207 フロント冒険者ギルドにて
「あっ、ちょっとセイ君待って。ギルマスがセイ君に話しがあるって少し待ってて直ぐギルマスを呼んで来るから」
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「悪いなセイ引き留めちまって。エリナも同席してくれ「はい」話しと言うのは本部からの要請の件だ。少々拗れているらしい現場を知らない職員上がりの幹部が怒っているらしい」
「ふーん、そうなんだ。僕はAランクになるなら全て依頼を選択させろと言っているだけなんですがね書簡には少々煽って遣りましたがたかだか互助組合組織の事務方のトップが怒る事ですか?」
「お前に取ってはそうなんだろうが冒険者ギルドをたかだか組合組織と言うのはお前ぐらいだぞ」
「僕の翻訳機能では冒険者互助組合となっていますから間違いではないはずですよ。確かに冒険者ギルドはこの世界に必要なものだと思っています。帝都を見てそう思いました。冒険者が減って帝都の周辺の森に魔物が増えて薬草採取も儘ならない状態でしたから冒険者は自由な筈ですその冒険者を守る為の互助会が冒険者ギルドでしょ国家の枠組みに囚われ無い冒険者を管理する側面もあるのは認めますが市民権を持たない以上国家の保護は受ける事が出来ないが自己責任で街や国を移動する事が出来るのは冒険者ギルドがあるからだと思うけど俺に必要ですか?」
「どちらかと言えばフロントや帝都の冒険者ギルドではお前を必要としているし功績も大きい帝都での事もオーレから聞いている。実際に実力もAランク以上だと思っているからAランクになって欲しいんだがAランクになれば貴族待遇だしな城壁の門も貴族専用門が使えるし」
「全て俺に取ってメリットはありませんよ緊急を要するなら俺達に城壁も結界も無意味ですし、貴族待遇ですか?既に防壁の門以外は直ぐに通してくれますよ王都や帝都ではねそれ以外貴族待遇は要りませんから」
「だろうなぁ。その事は本部の統括理事に伝えて書簡を送って理事会にかけられたんだがお前の希望を叶える方向で進んでいたが遅れてやって来た統括副理事長が強硬に反対してな特例は悪しき前列を作る。とか言い出してな。まあ此処までは正論だがお前の書簡を見て怒ってこれは冒険者ギルドへの脅迫であり断固こう言うやからは潰すべきだと言い出してお前の事を録に知らずに無責任な事を言ってなぁ。俺達も頭が痛いんだ」
「潰すって除名処分って事ですか?」
「いやそうでも無いらしいと言うかAランク昇格を断ったぐらいで除名処分に出来る訳無いだろ。それにお前の事を隠れて調べてそれに釘を刺された事を公の理由にできんしなだから裏に回って仕事を廻すなと言ったそうだそれで干上がり泣き付くと思ったんだろうなぁ」
「今の僕に取って冒険者ギルドの依頼は趣味?ちょっと違うな次いでが正しいかな帝都では正式な依頼は受けていませんしどちらかと言うと依頼を出す方にお金を使ってますよ王都なんかはそうでした治安維持にお金を使いました。ああ、そうか!クリスの名前とクリスの冒険者ギルドカードを提示して治安維持を依頼したからあの時俺の存在が王都に居ると確認出来たんだ」
「まあ、種明かしすればそう言う事だ王都の冒険者ギルドでは闇ギルドが壊滅して犯罪が減ったと喜んでいたぞそれと賞金を受け取っていないだろだから王都の冒険者ギルドでは治安維持の依頼主を調べたら依頼主の名前とお前が金を出した事が判ったんだ。奴隷に払える額じゃないし主人が金を払ったと考えるのが普通だろ。まだ王都の冒険者ギルドでは賞金を保管しているそうだそれと帝都でもオーレが気を利かしてオーク討伐をクエストにしているぞ実績的にもソロでオーク300頭の討伐はDランクじゃ無理な話しなんだその上アルファ達が周辺の森の魔物を一掃したんだろお陰で内乱が終わって薬草採取が出来る様になったと喜んでいたぞ」
「帝都では肉の買い占めがあって手っ取り早く供給しようとしたのと反乱軍の補給を断つ為にやったら結果的にそう成っただけですよ帝都の冒険者の実情なんか知りませんでしたから」
「ただ、おかしな点が一つあった。お前が冒険者を辞めると言っていてフロントでは説得していると話題に登ったがその場では何も言わなかったようだがフロントに潰せと言った本人からお前を絶対に辞めさせない様にと書簡が届いた」
「変ですよね秩序を乱す者を排除したいなら本人が辞めると言っているのなら普通は何も言わないものですがそれと書簡の内容も変なんです。盗賊討伐の実績が有るなら直ぐにCランク以上にしろと書いて有りました」
「それって指名依頼を受けさせたいからじゃないですか?」
「多分そうだと思う。しかし、いくら帝都と王国を行き来していてもお前はかなり忙しい身の上だこれは上層部も知らない事だがお前アロンの領主になったそうだな。アロンの冒険者ギルドの副ギルマスと親しくてお前の事を聞いて来た。ギルマスが夕食に招待されたとそれも主要な官僚達や各ギルドのマスターとサブマスの同席で明日パーティーを行うそうだなそんなお前に指名依頼させたい依頼とはなんだ?」
「えっ、アロンの領主って?」
