235 対策
「オーレさんこいつの身柄拘束と捕縛を宰相補佐官から依頼されたので引き渡します。それとこれは複写ですがアロンで拘束した冒険者達の調書です一応渡しておきます」
「話しは筆談で聞いたわ。とんでも無いことをしでかしてくれたわ。こいつ!」
「本部の誰かは知りませが犯罪の証拠は既に宰相補佐官の元に届けていますので尋問は任せます」
「わかったわ。それにしても盗聴されてるってよく判ったわね」
「なんとなくかなぁ。アロンの状況が判ってないとあの作戦無理があるんです。情報伝達にトロンまで1日掛かるとしてタイムラグが大きいので少しでも早く知りたい筈です。特に本部の人間だったら帝都冒険者ギルドの人間に命令して通信端末に細工を施し盗聴するのが一番ですから。それに盗聴されていなかったらいなかったでそれで安心感は得ることが出来ますからね。でも、その口振りからすると盗聴されていたんですね」
「ええ、盗聴されていたわ盗聴の魔道具はモニターの後ろに隠されて通信をしたら作動するようになっていたから気付かなかったの」
「それで犯人は特定できたんですか?」
「ええ、セリアが見つけてくれたわ。真面目な職員よ本部職員だった貴族の次男に言い寄られて結婚を餌に盗聴魔道具を仕掛けたそうよ」
「何処迄漏れているかわかりましたか?」
「その娘几帳面で聞いていた事を全て書き記していたのだけど重要な話しは殆ど聞かれてないわ。個人的なプライベート以外はね。この娘のお陰でみんなのプライベートが良く判ったしトロンと繋がっている者も判ったわ本当に几帳面な娘で助かったわ」
それを聞いた職員達は真っ青になった。『気の毒に』
セイは帝都冒険者ギルド会館を出て、フロントの屋敷に戻り遅めの夕食を取り、自室に籠り組み立て式のベッドを試行錯誤しながら作って試作品を作って眠りについた。
翌朝、日が昇ると共にアルファ達は樹木の伐採をシータは『アースクエイク』で切り株の除去をセイは道の整地を担当して中断していたアロンへ続く道を作っていった。7時になり一度中断してフロントの屋敷に戻りミーティングを行いシルビアとミーナは王都に行き商業ギルドで穀物の余剰分の買い付けを頼み、解散後それぞれの業務に別れていった。セイはアロンの館に戻り、ノース、ミーリアと会談した。
「この度の不祥事申し訳ありませんでした」
「詫びるは俺にじゃないだろ」
「今回の件で亡くなった冒険者達の遺族には帝国金貨1枚を支払う事になりました」
「そうか、今回のゴブリン討伐の報酬はこの件で亡くなった冒険者達の遺族達に分配してくれ。領主からの見舞金だ。それと遺品等の権利を全て放棄する。それも遺族達に回してくれ」
「承知しました。今後についての対策ですが、冒険者達を育てる以外に方策は無く薬師ギルドと協力して講習ぐらいしか思い付きませんでした。後は熟練冒険者を呼び込む措置として、ランクに応じての買い取り価格の優遇措置ぐらいですね」
「まだ、甘いな。これは俺からの提案だ。現在いる冒険者を育てる為にあらゆる部門で講座を開くんだ」
「しかし教官となる人材がいません」
「トロンの旧冒険者ギルドはもう機能しないし、旧冒険者ギルドのマスターは捕らえて帝都に昨日送還しておいた。帝国宰相補佐官との話し合いであいつの私財全て報酬として貰う事になっているから、奴の所有していた奴隷は全て俺の所有となる。それと、数日の内に戦闘奴隷達は一部を除き売却される事になるだろうからスキルの高い者や将来性の有りそうな者を購入するから暫く様子を見て教官にしたらどうだろう?」
「そうして頂けると助かります」
「あと、講習は1年間は全てギルド負担にして育てるんだ。薬草採取の講習に関しては何人かは強制的に受けさせろ。講習を受けた者とそうで無い者と収入の面で明確に違いが出る筈だ。それと文字の読み書きと計算かなぁ」
