257 金封楼
「3人ともいい加減にしろ!俺はノーマルだ。それに俺にそんな趣味は無い。俺の連れは特殊なようだが俺は至って普通だ。遊びといっても閨を伴にする気は無い。
酒と料理、酒といっても俺は殆ど呑めないがこの3人は呑むから。それと廓独自の遊びを楽しめたらそれで構わない」
「安心しました。それでしたら離れがよろしゅうございましょう。貞吉、お客様のご要望ですから特別に御相伴に預かりなさい。滅多にない機会や勉強させてもらい「へい」他にご要望はありますか?」
「あら、閨は無しですの?残念やわ。それやったら芸比べしまひょ。この店一番の踊り手を呼んでおくれやす。囃子方もお願い」
「わかりました。突然のお越しですので準備に少々時間がかかりますよってご了承いただけますか?「ああ構わない」それと貞吉から珍しい料理と聞かされています。お嫌いな物、食べてはいけない物等御座いましょうか?」
「別にあらしませんけどお品書きあったら見せて」
「承知いたしました。さあ、お客様を離れにご案内しなさい」「「はーい♪」」
◆◆◇◇◆◆◇◇
「女将さん少しお話しがあります」
「なんだい?番頭さん実は貞吉の紹介で変わったお客様が来店されまして」
「変わったお客様だって?」
「ええ、女性3人を侍らした少年なんですがその連れの3人がそりゃえらい別嬪さんで・・・」
「へー、そりゃ珍しいお客様だね。初めての儀で部屋を借り来たのかい?」
「いえ、それが・・お連れの方はその気なんですが閨はいらないと申されて酒と料理。それも貞吉が申すには珍しい料理をご所望との事です。それに廓独特の遊びを楽しみたいと申されておいでです」
「へー。女性3人を連れてこの金封楼にねぇ。一見不粋だけど面白そうなお客様だね。「はい」で身なり所作はどうなんだい?」
「一見、冴えない風体の少年なんですが服装は平凡に見えますが生地は高級品で付与が施されていました。お連れの4人もそれぞれ見事な出で立ちでため息が出るくらいで」
「お貴族様かい?」
「それがちょっと判断がつきかねまして。普通、貴族の方々は花街に入られる時は外聞がありますのでお忍びで来られるますし、初めての儀の場合、下級貴族等は花街を利用されますがあのように3人もの美女を連れて廓遊びをされる方は初めてです。「他には?」この店一番の踊り手と囃子方をご希望されました。なんでも芸比べしたいそうです」
「そうかいwで、樟葉は空いているのかい?」
「それが・・・・予約が入っておりまして・・・」
「予約はどなただい?」
「一見ですが、他国のお貴族様で御忍びだそうです」
「そうかい。樟葉に適当にお茶を濁して切り上げてそのお客様の御座敷に出るように言いなさい。料理長にはうちで出せる最高の物出すようにね」
「しかし宜しいのですか?料金を踏み倒されませんか?」
「なに、番頭さんが見惚れるくらいの美女が3人、それも樟葉と芸を競いたいって言ってるんだ素人じゃなさそうだし料金を払えないのならうちで働いて貰うだけさね。まっ、そんな事にはならないと思うけどね。あたしゃお品書きを持ってご挨拶にでも伺おうかね」
「そこまで仰るのならそのようにします。では、調理場に行って参ります」
「あまりお待たせするのもなんだからお酒とお摘まみをお出ししなさい「はい」料理が決まったらご挨拶に伺うとお客様にお伝えしなさい」
◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◇
離れに案内されたセイ達
「お客様、突然のお越しで料理等の用意が整っておりません。また、芸娘も本日予約がありまして今、調整しているところでございます。お待たせすることになるかと存じます。ご了承くださりませ」
「なに、予約もせず、突然訪れたんだ。構わないよ。このまま待っているのもつまらないから、酒と摘まみを出してもらおうか。それと、料理に関してはそちらに任せるよ」
「ほんに、こちらが無理言うてますさかい、問題おへん。店一番の芸娘やったら御座敷にお呼びがかかって当たり前やし御座敷は芸娘の戦場やどうぞお気張りやす」
「華陽の云う通りでありんす。前触れもなく店一番の芸娘はんを呼び出せるなんて思ってもいません。お酒と軽いお摘まみで場を持たせます」
「とこで相談やけどお酒と軽いお摘まみだけや芸がおへん練習用の三味があったら貸してもらえまへんか?アミカも退屈するやろうしな」
「華陽姉様♪出来たら笛も♪」
「へーっ、お前達、雅楽が出来るのか?こりゃ楽しみだ」
「そんなっ、手慰み程度でありんす」
「承知致しました。至急、御用意致しますので少々お待ち下さい。これ聞きましたね。三味線と笛を「はい」ところでお客様、お酒は何をお持ちしますか?」
「逆に聴くがどんな種類の酒があるんだ?」
「エール、ワイン、変わったところではポン酒と呼ばれる米で造られたお酒も置いております」
「そうだなぁ、俺はエール。食事が始まったらポン酒をもらおうか。アミカ以外はそれぞれ各自好きな物を注文してくれ」
「そうどすなぁ、あてと姐さんにはエールを一杯だけ、後はポン酒を冷で、ミリアにはワインをアミカには果実汁でそこのお方はどないする?」
「あっしもエールが・・」
「そうどすか?ではそのようにしたって」
「承知致しました。取り敢えずエールが5杯とワインが一杯と林檎ジュースをお持ちして料理と一緒にポン酒をお持ちしますね♪では失礼します」
「ちょっと待ってくれ。この肉と魚を調理してくれ」
そう言ってセイは2枚の銀製の大皿に載せた一塊の肉と一匹の大きな魚を取り出し番頭の前に置いた。「これは?」内心凄く驚いたが平静を保った振りをしながら番頭はセイに尋ねた。
「一般的に出回っている肉は精々オーク肉だろ?それでも良いがせっかくこんな所で食べるんだからちょっと贅沢をしたくなってな。ワイバーンの肉にキングサーモンだ。これだけあれば人数分足りる筈だ調理法はそちらに任せる。もし足りないなら言ってくれまだあるから。それと少しそこの庭を借りたいが良いか?」
「お庭で何をされるので?」
「大丈夫。庭を荒らしはしないさ。ちょっと此処で遊ぶと遅くなりそうなんでな、従魔達に食事を与えるだけだ。此処なら人目に付かないからな驚かせ無くて済む」
「じゅ、従魔ですって!」
「心配しなくて良い。敵意を向けない限りなにもしないから安心して欲しい。普段、人前では気配を断っているから番頭さん達には解らないようにしてるけど庭にいるんだ」
「本当に大丈夫でしょうか?」
「敵意を向けない限りは大丈夫。おとなしいよ俺の家族だ数は少し多いけどね。この庭の広さなら問題ないし、それほど時間もかからないから頼むよ。逆に食事を我慢させるのも問題でね」
「わかりました。庭を荒らさないのでしたらお使い下さい。ただし、店の者や他のお客様のご迷惑にだけはならないようにして下さい」
「承知した。もし何かあった時は責任を取るから安心してくれ」
「では、支度して参ります。ごゆるりとお寛ぎ下さいませ」
こうして番頭と女中が離れを去り、セイは庭に出てアルファ達を呼び庭でアルファ達の食事の準備をしていると慌ただしく一組の男女が離れにやって来た。
『何かな?』




