233 冒険者ギルドの対策
セイがアロン冒険者ギルド会館から出て行った後、ギルド会館は騒然となった。150体もの遺体の処理や討伐された2千体ものゴブリン処理、何より問題はセイを襲った冒険者達の事だった。
ミーリアは即座に職員達に遺体の手続き等の処理とゴブリンの処理を職員達に指示して事に当たらせセイを襲った冒険者達を拘束して隷属の首輪を拘束した冒険者達に嵌めて尋問をノースと共に行った。
その結果、拘束された冒険者達は本部の息のかかったアロン近郊の都市トロンから送られてきた工作員暗部と呼ばれる者達だった。目的はアロン冒険者ギルドの内部を混乱させて熟練冒険者達を他の街に誘導する事と機能不全に陥れる事にあった。トロンの冒険者ギルドマスターは本部の指令を受けゴブリンの上位種を10体程を犠牲を出しながらも捕獲してアロン周辺の森に放ち集落を形成するのを待ち暗部を送り込み前ギルマスの愛人だった職員を抱き込み事此処に至った事が判明した。
アロンの熟練冒険者の減少と今回のゴブリンの中規模集落の異常な形成の早さそして今回の惨事が全て本部からの指示だと理解したノースとミーリアは愕然とした。油断していた。本部が何も言って来ないのは何も出来ないからだと思い込んでいた。これは戦争なんだ本部は権謀術数に長けた者達である事を思い知らされ、アロンの街などどうなっても良いと思っている事を知った。これは既に組織の内紛の範疇を越えた戦争なんだと理解した。ノースは直ぐに真偽官を呼び寄せ調書を取りセイの元に調書送り届け今後の事、現状の打開策をミーリアと共に話しあった。
「現状熟練の冒険者達はもう殆どアロンから離れていますしトロンに向かった冒険者達は既に本部の罠に掛かっている頃です。どうしますか?」
「熟練冒険者達を呼び込み今の冒険者達を成長させる以外に方法は無い見たいですねセイ様が言った言葉が身に染みます。自由は己の力が及ぶ範囲でしか手に入らないですか。自分達の現状に不満があるなら嘆くよりも先に力を付けて教養を身に付けろとも言ってましたね。アロン冒険者ギルドで独自の取り組みをしましょう。でないとアロン冒険者ギルドの未来はありません」
「トロンの真似でもするんですか?」
「あんな阿漕な真似はしませんよ。もしやったらセイ様は間違いなくアロン冒険者ギルドを有無を言わさず潰してしまうでしょうから。しかし、トロンのギルマスは酷いですね。指名依頼の制度を利用して熟練冒険者達を罠に掛けて奴隷にする迄は本部の手口と同じですが更に奴隷となった熟練冒険者を手元に置き暗部や監査として自分の身を守る為に利用するとはね」
「それだけじゃありませんよ。奴隷にした冒険者達を使って代官と吊るんで奴隷狩りを行ってエルフや小さな村を襲わせているんですから酷いもんです」
「冒険者ギルドで奴隷を買うと言うのも問題ですしギルマスが個人的に自宅で使うのは問題無いと思いますが職員として利用するのは問題ですね」
「取り敢えず買い取り価格にランクを反映させましょうか。それとやっぱり育てなきゃ駄目ですね。今回の防衛隊との合同ゴブリン討伐はいい経験になる筈ですし。薬草採取なんかも薬師ギルドと相談して講習を行いましょうか」
「小耳に挟んだんですがアロンに子供ギルドが創設されるとか現在構想段階のようですが」
「子供ギルドですか?どういったものなんでしょうか?」
「なんでも3歳か5歳から15歳迄の子供達を対象に冒険者ギルドで言うGランクの仕事をして貰うらしいですよ。現金をもたすと危険だから正規カードを作るそうです」
「多分セイ様の構想ですね。しかしそうなるとGランクの依頼が殆ど奪われてしまいますね」
「フロントのギルマスは結構怒ってましたよ。冒険者ギルドの領域を奪うんじゃねぇとか言って」
「確かに先輩なら言いそうですね。しかし子供ギルドですかそれうちで出来ないですかね」