「ギルドでは代読、代筆のサービスをしていますが?」
「有料だろ?俺の故郷では8歳までに四則演算を教えるんだ。文字に至っては4種類の文字を6歳迄に覚えるな。それも無料でな」
「4種類の文字を無料で教えるんですか?」
「国の制度で定められているからな。5歳から15歳迄は無料で教育が受けられる。それと俺の国の文字はちょっと特殊でな一般的にひらがな、カタカナ、漢字、数字の4種類の文字が使われ後はローマ字なんてのも教わるな。アルファベットてのもあったけどアルファベットはローマ字だったけ。此処では共通文字だから一つで済むけどな。俺としては最低限、領民が文字の読み書きと四則演算が出来るようにするつもりだ。それと数字の普及かなぁ。
話は逸れたが冒険者に取って必要な基礎知識は一年間は無料で教える方が冒険者の育成が捗ると思うぞ。信頼にたる教官が増えたら今度は新人冒険者の教育かな。此処は魔の森に近い。いくら戦闘能力が高くてもちょっとした事で死ぬ。兵士と冒険者の違いと同じだ。フィールドが違うからな。生存率を上げる為にもやった方が良いと思う。設備は有るんだ人件費だけだろう?10人雇っても経費は其ほどかからないんじゃないかな?実際、オークを狩れる者が出て来たらそれだけで元が取れるだろ?それに教官は現役でなくても良いと思う」
「そうですね。知識に関しては文字が読めないと話しになりませんから、現状アロンにいる冒険者達の殆どは文字が読めませんしね」
「石板ノートは用意してやるよ。問題は蝋石だなぁ。あっ、庭で地面に枝で文字を書けるんだっけ」
「石筆なら安価で売ってますから此方で購入します。石板をお願いします」
「どの道数がいるから作るとするか」
「それと、構想段階だそうですが子供ギルドを作るそうですね」
「ん?そのつもりだがそれがどうかしたか?」
「此方でやらせてもらえませんか?」
「規則で年齢制限が有るから無理なんじゃ無いのか?」
「別組織にすれば問題ないとの事でした。冒険者養成所とでもします。規則の草案は今作っているところですが承認さえ戴ければ可能です。できたらGランクの依頼に関してだけ税金の優遇を図ってもらえませんか?」
「その辺はブラームと相談が必要だから即答しかねるが養成所とするなら仕事の斡旋だけじゃ済まないんだが草案を見て決める事にする。出来たら各ギルドに声を掛けてくれ薬師、鍛治、木工、冒険者もそうだが技術を必要する職業は育てるのに時間が掛かる。現状孤児達が主な対象だが各ギルドを巻き込めば自治体として動き易いし優遇措置としての理由も出来るからな」
「わかりました。持ち帰って検討します」
「どんなものが出来るか楽しみにしている。それと先ほど話したがトロンの冒険者ギルドのマスターは捕縛して帝都のオーレさんに引き渡しておいた。それと吊るんでいた代官は中央で処理するとの事だ。トロンの冒険者ギルドの通信とカード発行、換金システムの端末は使え無いようにしたから乗っ取るのなら今の内に手を打て。
それとフィフスの件だが閉鎖しているのなら人員を呼び戻せ。開設するなら早く手を打てフィフスの領主は今、王都に居るから王都の冒険者ギルドのマスターと話して早く決めろ。アロンの冒険者ギルドも人手が足りてないだろ?
それと帝都の冒険者ギルドの通信室に盗聴の魔道具が仕掛けられていた。オーレさんの話しでは重要な事は漏れていないそうだが通信室でのプライベートな会話がよく解ったそうだアロンも仕掛けられている可能性があるかもしれないから徹底的に調べろ。重要事項は暫くは筆談でするんだな」
「ご忠告ありがとうございます。盗聴の件は4都市既に徹底的に調査している最中です。アロンでも盗聴魔道具が見付かりトロンと繋がっていた職員を尋問中です。フィフス、トロンの件は王都と帝都に連絡を取り早急に手を打つようにします」
「俺から以上だ。下がって良いぞ」




