255 アロン歓楽街(花街)
冒険者ギルドを出て館に戻ったら待ちきれなかったのかボルド達が既に待ち合わせの場所に集合していた。
「お前達どれだけ餓えているんだ?待ち合わせの時間よりもだいぶ早いようだが見た所男性陣全員じゃないか。ロック、ミーシャは許可したのか?」
「旦那、野暮は言いっこ無しでドランク達もあっしが無理やり誘ったんでさぁ。歓楽街は何も遊廓だけじゃありやせん。料理、酒、独特の遊び、踊り等も楽しめるんでさぁ。それを旦那の奢りで体験出来るってのは滅多にない機会でしょですからこの通り女性陣も集まっておりやす。」
「まぁミーシャの許可が降りたのなら良いが人が多すぎるな。俺とミリア、玉藻と華陽、アミカで行動するが後は適当に分散して歓楽街の様子を観察してくれ。くれぐれも感染症の実態調査だということを忘れるな。遊女と遊ぶにしても気を付けて遊べ。これは調査費用だボルド上限は一人金貨3枚それ以上は個人で負担しろ。後は、これだけの人数だなるべくグループ毎に固まるな広範囲に散らばり調査しろ。それと浮かれ過ぎて明日の仕事に影響させるな。以上だ」
「解ってやす。みんな浮かれて物見遊山になるのも仕方ないが情報収集がメインだということを忘れるな。俺、ガガ、ザイは単独行動、ミーナ、クリスはハルカ嬢ちゃんとサリナとポーラはシルビアとラピはアップとコンビでロックはドランク達と行動して特に女性陣は気を付けてくれ。油断して売られたりしないように」
「じゃ、各自に金も行き渡ったようだから銘々、歓楽街に繰り出すとしよう」
「「「おーっ♪」」」セイ達はアロンの歓楽街繰り出した。
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アロンの歓楽街は塀に囲まれた区画の中にあった。その区画に百軒以上の大小様々な店が碁盤の目のように並び特に娼館や遊廓では通りに面した格子や二階の窓から遊女や娼婦達が道行く男達に声をかける。
セイ達一行には声が掛からない。玉藻、華陽、ミリアがセイの腕を取り歩き難いぐらいに引っ付いているからだ。セイ達が通りを歩いていると誰もが振り返り玉藻達に見惚れる。
「おい、あれ誰だ?あんな花魁いたか?何処の店の花魁だ」
「あの冴えない男、なんて美人3人も侍らせてやがるんだ。ちくしょう。金にもの言わせてんじゃねぇ!」
「おいおい、あんな女達侍らせて花街を闊歩するなんて不粋だねぇ」
「俺達には高嶺の花だ現実を見ようぜ」
「旦那、女は顔だけで良さはわからないものさね。あたいは具合が良いって言われてんだどうだい?」
「ふん。あたい達に当て付けかい?早くどっかに行っちまいな」
などの囁きや呟き聞こえてきたがセイ達は無視して通りの中央をゆっくり堂々と歩いた。内実は道行く者達と見える範囲の遊女達を鑑定するためだが玉藻達を侍らせた理由は客引き等に鑑定の邪魔をさせない為と恐らくこの3人とセイが通りを歩けば注目を浴び一瞬立ち止まってくれるだろうとの思惑があった。
アミカも一緒に連れて行ったのは玉藻達が何処かの店の遊女と勘違いしてくれると余計なトラブルも避ける事が出来ると思ったからだ。アミカは元々帝都の歓楽街の出身だから今さら教育上の事を考えても仕方がない。男と女の事は花街の常識で育ったのだからこれから成長するにつれ時間をかけて一般の常識と擦り合わせすれば良いとセイは思っている。
物見遊山でセイ達は花街を歩き廻った結界ざっと見ただけでもかなり感染症が広まっていた。表通りで10人に3人の遊女が感染症にかかっている上に客になるであろう男達も結構な数が感染症にかかっていた。
『こりゃパンデミック寸前か既に引き起こされているかだな』
大きな通りを一通り練り歩いたセイ達一行に声をかける男達がいた。
「冴えない男に美女が3人何処の店の者ですか?私の主が貴女達を所望しています。一緒に来てもらいます」
「冴えないってのは認めるが連れの同意もなく連れて行こうとするのは不粋だな」
