225 三紋芝居と帝国の仕組み
2021年元旦 2話目です。
セイは昼過ぎに王都に移動して王家の別宅にいた。
「セイ様最後方はセンスの領主ソート伯爵様でございます。「入って貰って下さい」承知しました」
「初めまして使徒からこの度の返還の委託を受けましたセイと申します。お見知り置き下さい」
「うむ、ソート伯爵である。良しなに頼む」
「ソート伯爵様から返還要求があった品は此方で間違いありませんか?」
「確かに全て揃っておる。これがその代金だ受け取れ」
「有り難う御座います。ハルカ金額を確かめて受領書と台帳に記入してくれ「はい」これが受領書となりますお受け取り下さい。では」
「それだけかね。本当に良いのだなその金額で」
「何か問題でもあるのですか?使徒は値段は自分達で決めろと言っておられました。物の価値は様々なもので決まると思います。
他人に取ってみすぼらしただの指輪でもその持ち主とってかけがえの無い物であったりします。この剣もそういう類いの剣だと思います。使徒がこの剣に銅貨1枚と値段をつけたとして人は様々な事を考え感じるでしょう。安く済んだ。見る目の無い奴。
逆にこの大切な剣が銅貨1枚だと怒る方もおられましょう金額が高ければそれも貴族様もご負担が大きくなり泣く泣く手離さざる得なくなります。
ですからその価値をご自分達で決めて頂き私達は何も言わずただ大切な品を間違いなくお渡しするだけで御座います。伯爵様は様々な事情を考え精一杯のお金を支払われたと信じるだけで御座います。」
「そうか。気遣いご苦労。だがまだ帰れぬ。リスト漏れが有ってな赤い石が嵌まった女性がするの指輪がリストから外れておった。返還出来ぬか?」
「伯爵様が所有者である証が有れば返還しますが赤い石だけでは特定出来ません」
「リングの内側に文字が刻んでおる『愛する妻に永遠の愛を誓う』と」
「少々お待ち下さい。該当するものが有りましたこれですか?」
「確かにこれだ妻の形見の指輪だ頼む返してくれ金は出す幾ら出せば返してくれる。儂にこの指輪に値段は値段は付けられん。頼むから値段を付けてくれ頼む」
「私達に値段をつけろとおっしゃるのですか?お断りします。ご自身でお値段付けて下さい」
「愛する妻の形見に思い出に値段をつけろと言うのか!」
「セイ君ここを見て」
「ソート伯爵様私達の手落ちで申し訳ありませんでした。リストに指輪が記載されているにも関わらず見逃しておりましたお許しください。どうぞお受け取り下さい」
「馬鹿なリストには記載されていない筈」
「いえこちらのリストには記載されています。赤い石の指輪とこのリストにはここにどうぞご覧下さい」
セイは伯爵にリストを見せ指を指したところは空白だった
「私には赤い石の指輪と読めるのですが読めませんか?ハルカは読めるか?」
「確かに赤い石の指輪と書いてあるよ。そこの貴方ここ読んで」
「何か文字が赤い石の指輪と見えますね」
「3人も見えるのですから私達の落ち度です申し訳ありませんでした。その指輪は先程の品に含まれます。これで良いのでは?思い出は伯爵様だけの物です。私達はその思いを受け取り既に対価はいただきました。使徒はこうもいってましたよね物納でも構わないと伯爵様がいかに奥様を大切に思っていたか見させて頂きましたその思いが対価です」セイは伯爵に指輪を渡した
「すまぬ感謝する」そう言って伯爵は退室した。
「助かったよハルカ有り難う。思い出に値段は附けられない。リストに記載しておいてくれ『ルビーの指輪 妻の形見 キーワード』それだけ良い」
「そうだねキーワードをこの紙に書いたら安っぽいもんね」
「一応、リストにある物は全て返還したしあー疲れた」
「でも色々あったね。鉄の剣をミスリルだっただのすり替えたとか傷が付いたとか食料分値引きしろだとか一番酷かったのは男の奴隷の服を脱がせてその服が対価だって流石に驚いたよ寄り親から下賜された剣だと言うのに寄り親が知ったら怒るよそれと太ったおばさん一晩自分の身体好きにして良いと言うのは笑ってしまったよ」
「もう終わった事だ収納袋やバッグは食料が殆どだったけどそれ以外のリングなんかの収納アイテムの殆どが所有者を特定出来ない物だったし殆ど中身は入ってなかったけど忘れ去られた隠し財産らしき物もあった。