「冒険者ギルドの登録できる年齢は8歳と決まっていますよ」
「形式上別組織にすれば良いだけです。業務に関してのノウハウはうちの方が持ってますし人員も新しいギルドを作るよりもはるかに少なくて済みます。子供のうちから冒険者に慣れ親しめば成人する頃には即戦力ですよ。そのためには少々セイ様に優遇して貰う必要がありますが法務部に言って可能かどうか聞いて下さい。もし可能なら組織の運営に関わるルールの草案と運営に関わる費用で年間どれだけ赤字が出るか算出して下さい。もし、誰もが依頼を出せる状況を作り出せば黒字になりますから以外と面白いと思います」
「わかりました。法務部に打診してみます。しかし打開策はそれぐらいしか思い浮かびませんがこちらの防衛策はどうしますか?」
「多分、トロンに関してはセイ様が報復措置を取る筈です。トロンの行った行為は組織の内紛どこか最悪街を巻き込んで軍の出動までしなければならない事態になっていた案件ですからね。でもこちらもただセイ様を頼ってばかりではいけないと思います」
「だったら今回捕虜の中で熟練冒険者の奴隷もきっといる筈です。此処にいる間だけでも教官としてお借りできないでしょうか?」
「問題は軍が首を縦にふるかどうかですね。その辺はセイ様と相談ですね。明日、トロンの件を含めて相談しましょう」
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時間は少し遡る。
アロン冒険者ギルド会館を出たセイはゴブリン中規模集落跡迄飛びその周辺の薬草を根絶やしにしないように採取して大量の薬草を採取したそれが終るとミスリルの鉱脈のあった洞窟付近の樹木を伐採して切り株を取り除きアロンに続く道を切り開いて行った。その間幾つかのゴブリンの集落があったが問答無用で殲滅して集落を消し去って行った。夕方近くになったので作業を中断してアロンの館に戻り、ブラームから調書を受け取り内容を読んだセイはゼルフ将軍と防衛長官を呼んで調書を見せた。
「なっ!なんと言う事だ」「これは由々しき問題ですぞ!」
「ああ、僕もこの調書を読んで驚きました。一応ゴブリン中規模集落の全てと幾つかの集落は殲滅したので暫くは大丈夫ですが同じような事繰り返されたら僕がいる間は対応はできるけど僕が不在の時アロンの防衛を任せても良いように訓練して欲しいのと出来るだけ早く周辺の森のゴブリンを駆逐して欲しい「はっ」ゼルフ将軍を呼んだのは捕虜の奴隷達で冒険者だった者がいるならアロンで買い上げたいんです。特にジョブがシーフやアサシンの者が欲しいです。融通して頂けませんか?」
「セイ殿の頼みとあらば承知したいのはやまやまなれど処遇が決まっていない者を勝手に売却するのは問題なので難しいですな」
「そうですか仕方ありませんね。それともう一点トロンの事ですが個人的に報復するのは簡単なのですがトロンは皇帝陛下が別の代官を使わしている街。僕の管轄外ですから勝手に振る舞う訳にもいかず犯人達の身柄を要求しても拒否されるでしょうし代官と犯人達が繋がっているのではトロンで処罰する事はまず無いと思われるのでどうすれば一番良いのかと」
「そうですな、セイ殿が中央と掛け合うのが一番かとセイ殿が勝手動けば中央の面子が有りますからのぉ。この件はアロンだけではなく最悪他の街にも被害が出ていたかも知れぬ犯人達はアロンの街が潰れ新冒険者ギルドの信用を失墜させて合わ良くば旧冒険者ギルドを国にその存在を認めさせるのが狙いかと中央がどう動くかは解らぬが先に中央に知らせ中央が動かぬならその時はセイ殿の好きにすればよかろう。中央も面子さえ立てば問題なかろうて」
「わかりました。明日帝都に赴き宰相補佐官に面会を求めましょう。ありがとうございました」