「アロンの事はその内わかりますよ指名依頼の件は想像が付きますが現状無視して下さい。フロントの屋敷や王都の屋敷と帝都の屋敷に連絡をくれれば僕が何処に居ても連絡はつく様にしていますが現場で止めてくれるとありがたいです。アロンの冒険者ギルドのサブマスターは有能な方のようですね。これからのアロンで行われる事を話すだけですよ「何を話すんだ?」たいした話しではありませんよ。
これから4日後に王国の下士官以上の捕虜2万人がアロンに到着する事、慣例に従い身代金が払われ支払われ無い者達は奴隷として売却される為大きな奴隷市が立つと予想される事。
戦利品の馬も売却の対象ですが約1万頭います。馬達は返還せずに馬の値段を防ぐ為にオークションにかけます奴隷市と馬のオークションほぼ同時期に開催されるとしたら予想される問題点開催するとしたらいつ頃が良いか等意見を聞きたいのとその前に王国と帝国の停戦条約の締結の為の事前交渉や調印がアロンで行われるんですよね。その受け入れ体制はどうするのか問題提議します。一種の試験です。捕虜の受け入れの為にスラム街の住民を全て強制的に立ち退かせる様に命令しました。明日の昼までに結果は出ている筈です。暴動が起きているかスムーズに移動出来ているか楽しみです。多分それもあっての問い合わせだと思いますよ」
「お前そこまで普通やるか?スラム街を全て潰すって」
「法的には皇帝の土地の不法占拠で充分強制的に立ち退いて貰えますよね。治安維持の為でもあるし教育的にも良く無い以上の理由で立ち退いてもらいました。抵抗した者には容赦はするな全軍を持って当たれと命令しました。この命令で守備隊や警備隊の練度が判ります。官僚の手腕もね事前準備も無しのいきなりの命令ですからどの程度やれるか楽しみです」
「住民感情はどうするんだ?」
「そんなの知りません。住民がどう思うおうが自由ですから代官には全て言ってあります捕虜が2万人来る事も1万頭もの馬が集結する事もアロンが外交の場になる事も代官は他人事の様に丸投げする気満々でしたけどね。何故スラムが生まれたのか解りますか?」
「スラムの住民は働け無い者や住む所を追われた者達の溜まり場だ」
「個人の諸事情はあるけどそんなところでしょうね。そんな事情で人が集まり放置されて数年も立てば子供も生まれ、孤児達も集まる。スラムに犯罪が多いのは大きく2つに分けられると思います。棲みかを追われた者達が犯罪者で其処で力を持ちコミュニティを作り組織化して犯罪者集団になったケース。生活に困り餓えに耐えきれず犯罪に手を染めるケース。だったら完全にスラムを潰し犯罪者を排除して住む場所と仕事を与えれば良い。病人には治療を施し子供達には犯罪以外の生きる術を身に付けさせるそうすればスラムの規模は小さくなる筈です」
「確かにそうだがスラム以外の住民から不満が出ないか?何故スラムの住民を優遇するのかと」
「一応、使ったものは権力と僕の私財です不満が有るなら出ていけば良いんです。自分達も貧困に喘ぐ日が来るかも知れないその為の受け皿ですよ。犯罪が減り暮らし易くなるのにその事に住民達が不満を持つなら追い出すだけですよ。誰であってもね。約半年後にはアロンは帝国領独立特別自治区になります。法律の制定も自由に行えます。今のところ僕が法律ですね」
「呆れるねまるで王様だなぁ」
「かも知れないです。一時的に人口が爆発的に増えるんです。捕虜だけではなく捕虜を監督する軍もね。市が開催されれば商人も来る犯罪が増える可能性が有るのに何もしないのは問題ですからね」
「わかった。わかったアロンの副ギルマスにはそう伝えておく」
セイが退室するとエリナはすかさずギルマスに尋ねた。
「どういう事ですか?セイ君が領主って?それにアロン?帝都?移動時間が速すぎます」
「不思議に思うのは当然だ。セイの従魔ペガサスのシロに騎乗して移動しているそうだ現にフィフスに向かわせた5人此処からフィフスまで30分程で着いたそうだ。酷い目に合った見たいだがな」
「えっ!30分ですか?馬車で3日は掛かるのに」
「セイは色んな意味で特殊だ思考や能力そして従魔達もな領主の件は極秘だ誰にも話すなおそらくアロンの上層部と帝国の上層部しか知らないだろう」
「それは勿論です。しかし、どうして帝国の領主になったんですか?それも街とはいえ独立自治区なんて」
「今回の王国と帝国の戦争だけでなく内乱を俺達の知らないところで活躍したんだろう「まさか使徒!」本人は肯定も否定もしなかった。ただ使徒はもうすぐ消える使徒が起こした後始末をセイと言う人間がしているに過ぎないと言っていたな。馬鹿な奴だ望めば王国と帝国を統一して王様になれたものを使徒は君臨すべきじゃないって言っていた」
「そうですか・・・でもセイ君らしいですね。それはそうと統括副理事長の件はどうしますか?」
「無視しとけ、連絡を取ったが本人と会えないと向こうが尋ねて来たらそう伝えろ。奴の思惑に載ってセイとの関係が悪くなるのは御免だ。セイと喧嘩するのを考えるのも馬鹿らしい。セイは戦争に持って行くだろうし冒険者ギルドは犯罪者として扱いたいだろうが帝国と王国は関与しないから犯罪者に成り得ない潰されるのは冒険者ギルドだ。冒険者ギルドは治安維持には関わるがあくまで捕縛協力しか出来ないからな裁定を下すのは領主や国だセイが言っていた通り民間機関の組合でしかないんだ。セイが法を守っている以上手を出すべきで無いそれにセイの言っている事は正しい。冒険者は自由だ」
「わかりました。問い合わせが来たらそう伝えます」