3重に真珠を連ねたのネックレスと15カラットのダイヤを中心に宝石をあしらったティアラと王冠や合計3トンを越える金のインゴットや拳大のピンクダイヤ、サファイア、ルビー等時代が過ぎ忘れ去られた物だろう。どうせ吹っ掛けるなら30センチ角の箱にぎっしり詰まったダイヤぐらい言って欲しかったよ」
「さて帰ろうハルカ「うん♪」お世話になりましたニコルさん」
「またお会いしましょうセイ様」
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「ブラーム、ちょっと聞きたい事があるんだが時間あるかな?」
「大丈夫ですよ。聞きたい事とは何ですか?」
「まずは、流通の仕組みを知りたいんだ食料の流通の仕組みはどうなっている?食肉関係は大体解るんだ冒険者達が魔物を狩ってギルドで狩った魔物を売ってギルドから各商会へ売るそして商会から各行商人を含む個人商店にそこから一般の人々って事になっているよな。穀物や塩や香辛料はどうなっているんだ?」
「大間かに言えば冒険者が農民、ギルドが領主や代官。所謂、各自治体に当たりますね。収穫を終え各村から税として小麦や穀物を集め商会や商店に流れて行きます。その他は個人の売り買いになりますね。例えば冒険者達が直接個人商店に売るとか。行商人が各村を周り余剰物資を買い取り商会やギルドに売ると言うのが流れです。塩や香辛料、砂糖に関してはちょっと違います。塩は帝国では岩塩が主流で岩塩が取れる場所は国や領主が管理して免許を与えた商会に流している場合と商業ギルドに流して商人達に売る場合が有りますね。帝国の場合は商業ギルドに流して価格管理を行っています」「胡椒や砂糖は?」
「胡椒や砂糖は輸入に頼っています。帝国の場合、領土が広いので南部の一部で生産されていますが殆ど南部の国からの輸入になります。帝国の場合は此処から南へ馬車で一月のカロンの街が交易都市として存在しています」
「因みに俺個人が勝手に塩を作るとしよう売る場合は商業ギルドに売っても良いのか?」
「帝国の場合は大丈夫ですが多額の税金がかかりますよ。決められたルート以外の塩は多額の税金がかかります」
「それと塩を勝手に作ってそれを使って加工食品にした場合はどうなる?」
「現状、そう言った例がありませんから塩の市場価格が変わらない分には問題無いと思います。塩を販売する訳ではありませんから」
「王国の領地持ちの貴族達は基本領地で得た税は領主の物でそこから国へ税を納めるよな。帝国の貴族達は一度国に集めてそこから貴族達に分配されるのかな?」
「王国と帝国の違いはそうですが決定的な違いは軍の裁量権を持たない事ですね。私兵や傭兵は別にして治安維持の為の守備隊も軍の一部ですから人事には手が出せませんが守備隊の維持費は各街が負担します」
「という事は帝国の貴族達は地方行政官であって軍権は持たないあくまでも貴族達の兵士は私兵と考えて良い訳だ。じゃアロンの場合はどうなる?」
「アロンの場合というより帝国の仕組みといった方が正しいのですが街はそれぞれ周辺の村を統括しています村の規模により行政官つまり貴族が配置され統治する仕組みですね。先程の話ですが一旦国に税を集めて再分配するとなると時間がかかり過ぎるので税の中から差し引きされますから結果的に同じですね」
「じゃ、自分の管轄の生産の10%が貴族達の収入になるのか」
「いいえ、6%ですよ。街が4%を貰っています。その代わり守備隊の維持費は街が持ちます。そうしないと小さな村は守備隊の維持費で破綻しますから」
「ふーん。因みに聞くけど貴族達は担当している村や街に独自の税金を掛ける事が出来るのかな?」
「出来ますね。但し、村なら街。街なら国の承認が必要です。じゃあ税率の変更は?」
「独自のものなら変更可能ですよ。それもそれぞれ承認が必要ですが」
「最後に街が統括している村の貴族達の処罰の権限は誰が持っているの?」
「その街の代官ですね」「法律も同じと考えて良いのか?」
「法律も基本的には変わりませんが税に関わる事だけ上の承認の必要ですがそれ以外は自由です」
「じゃあ、手始めにアロンが統括している村全部に内偵を送って税率を確認してくれ。もう既に50%から25%に変わった事は通達されているよな。俺も忙しくってろくに街中を見ていないからよくわからないんだけど物価が変わった気がしないんだ」




