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スキルの活用方法 セイの日記  作者: 江戸の夜桜
アロン内政編
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247  ソロバン


「それ、どういう意味かしら?物価を下げるって」


「物価を上げるのは簡単なんです。翌月から税を重くすれば良いだけですから。簡単に言えば街の外から入ってきた者に税を掛けるだけで商人達はその税を上乗せして売るから物価は上がりますよね。もっと物価を上げたければ次に領地の各所に関所を設けて通行税を取るとかしたら更に物価は上がりますよね」


「それ良いわね。税収が上がるじゃない♪」


「それやめた方が良いですよ。領主には関係無いけど庶民取って死活問題です。それに税収が上がるのは一時だけで次年度からは税収が下がると思いますよ。「どうして?」商人も馬鹿じゃないから自分達の利益は上げたいけど支払いはなるべく抑えたいのが本音です。関所の無い所を探して関所を掻い潜り、街を素通りするか街に入らず野営して税を払わず過ごす事を考えるでしょね。それに通行税を掛けたら商人だけでなく冒険者達はどうするのですか?人の往き来が減り物価が上がり続けるインフレーションが起こります。当然生活をするために最低限の食料を買わないといけないけど給料は年間で支払われるために上がらない。困窮した庶民はスライムに流れるか街や村を捨てて他領へ流れるでしょね。そうすると治安の悪化を招くし人頭税での収入が減るし経済が回らない。そうなると領主だって無関係ではありません。軍だって様々な物を購入するんです。食料や馬車、馬、老朽化した備品、消耗品なんかをね。兵士達も物価の上昇に伴って給料を上げてやらないと生活に困って犯罪に手を染める者も出てくる余程領主が困窮して無い限りお勧めしませんね。これを逆手に取って他領でやらせる手もありますけどね」


「成る程ね。他領でそれをやらせて人をこっちに来させるのね」


「長期戦略になりますけどね。馬鹿な領主だとやってくれそうですけどね。物価の話に戻しますけど。下げるのは現状価格統制するしかないんですが商業ギルドや冒険者ギルドが邪魔なんです。お嬢さんが僕の商会を潰すと言った事と同じですね。潰した後の影響が大きいから準備が必要だし独占状態を取り敢えずなくす必要もあるから面倒なんです。アロン1つだけなら簡単なんですが帝国、王国に股がるとちょっと不味いかなと思って。価格統制をするとその補填を必ず言って来るでしょそうなると領主は強権を振るうか補填するかのどちらかです。補填も一時なら出来るけど競争相手がいない以上補填が出来なくなった時点で負けです。帝国で国が税率を下げたけど庶民には余り関係がなく儲けるのは冒険者ギルドと商業ギルドだけって構図ができそうでいかに商業ギルドから税金を取ってやろうか思案中なんです。各ギルドはアロンでは単なる組合連合で良いと僕は思っています。独占状態は僕の商会も同じですからセコンドでも行商人の育成をして下さいね。

 おっと話がまたそれた。いくら国が税率を下げても商業ギルドで価格を止めてしまうと意味がないので競争相手がいると言う話なんですが帝国の税制は年間だからしょうがない部分はあるけれど商人に対しての税制は緩くて杜撰としか言い様がないので僕は見直すつもりなんです。帝国の商人の税金は店舗の大きさで決まると聞いていますが「王国もそうよ」大規模な商会の場合も中規模な商会の場合も決められた税金を払えば問題ないとなっているのが問題で農民達と比べて不公平極まり無いと思いませんか?冒険者や農民達は収穫した物に対して税が掛けられのに対して商人達は店舗の大きさですよ。今回の馬の例で上げると約7千頭の売却益が金貨7千枚とします。それに税金がかかって来ないんですよ。これが冒険者の仕事だったら金貨7千枚に対して15%の税金がかかりそれにかかった費用は自分持ち。だったら商人も純利益から税金を取るべきなんです。現状小売りの商人達の税制を変えるつもりは無いけど大規模商会の商人達は計算がきちんと出来るし帳簿を付けて人を雇っているのだから出来る筈なんですが何故かそれをやって無いんですよね」


「それが、セイ君の故郷の税制なのかしら?」


「ええ、もっと複雑ですけどね。人頭税はもっと安いけど商会の従業員は給料に税が掛けられその税は商会が管理して年に一度国に納められるとか物の売買いに税がかかるとか馬車を買うときに道路の補修費用に当てる税金を徴収するとか馬車に関しては持ってるだけで年間で税金がかかり2年に一度検査が必要でその時も税金がかかりますね。他にも宝石類や高価な美術品なんかの売買には別の税金がかかったりしますね」


「頭がパンクしそうよ。そんなに税を取っても大丈夫なの?」


「税金の考え方の違いですよ。人頭税を高く取るか幅広く安く取るかの違いですね。この世界は文字も読めない計算も出来ない人が多すぎるんですよ。帳簿1つ取っても文字列で書かれているから計算がしづらい。商会の金庫を初めて見た時は驚きました。故郷では考えられない状態でしたから金庫の中の総額が誰知らないんですからこれがこの世界の常識なんだって無理やり納得させました。お金が山積みにされて整理されていないんですから。支配人が勝手に持ち出しても誰も気付かないし。帳簿も1年で処分されるから不正があったとしてどれくらい前から不正が行われていたのかわからない。隷属の首輪があるから本人の自白で判るでしょうが損害の総額がわからないのでは問題ですよね。セコンドでも数字正確にはアラビア数字を採用しませんか?


