268 パワーレベリング3 ウサギ?
気配遮断?隠蔽?いや動きが速い視界に影が写るだけだ。『思考加速』『身体強化』『魔力感知』『マルチタスク』やっと敵を視認できた。
『えっ!ウサギ?それも二足歩行!?』咄嗟に鑑定を試みた。種族と通り名だけが判った。『ヴォバルバニー』通り名は『不可視の影』
『多分、スピードに追い付けず視認出来ずに一瞬で殺られるから付いた字名だな』全く厄介な魔物だ一体ならまだしも2体もいる。
「悠斗!もっと高度を取れ!移動しながら周囲を薙ぎ倒す!死んでも知らないからな!」
「ひぇぇぇぇ~」
悠斗が邪魔で有効な手が打てない。なんとかヴォバルバニーの攻撃を結界で防ぎアースバレットを撒き散らしながら牽制しているが当たっても身体強化しているせいかスピードが衰えない。無傷だし顔に当たりそうな攻撃は避けられる。カウンターを放っても空振る。ええい鬱陶しい!このスピードと地形を利用した立体起動をどうにかしないとじり貧だ。悠斗の奴なんで指示にしたがわなかった!後方に下がれと言ったのによりにもよって俺の真上だと!ホントに邪魔!イライラが募る。
仕方がないから草原へ移動しながらアースバレットで牽制しつつウインドカッターを360度放つ。ヴォバルバニーに当たれば見っけ物だが当たらない。狙いは周囲の樹を薙ぎ倒し立体起動を封じること。俺が移動して付いて来てくれずに悠斗を標的されたら悠斗はひとたまりもない。魔力がつきたら終わる。
幸いアースバレットでヴォバルバニーのヘイトを稼いだのか俺の移動に2体共付いて来ている。『シメタ』ヴォバルバニー2体が俺に御執心なのを確認しながら徐々にスピードを上げ森の樹を薙ぎ倒しながら平原に出た。『やっと、まともに闘える。悠斗さえいなければこんな手間かけずに済んだのに!』
そんな怒りを想わず魔法に込めてしまった。
『アルファ俺に近づくな距離を取れ範囲攻撃を行う』『『ラジャー♪』』
重力魔法『グラビティ』俺を中心に半径100メートルの範囲に10倍の重力を掛けた。2体のヴォバルバニーは丁度俺に跳びかかる状態だったが一気に10倍の重力がかかり地面に叩きつけられるがもがこうする。
『身体強化のせいか頑丈だな。だが内臓はそうもいかないみたいだな』もがいていた2体のヴォバルバニーは突如血反吐を吐きだし苦しそうにあがきはじめて動きを止めた。『肺がつぶれて気絶したかな?それとも血液が気管を塞いだか?』所謂死んだふりをされていたらたまらないので2体のヴォバルバニーの足の靭帯をウインドカッターで切断してみたところ本当に気絶しているようだった。
重力魔法を解除して近寄り
『アルファ終わった。俺の周囲の警戒に移行して命令変更、イプシロン悠斗を俺の元まで連れて来てくれ』
『『『ラジャー♪』』』
さて、こいつらどうしようか。このまま放っておいても死ぬし解体して肉をって言うのも人に近い姿だから嫌な感じだし果して素材になるのか?うーん悩む。仕方ないか・・・・
2体のヴォバルバニーを並べて『透視』で視たところ内臓の損傷は軽微だったが肺が潰れて血液で気管が塞がっていた。このまま肺を復元しても呼吸ができないから死ぬし確か呼吸停止から5分だったか・・
魔物はどうか知らないが人間の場合呼吸停止や心臓停止から5分が脳へのダメージの鍵となる。一々気管に溜まった血液を吐き出させる時間が無いため『アポーズ』で気管の血液を取り除き『再生』で肺の再生を2体同時に行い、呼吸が戻った事を確認して2体のヴォバルバニーの意識が無くてもテイム出来るか試してみたが出来なかった。仕方ないので両手両足を拘束して意識が戻るのを待った。
ヴォバルバニーの治療と拘束をしている間にアルファとシータが到着して周囲を警戒して10頭程の瀕死のアルミタージを捕獲してくれたのはご愛嬌♪。そして、何故かシロに乗ったミリアがイプシロンと共にフロートボードに乗った悠斗を引っ張ってきた。悠斗の乗ってきたフロートボードと結界付与のネックレスを回収して悠斗に尋ねた。
「悠斗、何故俺の指示に従わなかった?」
「でも上空の方が安全でしょ?」
悠斗がその言葉を発したとたんアルファ達が殺気だちミリアが悠斗を殴った。
「何をするんですか!親父にも殴られた事無いのに」