「この者達の同意など不要です。所詮は下賎な者。主の役に立てば誉れでしょう。お前も視たところ下賎な者ようですね。金貨1枚で十分でしょうその3人を譲りなさい」
「不粋も極まったな。玉藻、どうする?」
「本当、不粋なお方。主様との滅多に無い逢瀬の邪魔をするとはねぇ。華陽」
「ほんに、ほんに不粋なお方。それに金貨1枚?はて?私達を安く見られたのも気に入りませんえ。ねぇ御姉様」
「下賎はどっちでしょうね。人の実力も測れない未熟者な上に情報不足。首部を垂れ願うのならまだしも不粋を通り越して無礼極まりありまん。そうでしょ玉藻」
「ええ、本当に旦那様を下賎の者だとはねぇ。このしれ者」
「黙って聞いていればぬけぬけと」
「無礼はお前だ。貴族なら家名を名乗れ。この俺を知らない時点で他国の者か?」
「お前達に名乗る必要は無い」
「じゃ、連れはお前達とは同行しないと言っている。俺も金貨1枚程度の端金で連れを譲る気は無いし、礼を欠く者に対して俺は誰であろうとも敬意は払わない」
「なんと無礼な!手打ちにしてくれる。そこに直れ!」
男達は剣を抜いてセイに襲いかかった瞬間『麻痺』一人を残し男達は気絶した。
「いったい何をした?お前達は何者だ」
「アルファ、雪出ておいで「ひっ!」これで誰か来るだろう。雪、こいつと遊んであげろ「won」アルファこいつの主人がいる連れて来て「won」」
「お前達、こんな事をして後悔するぞ私達の主人はさる高貴なお方なのだ。代官に命じてお前達を捕らえて罰する事も出来るんだぞ!」
「ご託は良いから実力を示せ。俺は示した。お前にとって俺は下賎な者なんだろこの街は貴族であろうが皇族であろうが法を破れば罰するそれが決まりだ。お前は花街のルールを破っただけでなく無実の者の命を奪おうとした。お前の主人はお前達を監督する立場にある。帝国貴族でなければ尚更罪は重い。この街は独立時事区だ何者にも勝手な真似はさせない。雪、やれ」雪はじゃれついた
「止めてくれ~頼む」悲鳴を上げ男は恐怖に打ちひしがれた。そんな時アルファが気絶した一人の男を咥えてセイの元に戻ってきた。
『父さんこいつが親玉、こいつの周り2人いたけど麻痺させて放置してきた』
『ありがと。アルファ。みんな騒いでないけど気配を消してやったのかい?』
『気配は消したけどイプシロンが先にやっちゃった♪』
『そうかありがと。アルファ、イプシロン』
貴族の従者が悲鳴を上げるなか人だかりが出来て、警備隊らしき者達が駆け寄ってきた。
「何事か!」「そこのお前達、私を助けろ!この魔獣に襲われておる。そいつがこの魔獣に私を襲わせたんだ。そいつを処刑しろ!」
「雪、お遊びは終わりだ。隊長、確かに雪をけしかけたが遊んでやれと言っただけだ。雪はじゃれついただけそれより問題はこいつらが俺の連れを連れて行こうとして断ったら剣を抜き襲い掛かって来たことだ」
「あっ、これはセイ様」
「私達はバローネ共和国のハレンチーノ伯爵家の者だ。そこにおわすはハレンチーノ伯爵様だ。そこな下賎の者が我らに無礼を働いた故に成敗しようとしたまでの事。この者を捕らえ打ち首にしろ!さもないと戦争になるぞ!」
「あらあら。ご主人様相手に戦争ですか?バローネ共和国をたかが伯爵一人のために滅亡させて良いのでしょうか?ご主人様、御命令頂ければ私がハレンチーノ伯爵領を焦土にしますわ。どうぞご命令を♪」
「ミリア、物騒な事を言うな。玉藻も華陽も何故か乗り気になってるし。アロンや帝都の事も片付いていないのに面倒事は増やしたく無い。バローネ共和国もたかだか伯爵ごときのトラブルで帝国と戦争なんかしないさ」
「たかだか伯爵とはこの無礼者!衛兵早くこやつらを捕らえ即刻処刑しろ!」
「それは聞けませんな。バローネ共和国の伯爵様とは言え貴方は所詮従者だ。貴方はここアロンの花街のルールを破っただけでなく、刃傷沙汰に及んだ上に明確に殺意を持ってセイ様を襲った。貴方達を逮捕します。この者達全員を捕縛の上逮捕しろ!」「「「「はっ」」」」
「何故だ。我らは高貴な血を持つ貴族、伯爵家の者だ。衛兵ごときが我らを何故逮捕できる?」




