269 パワーレベリング4 結果
セイ達は悠斗達よりいち早く基地に戻りパワーレベリングの結果を尋ねた。
ハルカやアミカ、サリー達は問題なくレベル25迄上げる事が出来た。また、召喚組の女子達も袋に詰めたアルミタージを女子全員で槍で刺したのをきっかけとなりなんとかレベルを15まで上げる事が出来て一番必須だったマリナもレベル上げた効果かステータスがこの世界の住人の一般人並みになったようだった。
問題は悠斗を含む召喚組の男子だった。
セイと悠斗が基地を離れて直ぐに解体を命じた一雄が不満を言い出した。
「なんで解体なんかしなきゃいけないんだ!僕は商人になりたいんだ。解体なんかしたくない。血生臭いし攻撃魔法を使える杖やスクールなんかあるんでしょそれを使えば僕だってあの娘達のように出来ます」
それに対してミーナは
「やる気無いなら何もしなくて良いからフロントに帰りな。マジックアイテムがいくらするのか知ってての発言なんだな。クリス、こいつをフロントの屋敷に送り返してくれ邪魔にしかならない。若にはあたいから説明しておくから」
「そうね。その方が良いわね。異世界人といえどもヒューマンだもの魔法適正は低いでしょうし現実を知った方が良いかしら」
「ちょっと待って、私、魔法の杖持ってるから貸してあげる。掘りの魔物に向かって『ファイア』って言って魔法を打ち込んで見なさい。いい私達にその杖向けたら殺すから注意しなさい」
「良いのか?ハルカ」
「現実を知った方が良いんでしょ?魔法の杖は高価だけど杖でどうにかなるくらいならみんなある程度お金持ってる人達みんな持ってるはずよね♪」
「ふん、僕だってこの杖さえあれば『ファイア』あれ『ファイア』あれ『ファ』・・・・」
「ほら、言わんこちゃない。アップさんこの子小屋に放り込んで下さい。「ほい♪」これでみんな集中出来るわ」
「あの~質問なんですがなんで解体が必要なんですか?」
「和人、良い質問だ。和人の場合は鍛治師希望だろ?「はい」だったら刃物の扱いに慣れておかないと良い物が作れないからな。普通、鍛治師の見習いは解体ナイフから作るんだ自分の作ったナイフを試すのに人に頼むのか?それと解体ナイフと武器としてのナイフは全くの別物だ。解体を覚えた方が道具として使い勝手の良い物が出来るんだ。
それと和人もアルミタージを殺す事に忌避を覚えたんだろ?「ええ、まあ」解体で刃物に慣れてもらうことで忌避感を少しでも和らげるのが目的だ」
「えっと、解体をする理由は解りました。ただ僕の場合、無抵抗の動物を殺すのに抵抗があったんです」
「へぇ~。優しいな和人はじゃアルミタージを倉庫にでも放って和人も一緒に一対一なら仕留める事出来るのかい?今の和人じゃ死ぬぞ。弓はかなり長い間練習が必要だ。レベルを上げるには魔物を仕留めるしか無いんだ。魔法もさっき見ただろ。一雄が杖使って見せたけど2回しか使えずに魔力切してぶっ倒れたまではいいがこの辺の魔物には効かないんだ威力が低すぎてそれに速度も遅いから動く的でさえ当たらないんだ」
「あの~パーティー制度とか石投げて別の人が仕留めると経験値が上がるってのはないんですか?」
「あはは、なんだいそりゃ」
「和人君、ゲームじゃないんだよ。私、ヒーラーやってて臨時パーティー組んだけど魔物を仕留めないとレベルは上がらないよ。当然、混戦状態で攻撃魔法を撃って味方に当たれば味方は怪我するしフレンドリーファイアは当たり前に有るんだよねぇ、治療をやってて気づいたけど殺人でレベルは上がらない。所謂プレイヤーキルでレベルを上げるのも無理なんだよ」
「和人、今やってるのは御貴族様しか出来ない事なんだぜ。「アップさん」御貴族様でも上級貴族の子弟しか出来ない事で所謂、箔付けってやつさ。たまたま旦那がこの基地を作ったから出来ることで御貴族様が護衛を連れて冒険者を雇って魔物を弱らせて仕留めるんだ。かなり金がかかるんだ。和人達はレベルも低いし体力も無いから仕方無くやっているんだが恵まれてるぜ」
「しかし、悠斗はなんでセイさんに選ばれたんだろ?採取するって言ってたから解体しなくてって良いのかも羨ましいなぁ」
「ん?ダイヤどうしたの?セイ君が魔物に襲われてるって?!アルファとシータちゃんに応援養成。えぇぇぇ悠斗がセイ君の指示を無視して勝手な行動を取ったって?シロちゃんも行くの?あっ、ミリア」
「どうしたハルカ」
ハルカはイプシロンからの念話でダイヤからセイ達の状況を逐一みんなに知らせた。セイ達の戦闘が終了してセイ達の無事な事をハルカが告げ一同ホッとしたのもつかの間今度はダイヤがイプシロンに問い合わせ草原でのセイと悠斗の会話さえ基地のみんなに知れ渡る事になってしまった。
