214 忙しい
セイは翌朝、訓練場に行き眼の不自由なスラムの住民達に眼の再生治療をを行い、スラム跡地の周囲を高さ3.5m幅30cmの壁を作りあげ壁の上部に50cm間隔に60cmのステンレスのアングルを外側に斜めに差し込み有刺鉄線を張り付け、全体に『硬化』を掛けて硬度をあげ門となる場所の内側に2本の溝を作り高さ2.5m長さ10m幅1.5mの形状は三角柱で隙間を30cmになる様にステンレスのアングルで組み上げ滑車と取っ手を取り付けバリケードを設置して一人でも動かせるか確認して門の近くにフロントで収納した商会の寮を設置して、ステンレスパイプを『成形』して門とアーケードを作り設置。取り敢えず作業を終えた。
作業を終えた頃ブラーム達官僚がやって来て既に壁が出来上がっている事に驚き呆然とした。
「此処がスラムだったとは思えませんね」
「一応、軍の宿泊出来る所は設置したが家具やベッドや机はまだだ防壁の外の壁の事もあるしどうする?」
「スラムの建物はどうされましたか?」
「マジックバッグに収納しているが使うのか?」
「テントよりもマシな筈ですし、使えるのならその方が公費も節約出来ます」
「確かにそうなんだが街に利益が出ないぞ」
「準備する時間が余りにもありませんでした。セイ様は2ヶ月とおっしゃいましたが本来なら交渉に入るだけで早くて2ヶ月かかるのが普通です。セイ様が手を打たれのでしょ?両国のために」
「馬はともかく捕虜の2万は王国も帝国も負担になるからな実際王国の領土を一部割譲されても国境付近の村や街は荒れ果てているからなぁ。どちらの国も停戦したいのは同じなんだ。お互いの意志疎通に2ヶ月も掛かっていては軍は捕虜の扱いにも困るし捕虜の食料が問題になるしずっと野外では兵士達が持たない。本来なら砦を作るか城塞を築くものなんだが戦場付近ではそんなの無かったしな」
「砦は有ったのですが、今は王国に占領されていますがもう砦とは呼べない廃墟になっていますね」
「ところで防壁の外の壁を見たか?」
「はい。僅か1日であのような壁が出来上がるとは皆驚いています」
「簡単な門と橋を作るから建築ギルドに発注してくれ後道もな。取り敢えずは基礎は作っておくがデザインを職人達に描かせて外壁の部分で雇用を産めると思うから考えてくれ。それと昨日、スラムの地下室から出てきた食料があるんだがどうする?」
「雇用の件は色々案を出している最中です。外壁の事も伝えておきます。食料に関しては備蓄の補填と残りは商業ギルドと相談して下さい」
「わかった。外壁の門を先に終わらせて簡単な小屋を設置するから守備隊を派遣してくれ。昼までには終わるから。外壁の通過は今のところ自由にさせて監視程度で構わない。本格的に警備に入るのは後で良いが都市計画をどうするのか整理する必要があるからこのアロン全体を変える必要も出てくるかもしれない。防壁と外壁内で今のアロンの全てが収用出来る広さがある筈だ捕虜や馬の件が終わったら都市の再編を行うからつもりで色んな案を出す様に。案に関しては絶対に否定はするな。採用するかしないかはわからないが取り入れる要素はあるかも知れないからな」
「承知しました。守備隊にはその様に伝えておきます。それと今朝商業ギルドから王国のフロント、セコンド、フォース、サード、フィフスにある余剰物資のリストが届きましたが王国も帝国よりはマシですが潤沢とは言えないようですね。それと、守備隊の連隊長からも報告が入っていて家宅捜査は終わり不味い事に2つの商会が盗賊ギルドの隠れ蓑になっていました。殆ど従業員が盗賊の連絡員や密偵である事が判明したと報告が入って来てます。現在、守備隊や警備隊での盗賊ギルドとの繋がりを持つ者の内部調査と盗賊達の拠点の洗いだしを平行して行い冒険者ギルドと商業ギルドにも内部調査を求めていると報告がありました」
「解った。ボルドとシルビアにミーナ、ハルカとクリスに守備隊を付けてその2つの商会を徹底的に内情を調べる様に言ってくれそれと下級官僚で良いから一人づつ付けてシルビアとハルカの指示に従う様に伝達して欲しい。シルビアとハルカに商会について全権限を委任する」
「承知しました。申し遅れましたがこちら控えているのが秘書官のモールです。モール、セイ様のご指示書き留めましたね。セイ様は数多くの案件を抱えてセイ様でしか出来ないことをされています。現状外壁や此処の事でセイ様は手一杯です。指示は一言一句間違えないようメモして下さい」「はい」
