216 冒険者ギルド本部消失
アロン冒険者ギルド通信室でノームは冒険者ギルド本部の統括本部理事長に緊急の通話を求めた。
「ノームじゃないかトーンはどうした?」
「それを含めお話があります。一昨日、アロン冒険者ギルドのサブマス2人が殺人教唆で捕縛されました。そして先程、トーンを公務執行妨害と領主への暴言と侮辱の罪で逮捕しました。余罪はまだあり横領や収賄が出てくると思います」
「なに!どうしてそうなった?経緯を話せ」
「何故犯罪に手を染めたのかは知りません。領主自ら守備隊を率いてサブマス2人を逮捕しましたので取り調べは守備隊が行っており詳細はまだ不明です。サブマスの2人は犯罪者ギルドと通じ暗殺依頼をしていた事実が証拠と共に判明しました。トーンに関しては領主から直接、不祥事の謝罪と今後対策を書面で出すように言われましたがこれを無視して領主と面会中領主の目の前で暴言を吐き領主を侮辱しました」
「ちょっと待て、アロンの領主ってどう言う事だ」
「皇帝陛下から直々にアロンの街に対して全権委任された方ですから領主でしょ現状領主でなければ解決出来ない問題がアロンには数多くあり、領主が派遣されました。その余波ですねサブマス2人逮捕はトーンは領主を嘗めて保身に走って無視した結果です」
「ギルマスはノームお前がやれ人員が必要なら送ると言いたいところだが王国のフィフスの件も有って人材がおらん増援は暫く待ってくれ」
「一応、私から領主に謝罪しましたが返答は膿みを出し切れとその対策を出せとの返事でした。おそらく今回の不祥事が再度起こればアロン冒険者ギルドは潰されるでしょうね。そして冒険者ギルドの再開は許可され無いでしょう」
「馬鹿なそんな事が出来る訳が無い。冒険者ギルドを敵に回すのか?」
「既に領主に冒険者ギルドは喧嘩を売っているのでもう冒険者ギルドは敵と認識されていますよ」
「まさか!」
「ええ、そのまさかの人物ですよ。私の情報ではその人物が言うには冒険者ギルドはたかだか民間の互助会組織だそうです。上手いこと言いますよね。私もそう思いますから」
「お前までなにを言うんだ」
「だってそうでしょ。領土も軍も持たない民間組織ですよ。国に圧力をかけるにしても引き上げるとしか手がないんですから。帝国も王国も戦争のせいで熟練の冒険者は減りましたし無茶な指名依頼のせいで腕の立つ冒険者の多くは奴隷になってしまいました。もう既に互助会ですらないと私は思っていますよ。ところでトーンがワイバーンを横流しをしましてね。私が買い取りを担当したんですが見事なワイバーンで傷も殆ど無いので剥製にしてオークションにかけるようにお願いしたんです。その人物は心良く了解してくれまして。ワイバーンが手に入った情報をトーンが知ってその人物を調べて私も知らない間に犯罪者ギルドに売り払ったようですね。それを知ったその人物は返還を求めてきたんですよ。ペナルティとしてアロンに持って来た状態と同じものを10頭を要求されました。その人物が持って来たワイバーンは狩ったばかりで血抜きもしていない状態で血液も固まっていませんでした。どうしますか?ワイバーン1頭だけでも帝国白金貨10枚はくだりません。ペナルティはその10倍ですが規則ではお金でとは書いていませんからその人物の返還請求は正当なものです。私では判断が出来ないので理事長、判断して下さい」
「金で解決できんのか?」
「オークションに掛けた場合は帝国白金貨50枚は売り上げていたワイバーンです。帝国白金貨500枚もの現金がアロン冒険者ギルドにあると思いますか?それにその人物は大変な資産を持っていてお金に興味が無いようですね。此処2日でかなりのお金を得たようですよ」
「そう言えばワイバーンを従魔していた者がいたなその冒険者に依頼したらどうだ?」
「無理ですね」
「何故だワイバーンを従魔に出来る冒険者だAランクだろ?指名依頼すれば拒否できん筈だ」