「状況はダイヤ経由でハルカから聞いたわご主人様の命令を無視して勝手な行動を取ったそうね。お前が取った行動のせいで森はメチャクチャその上ご主人様にも危険が及んだ。よく見なさいこの森の惨状を!」
「全くだ。悠斗お前が後方200メートルいや70メートル迄下がってくれていたら森に此処までの被害出さずに済んだし、わざわざヘイトを稼いで平原迄ヴォバルバニーを誘導する必要がなかったんだよ!戦闘も一瞬で終わらせて此処までてこずる事はなかった。魔の森とはいえ森を愛するエルフにとって耐え難い事だろうな」
「そんなの結果論じゃ無いですか!」
「結果論だと!戦闘を見ていないお前にはわからないがこの場所での戦闘は1秒もかからなかったんだがな。お前が指示を無視して俺の真上にいたせいで限定的広域魔法が使えなかったんだよ。その結果がこれだ。よく森を見ろ!」「えっ!えぇぇぇ~!!」
セイやミリアが怒るのも無理はなかったセイが360度放った魔法が距離にして幅400メートルもの空間にあった樹木全てが薙ぎ倒されているのだから。切り株はあるが意味の無い片側5車線の巨大な道路が出来たと思えばイメージが出来るだろうか?まさに森林破壊である。
「悠斗、お前のやった事はこういう事だ」
「でもそれはセイさんがやったことで僕が悪い訳じゃない!」
「まだ自分の非を認め無いのね。殴られ足りないの?」
ミリアとアルファ達は悠斗に殺気を込めると「ひっ!」
「そうねご主人様が悠斗、お前を救う為にした事だものね。じゃ、逆に言えばお前は死んでも良かったのよね。今からでも遅く無いから悠斗、死んで頂戴。楽に殺してあげるから」ミリアは更に殺気込めて言い放つ
「セイさん助けて下さい。お願いします」
「悠斗、冒険者でも軍隊でもそうだが戦闘時の命令違反は重罪で殺されても仕方ないんだぞ。特に今回のお前の取った行動は俺を危険にさらした上に最適解じゃ無い。万が一俺が死んでたら魔力が尽きた時どうなっていた?一億%死んでた筈だ。喩えヴォバルバニーから逃れたとしてもアルファ達が許さなかったからな」
「そんな~」
「それに、お前は人として一番大事な事を怠っている。少なくともお前は俺の指示を無視して俺を危険にさらした。これは事実だ。それに対してお前は俺に何も思わないのか?」
「あっ!」悠斗は土下座して「済みません。もう遅いかもしれまぜんがゆずじでぐだざい」泣きながら謝った。
「やっと言えたか。悠斗、お前は録に戦闘経験も無いし俺の能力も把握できていないそんなお前が俺以上のベストな判断が咄嗟に出来る訳は無いんだ。俺は俺と悠斗の事を考え指示したがお前は自己の中途半端な安全、はっきり言えばお前だけ助かれば良いって本能的に考えた。普通はフロートボードを使って避難するって考える方がおかしいんだがな・・・
さて、俺は言葉だけで赦すつもりは無い。ミリア、ボルドやガガと相談して今回の件骨身に沁みるまで反省させろやり方は任せる。
それと悠斗、其処に瀕死のアルミタージが10頭程いる止めをさして全部解体して基地まで歩いて持ち帰れ」
「そんな~アイテムボックスに入りきれませんよ~~」
「指示を無視した罰だ」
『フレア近くにいるかい?『はい。上空にいますわ』薙ぎ倒した樹木は俺が回収するからそれに巻き込まれた魔物の処理を頼む』『『ラジャー♪』』
そうこうしている内にヴォバルバニーが意識を取り戻し暴れたがアルファ達の威圧に屈しセイはヴォバルバニー2体のテイムに成功した。ポーションと回復魔法による治療を施し薬草採取を完了させてアルファ達と森に入り薙ぎ倒した樹木を回収して廻り果実なんかの被害を確認したところ林檎の樹は幸い無事だった。
さて、悠斗というとなんとか10頭のアルミタージに止めをさしたのはいいが解体等した事もなく見かねたミリアが口頭で指導したが時間がかかり過ぎる為、草原での解体を断念しミリアが持つ時間停止のストレージに8頭入れて2頭を悠斗に持たして基地まで徒歩で戻らせた。
「レベルも上がった事だし此くらい楽なものでしょ」
因みに悠斗に持たせたアルミタージは一頭20kgもあり、2頭で40kg血抜きもしていないのでアルミタージの血液で血まみれになった上にビッグボアやフォレストウルフの標的になり何度も襲われ命がけの基地への帰還となり、基地に帰還した悠斗の髪は頭頂部分がまあるく抜け落ちていた。所謂、円形脱毛症である。