「数字?」ええ数字です。記号の一種です。0から9までの10文字でなり立っていて計算が出来る人なら3日で覚えます。現在使われいる文字列の帳簿が半分の紙で済みます。慣れれば計算もしやすいし帳簿も見易いですよ。僕達の故郷では全世界この数字が使われています。試しに財務関係の官僚をフロントに派遣してみませんか?クローネの単位と同じですから文字が違うだけですから。それにこの世界でも使える計算機も簡単に作れるし便利ですよ」と言って数字の普及を目指すセイだった。


「数字ねぇ。考えて見るわ暫く時間をくれないかしらそれより計算機の方が気になるわ。どうゆう物なの?」


『あちゃー、貴族の考えてみるは興味ないってことか』セイはインベントリの中で算盤を作って取り出し


「これが計算機で僕達の故郷では算盤と呼んでいました」


「ソロバンねぇ。これってどう使うの?」


「答えの解っている計算済みの書類が有りましたら金額だけ読み上げて下さい。実演します」


 エアトリアは家宰を呼び収支報告書を持って来て此処で入金と支払いの金額を読み上げる様に命令して家宰はそれを読み上げセイは算盤を弾いて計算していった。


「3百46万5千クローネ金貨3枚と大銀貨4枚、銀貨6枚と大銅貨5枚ですね。金貨4枚を支払ったとして53万5千クローネ大銀貨5枚銀貨3枚と大銅貨5枚のお釣です」


「奥様正解でございます。私達でさえ計算するのに1時間はかかる計算を読み上げた時間で計算できるとは素晴らしいです」


「まぐれかも知れないわ。もっと試しなさい」


セイは1時間近く算盤を弾き。家宰の声は掠れ汗を流し読み上げていった。


「全て正解でございます。奥様。私はこのソロバンと言う計算機が欲しゅうございます」


「次いでですから僕に見せても問題無い収支報告書を見せて下さい。数字に変換して物をお見せします」


 セイは15枚程ある収支報告書を数字変換して3枚の紙に納めて見せた。


「文字の大きさにもよりますが収支報告書と同じ文字の大きさで書きましたが行間と文字を小さく書けば2枚で収まる筈です。お2人には単なる記号の羅列のように思えるでしょうがこの数字というのは暗号にも使え応用が効きます。便利ですよ。帝国や王国では銅貨1枚が100クローネそれ以下は存在しないからソロバンでは桁を2つ無視して計算出来るから楽ですね。フロントのワタヌキ商会では数字と通常の帳簿を2つ作っています。これが普通の帳簿でこちらが数字に変換した帳簿です。厚みが違うでしょ。読む方も時間の節約になりますと言った感じです」


「凄いわそのソロバン売ってくれない?」


「良いですよ。でも扱うのに訓練が必要となります。フロントのワタヌキ商会に何名か派遣して下さい。1週間でソロバンが使える様にしてみせます。但し、条件が1つ秘匿しない事それだけです」


「わかったわ。そのソロバンはおいくらかしら?」


「派遣される人には無料で差し上げます。旅費も滞在費もかかりますから。この算盤、自作ですから職人に作らせたらいくら掛かるかわからないんです。構造は単純ですからセコンドでも作れる筈です。派遣された人の報告を聞いてから財務関係の官僚分を作らせてはいかがですか?端材から作れるから原価は安い筈ですが部品は多いので高価な物になるかも知れません。この算盤は進呈しますので良ければお使い下さい」


「欲が無いのね。出来たらこのソロバンあと2ついただけません?」


「残念ながら今は持ってないんで職人に発注して侯爵閣下が持つに相応しい物を作らせましょうお約束します。今日はこの辺でおいとまさせて下さい。話が脱線して長時間お相手して頂きありがとうございました」


「あら。もうこんな時間なのねせっかくだから夕飯を食べて帰りなさい」


「せっかくのお誘いですが従魔達の食事の用意をしなければなりません。こればかりは人に任せる訳にはいかないのでご容赦下さい」


「だったら仕方無いわね。時間を忘れるくらい有意義な時間でした。バトルホースの件は明日中に引き取りに行きます。セイ君の取り分はどうするの?「雄1頭と雌3頭で」解ったわ。それと派遣の件は人選をして3名を派遣します。人、日程が決まればお兄様経由で良いかしら「ええ、問題ありません」そう、お兄様経由で知らせるわね。あと、認可と工房の書類作らせたから渡しておきますね」


「ありがとうございます。ではこれで失礼します」


侯爵邸を去ったセイは王都の屋に戻り早朝、キャンターにいるバトルホース雄1頭雌3頭を選別して厩舎に入れる様に指示して明日中に侯爵家とギルバートの手の者が明日中にバトルホースを引き取りに来る事になったとサバトに告げフロントに戻り、アルファ達に食事を与えかなり遅い食事を取って眠りについた。







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