224 アロンの各ギルド
新年明けましておめでとうございます。旧年中は皆様にご愛顧頂き本当にありがとうございました。本年も見捨てず御愛読戴けたら幸いです。読者の皆様におかれましてはコロナ禍の中でご苦労が絶えないと思われますがくれぐれも健康に留意してこの一年が健康で健やかな一年であるように祈っております。
本年も宜しくお願い申し上げます。また読者の皆様にとって善き一年でありますように♪
2021年 1月1日 元旦 江戸の夜桜
セイは冒険者ギルドを出て薬師ギルドに行きギルドマスターと会談した。
「現状はどうだ?」
「芳しくありませんな。少量の薬草は手に入るようになりましたがポーション不足は続いています。冒険者にも声かけているところですが採取の仕方や保存方法、薬草の見分け方等知らない冒険者が殆どです。それに薬師になる人間もいませんし初級ポーションを作れる老人と儂の孫が見習いとして一人がいるのが現状です」
「ポーションは命の根幹に関わる大事な物だと思うんだが俺も今回の帝都での内乱で医療に関わってポーションの大切さを実感したよ兵士達がポーションを配備されていたら失わないで済む命がいくつもあったんだ。王国との戦争の爪痕はかなり深いな」
「ところでスラムの住民達に無料で治療されていると聞き及び見学させてもらいましたが魔法とポーションを見事に使い分けて何人も治療していく様を見て驚きました。あのポーションは何処から調達されたので」
「俺が、魔の森でアルファ達と暮らしていた時に我流で作ったポーションだよ」
「なんと領主様は薬師なのですか?」
「そうとも言えるしそうとも言えないかな誰かに学んだ事は無いから時間を見付けてサリナに教えて貰っているまだまだヒヨコだよ」
「しかし、あのポーションは中級ポーションに近い下級ポーションではありませんか是非アロンの薬師ギルドに卸して下さい」
「残念ながら瓶が無いから売り物にならない。この壺に入れているんだ」
セイは下級ポーションと初級ポーションの入った一抱えもある大きな2つの壺を見せた。
「瓶なら有ります。是非譲って下さい。お願いします」
「構わないがこのポーションがあっても一時凌ぎにもならないだろ。薬師を育て冒険者を育てるしか道は無いと思う。俺みたいな特殊な環境で生きていく為に何でもしなきゃいけないからポーションを我流で作ったけどそんな人間まずいないからな。孤児達を薬師として育てて見ないか?」
「とてもそんな余裕はありません。私達が生きるのに精一杯です」
「徒弟制度で育て上げろとは言って無いよ。子供達にポーションを作っているところを見せてポーション効果を知るそれが大事だと思う人よって感じ方が違うが人の命を救うポーションって凄いって思ってくれたら良いんじゃ無いかな?
ポーションを出荷出来るまでの作業に小さな子供でも出来る作業があるだろそれをやって貰いながら自分達の姿を見せる。それだけで子供が凄いポーションを作っている事に誇りを持ってくれたら多分薬師になる子は出てくると思うぞ。
即戦力なんて期待してもそんな人間いないぞ。俺の最大の欠点は人を育てられない事なんだ全てが我流で試行錯誤の上に立っているが基本が出来ていない上にかなりスキルに頼りきっているから他の人には俺の方法では出来ないんだ。俺が死ねばそれで終わりだけど万人が作れる物はずっとずっと受け継がれんだ凄い事だと思うよ。一人でも多くの薬師を排出する切っ掛けを作って見たらどうかな?
でないとギルドの意味はないしギルドその物が消滅するぞ。実際7歳までの子供は働き口はないんだだったら一人半日銅貨5で瓶詰め作業や運搬を手伝って貰えば安いと思うのは俺だけかな?
目的は作業じゃ無い将来の薬師になってもらう切っ掛け作る事だ底辺を広げないと層は厚くならないぞ」
「確かに先日領主様がおっしゃいましたね。嘆いてばかりで何もしないのは状況を悪化させるだけだと今のところポーションを作れる者は少ないですが材料さえ手に入ればポーションは作れます。状況は好転しているのですから2、3人しか手伝って貰えませんがやってみます」
「それから冒険者の件だけど冒険者ギルドと話あって薬草の見分け方、採取の仕方、保存方法を教えてやったらどうかな?