「ワイバーンの従魔登録したのは私でして冒険者のランクはDでした。指名依頼は出来ませんし依頼しても断るでしょうね「まさか!」ええ、自分が要求した事を何故自分が冒険者ギルドの為にしなければいけないとその人物は言うでしょうねぇ。とにかく私では交渉すら出来ません。彼を呼びますから彼と直接交渉して下さい。理事長」
セイは通信室に案内され理事長と話した。
「お前が本部統括理事長か?俺は帝国領アロンを皇帝陛下より預かった領主セイ・ワタヌキだお前に書簡を送った者でもあるその辺をよく考えて返答を求める。帝都、フィフス、アロンこれで3度目だお前達の謝罪は聞いた事がないんだが本気で俺を怒らせたいのか?そんなに戦争をしたいのなら書簡に書いた通り売られ喧嘩は買うから今から戦争するか?」
「図に乗るな若造が儂は本部統括理事長だお前ごとき儂の権力の前では塵同然だと思い知らせてやる」
「確かに宣戦布告受け取った。手始めにアロンの冒険者ギルドの閉鎖とこの施設を没収する。二度とこの街に冒険者ギルドは開設させ無い事を宣言する。代わりハンター協会でも設立しようか。ちょうどルール改定したかったんで面倒が無くて良い」
「そんな事をして困るのはお前だ!」
「別に困らないさアロンは魔の森に隣接していて上層さえアロンの冒険者達は入れないんだ。薬草採取さえろくに出来ない冒険者なんていても仕方ないんだ。1から育て上げた方が良い。幸い俺の周囲には戦闘特化のベテランが多くて教師には事かかない。身分証はアロンで発行すれば王国と帝国も自由に行き来できるように働きかけるしなんの問題も無い」
「あら♪マーモじゃない久しぶりねぇ。ご主人様と戦争するの?じゃ今から帝都の本部に行って塵も残さず焼き付くしてあげる♪あの時の事忘れて無いわ首を洗って待っていなさい」
「ミリア、一人だけ狡い因縁が有るのは貴女一人では無いのですよサリナとポーラも誘いなさい」
「あら、愉しそうなお話し私達も混ぜくれなんし。この人とは少しばかり所縁がありんして一瞬で殺すなんて勿体無いでありんす」
「そうどす。このお方のためにどれだけの人が泣いたわかりまへん」
「待て、みんなどうして此処に居るのかわからないが女王と皇帝に書簡を届けてからだ。ノースが証人だ」
「ご主人様をお迎えに来ただけですわ♪」
冒険者ギルドから宣戦布告を受けた経緯と受諾した事を書き記したセイの書簡は直ちに女王と皇帝の元に送られ王国と帝国は冒険者ギルドとセイとの戦争である事も認め静観を決め込んだ。それから5分も掛からず帝都にある本部の全ては一瞬で消え去りセイは廃村に冒険者ギルド本部を設置してシステムのメイン管理者となりシステム全てを掌握した冒険者ギルドのシステムに介入してネットワークシステムと換金システムを完全に遮断したが買い物システムは使える様にした冒険者ギルドのシステムは機能不全に陥り全世界の冒険者ギルドに大混乱を招いた。その上一夜にして王国と帝国の主要都市全ての冒険者ギルドの現金と素材の全てが消えると言う大事件が発生し混乱に拍車がかかった。
冒険者ギルドの本部幹部達が王国と帝国にセイを盗賊として討伐するように願い出たが逆にセイから届いた数々の不正や横領、犯罪の証拠を見せられ捕縛された。中でも酷かったのが指名依頼を利用して冒険者を陥れ奴隷として高く売ると言う事が公然と行われていた事だった。一夜にして冒険者ギルドは経済的に破綻した上信用さえ失墜してしまった。
その中で王都、帝都、フロント、アロンの4つの都市の冒険者ギルドは事前に知らされており換金システムの一時的故障で暫く復旧に時間がかかると説明してどうしても現金が必要な者は無利子で貸す事で混乱も最小限に抑える事が出来たが他の冒険者ギルドでは換金も出来ずネットワークも使えず買い取りや売却も出来ない状態に陥り冒険者達がギルド会館に群がり衛兵達が出動する事態に陥った。
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「セイお前の言う通りになったな」
「潰すのは簡単だと言った筈ですよ。暫くご迷惑を掛けます。本部が完全に犯罪者の集まりだったのは驚きでした」