ミーナ達は怒りが治まらずその場に悠斗が居らず怒りの矛先が召喚組に向き厳しい指導が始まってしまった。そう八つ当たりである。そのお蔭で女子達も和人も忌避なんていってられず我が身かわいさととばっちりが来ないように自分を殺してアルミタージに止めをさしていった。忌避感など恐怖の前では無力な存在でしかなかった。
一雄は小屋に放置され他の召喚者達とレベルにおいて大きく離される事になり当然、その後の訓練にもついていけないぐらいみんなと差が出来てしまった。
そしてセイが基地に戻り、悠斗が基地にたどり着いてからも大変だった。ミーナ、クリス達、教官役の者達から拳で語る指導あり、仲間である召喚者達からは冷たい視線を浴びせられ口も聞いて貰えずハルカはと言うと拳で語られた悠斗を口も聴かずに最低限の治療を行い冷笑しながらクリス、ミーナの所に送り出した。
何気に一番怖いのはハルカであるとみんなが認識した次第です。
結果パワーレベリングは一人を除き概ね成果を上げて召喚組の5人も実技を含む訓練に移行して訓練に着いていけない一雄は奴隷となった召喚者達2人と共にアロンに移住して一日中アロンの外壁部を走る事になり結局耐えきれず自ら雇用契約の破棄を願い出てセイの元を離れ帝国白金貨2枚を元手に商売を始めようとするが明確な目的も無く漠然とただ商人になるとしか思っていなかった一雄はラノベのように娯楽が少ないこの世界だからボードゲームを流行らせる事を考えリバーシを試作する事にするが試作段階で行き詰まった。職人との知古も無く信用も無い一雄は開発段階で結構、費用がかかる事が解りその上販売する為のルートが商業ギルドしかなかった。
リバーシの盤の部分は比較的簡単に作れるが問題は駒?の部品だ小さな円形の加工とそして白と黒の塗装?それも64枚がワンセットとなる。地球でも将棋や碁は古くからあったがリバーシが開発されたのは比較的近年だ。駒?を作る為の技術が未熟だった為に開発されなかったと思える。ゲームそのものは布や板、紙に線を引いて紙で作った駒に片面を黒く塗り潰すか印しでも付けて遊べいいが商品としては魅力が無い結局ボードゲームなど娯楽を楽しむ事の出来るのは裕福な者でしか出来ない。
この世界でボードゲームが一般的で無い理由はまず一般人には時間が無いこと。大多数の人間が読み書きが出来ず識字率が低く文化や流行は貴族の特権であった事。それは地球でも同じで一定水準の経済力を持ち教育や文化水準に一般人が達していないと娯楽等出来ないからだ。絵画一つとっても貴族がパトロンとなって絵師を育てる。音楽も同じで貴族というパトロンがあって文化が生まれ育って行く過程を経ている。
娯楽や文化が一般人に広まり商売となるのは経済的にも時間的ににも余裕が出来て初めて商売になるという事が日本という豊かさに恵まれた環境が当たり前に育った一雄には理解できていなかった。
この世界の王国や帝国でも同じで魔物が横行して食い詰めたならず者が盗賊となるこの世界で人の活動時間は日中しかない。朝、日の出と共に活動して日暮れと共に就寝する。灯り一つ取っても油は安価とは言えず一般的には油を節約するのが普通だ。そうすると夜人がする事は限られてくる。そう、寝るか妻帯者ならば子作りぐらいになる。
セイ自身が日本での生活水準を求めて魔道具を量産するのが異常だと言えるのだが一雄自身召喚されての帝都とセイに保護されての生活しか知らなかったのは幸運?だったがそれを手放した時点で自らの才覚で生きて行くしか無いラノベの主人達は特殊なのである。素材は自分で調達し自分で道具も無しに作るだから利益が出るのだが自ら生産出来ないのなら誰かに発注するしかない。価格とニーズが折り合わなければ売れない。高価
な物ほど受注生産になる。
現代の地球でも最上級の物は受注生産で物によっては手に入るまで何年もかかるのが当たり前なんだがそんな社会の常識なんかラノベに書いていないラノベはご都合主義で成り立っているし主人公はチート能力を持つから物語の夢があり空想の世界だから経済なんか知った事じゃない。生産に至るまでの仕組み?なにそれ美味しいの?現実からかけ離れているから楽しいのであって知識チートの活用が商人という部分でどれだけ活用できるかは疑問だ。それに知識があっても実現させなければ無意味だ。役に立つ知識を実現させて物を売る準備段階の初期で音を上げる一雄は既に脱落者だとセイは思う。
セイとしては差し伸べた手を振りほどいたのは一雄で社会経験もなくご都合主義のラノベに夢を見ていて現実を理解せず努力を怠り夢の中に生きるのも一雄の人生だ普通の一般人として生きて行くのだったらもうセイの人生と交わる事もないだろうと思った。