正直、アロンの冒険者達は初心者に毛が生えた程度だゴブリン討伐もろくに出来ない。魔の森の上層付近でさえ近寄れ無い。薬草さえきちんと採取出来ない。酷いもんだろ。
だったらせめて薬草ぐらいきちんと採取できるようにしないと自分達で採取しなきゃポーションが作れなくなる。きちんと採取した物とそうで無いものに買い取り価格に差がでるから誰でも高く買い取って欲しい筈だし薬師も良い素材が欲しいお互いに利益はあると思うぞ。
余程の物は秘匿すべき事もあるだろうが薬師が誰でも知って事なんて情報公開しても問題ないと思うんだ考えておいてくれ。俺がポーション制作三昧するのも良いけど立場上それも出来ないから頼む。
その壺、量がどれだけ入っているかわからないそのポーション代金は子供達の賃金に当ててくれ。壺だけ返してくれたらいいから」
セイは薬師ギルドを出て地図見ながら木工ギルドに向かった
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「一応、魔の森から樹木を伐採して乾燥させた物を丸太にして外壁部に置いてあるので使ってくれ。もし切り株も必要なら取って来るがどうする?」
「ホントですか?出来るのなら切り株も欲しいです」
「解った。近いうちに取って来るよ。少し聞きたい事があって、トレントって乾燥させるるのか?」
「トレント種は乾燥させる必要はありませんよあれは死後硬直しますから縮まないんです」
「因みにトレントって普通なんに使われるのかな?」
「大体家具か杖が一般的ですね。領主様まさかトレントを討伐されたのですか?」
「ああ、トレントの林が有ったから殲滅させて来た」
「林ってなんて危険なことを。トレントは擬態するから見分けるのは難しいんですよ。群生している所に入っていったら普通命は有りませんよ」
「ありがと。心配してくれて」
「いや~そんな~。そのトレントはもう冒険者ギルドに売却したんですか?」
「いや、していない。木材の一種だからこっちで使おうと思って売却していないが」
「是非、うちに売って下さい。お願いします」「買い取り出来るのか?」
「勿論出来ますよ。木材関係以外の買い取りはしませんが各ギルドで自分達に関係する物は買い取ってますよ。職人は腕を磨くのに時間を使うから街や村の外には出ませんから商業ギルドや冒険者ギルドに材料供給を頼っていますが立場の弱いギルドはギルドメンバーであろうと無かろうと区別はしません。薬師ギルドもそうでしょ。ですから是非譲って下さい」
「解った。何体いるんだ?」「10体有れば十分です」
「何処に置けば良いんだ?」「倉庫です。案内します」
セイは倉庫に入りトレントを10体出して、外に出てひときわ大きな木を一本取り出した
「此れは、まさかエルダーですか?「そう、エルダートレントだ」初めて見ました。これも売って貰えるんですか?」
「買ってくれるなら売るけど。少し聞きたいんだけどトレントって枝付きと丸太どっちが良いのかなと思って」
「普通は解体状態で冒険者ギルドから売られますね枝と幹に別けられます」
「じゃ解体したのと交換しようか?」
「えっ、良いんですか?買い取り価格それほど変わりませんよ」
「葉が欲しいんだ。発酵させて土の養分にするのに使いたいのと焼いてガラスの原料にする」
「そう言う事でしたら交換して下さい」
セイはトレント10体を一度に収納して解体して元に戻しその横に枝を積んでエルダートレントも同じ様にした。
「これで良いかな?」
「十分です。代金ですが現金ですか?それとも口座に振り込みますか?」
「このカードに振り込んでくれ」
「このカードは旧冒険者カードですけど良いんですか?」
「良いんだ。全く入ってないと不安になるんだ」「ではお預かりします。これが明細です」
「お待たせしました。金額を確かめて下さい」「確かに。じゃ行くよ」
予告通り本日3話投稿します。暇潰しにお読み下さると幸いです。




