の世界だったからな。無ければ作れば良いだけだ。俺達は生産者なんだよ。
個人的立場も解るけど、商業ギルドの利益ばかり考えないでくれ。現状流通や輸送の事を考えても各村、都市間の移動に最低3日はかかる。各都市のギルドの連絡網を使えば2日あれば王国全体に行き渡る筈だ。一週間だけの経済統制にどれだけ問題が出るんだ?食料を高騰させて領民を苦しませて迄お前達商業ギルドは稼ぎたいのか?だったら領民にとって害悪でしかないから潰すだけだ。それに俺に売らないだけで圧力かけても意味無いだろ?そうなったらフロントの商業ギルドは不要の存在になるんだがなぁ。で、どうするんだ?協力するのか?しないのか?」
「解った。協力する」「よし♪言質は取ったぞ」