「此処が間に合わ無いようなら外壁内で捕虜達は過ごして貰う様にしてくれスラムの建物を設置するのに邪魔だからな。今から外壁に取り掛かる」
セイ防壁を出て外壁に向かい高さ7m幅15mの木製の観音開きの門を2重に設置して内側から丸太で閉じれる様に4つの門を設置して4箇所の門の横に詰所を作り、外壁の外側に幅15m深さ20mの掘りを門の付近を残して一気に作りあげ門の付近に残した部分をドーム状に繰り抜き橋した橋には欄干を設置して昼過ぎに外壁の外側の作業を終了して防壁から外壁に続く道を作り、収容施設に戻りスラムに有った建物を修復しながら設置していった。切りが良いところで作業を中断して一度、館に戻り、ブラームと話した。
「一応、外壁に関する基本的な工事は終えたが外壁を運用するのは守備隊だし今後の事も有るから排水や道の整備、堀に水入れるのかどうか?予算はどれくらい要るのか算出してくれ。ワタヌキ商会の金融部門からも融資出来るから」
「いえ、セイ様には申し訳ないのですが盗賊の拠点となった商会に関しては代表者の名義の書き換えだけですので税金は発生しませんが、今回捕縛した者達の個人資産全てに税金がかかります。恐らくその税金で臨時予算を組めば2万の捕虜やスラムの住民の食料、医療費、兵士達の報奨の全てが賄ってしまえると思われます」
「領主はただの役職だから公私は別けるのが当然だけど。スラムの件や商業ギルドの件は公務じゃ無いのか?」
「公務とも言えるのですが、セイ様が一人で片付けてしまいましたからどちらとも言えます。此方でも同行した者達は捕縛を手伝っただけとの報告を受けておりますし今回の件では褒賞金を出すので問題はありません。どうしても公務と言われるのであれば今回の褒賞と外壁の工事やスラムの解体、捕虜の収容施設の建設等安く見積もってもそれらの個人資産を遥かに上回りますし領主の仕事の範疇を越えています。特に外壁はアロンの街の物となりますから本来ならセイ様から買い取る形になってしまいます。前列が無い事なので今回の工事でかかる費用の概算を出しているところですが個人資産は外壁工事、スラム街の解体工事、捕虜収容施設の建設そして今回の捕縛の褒賞に於ける報酬の一部とお考えください」
「好きにしたら良いさ。一応、その資産は俺の個人資産とは別にして現金は貧困に喘ぐ子供達の救済に使う基金に充てる事にするよ」
「其でしたら商業ギルドに口座を作り商会や貴族達から寄付を募れば宜しいのでは無いでしょうか?」
「それはもう少し後だなぁ構想だけで組織も仕組みも出来上がっていないし管理する人間もいないから金だけ集めても仕方ないからな。口座だけ先に作る事にするよ。後、アロンの街として孤児達の対策はどうなっているんだ?」
「教会が受け持っています。街の予算からも援助はしていましたが度重なる国の増税で孤児まで手が届かないのが現状でした」
「此処でも雇用が出来そうだな。教会にいる孤児達は教会に任せるとしてスラム以外にいる孤児達も保護して各居住区を区分けして、区分けした所で代表者を決めて、住民台帳を作ってアロンの人口を把握しなきゃな。取り敢えずは数字の普及だ」
「住民台帳ですか?何故そんな事をするのですか?」
「街としては基本的な事だ住民の管理と言う意味もあるが様々なデータが取れるし街人口や税金の予想も立てやすい官僚達も予算編成がやり易くなるし治安維持にも役立つ。あと、税制も変え、非効率な部分は変えて行くが取り敢えず、この件は馬や捕虜の件が片付いた後だなぁ。いずれやるからそのつもりでいてくれ。じゃ商業ギルドと冒険者ギルドに行ってくる」
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「ブラーム様私、セイ様の思考に着いていけません」
「私もです。モール君外壁一つとってもセイ様なら簡単に一人で完全な形で造ってしまうでしょうね収容施設の様にセイ様はスラムの住民や街全体の事も考えて行動されています。私達はいつもセイ様に試されいるのです。今はセイ様に着いて行き勉強する時期なのです「はあ」雇用の問題、スラムの住民の問題、捕虜の問題、食料の問題、馬の問題この一つでもセイ様がいなければ解決出来ず延々と悩んで行動にさえ移せずにいたでしょうね。セイ様が領主になりアロンは劇的変わるでしょう。セイ様は官僚に無能はいらないと仰いました。着いていかねば未来はありません努力するのみです」
「はい♪」




