205 大使館
セイはアロンの街を出てシロに乗り山脈に沿って飛び鉄の鉱脈探した。途中数頭のワイバーンが襲って来たが瞬殺した。
『クロス聞こえるか?『はい』さっきワイバーンに襲われて倒したけどお前達の子分じゃないよな?』
『大丈夫です。子分達はご主人様を襲うなんてしませんし人を襲うなと命令してありますから恐らく余所者です』
『そうか子分達じゃなくてホッとしたよ』
『子分達も下手ですが魔法が使える様になったので狩りが上達して誰も飢えていないので人を襲うことはありませんご主人様のおかげですわ。子分達の事まで気を使ってもらいありがとうございます』
『少し用事があってお前達の棲み家の近くを飛んでいたんだ今日はそっちには行けそうも無いその内時間が出来たら遊びに行くよ。じゃまた』『『お待ちしています』』
「おっ、有った。『収納』」セイは鉄鉱石の小さな鉱脈を発見してインベントリで取り尽くし廃村付近の樹木を伐採してフロントの屋敷に戻り鉄鉱石から鉄のインゴットを作り、伐採した樹木を丸太にして乾燥させて適度な寸法の角材にしていった。『よし、材料は揃った。後は成形するだけだ』セイは農具のそれぞれ試作品を作り不具合が無いか確かめ不具合が無い事を確め並列思考を使い一夜の内に農具を全て作り上げた。
翌朝スカイⅠから連絡が届き部隊の移動が開始されたのを知り、セイは廃村に行き防壁の門と橋を作り終え王都に飛び王国宰相と会談した。
「いつも突然で済まない。一般兵士達の身代金と食費の代金を昨日帝国宰相補佐官に渡して来たこれが受領書だ。それと少し聞きたい事があってな」
「ありがとうございます。突然でも大丈夫ですよ。セイ殿はいつも重要な案件をお持ちなって来られますから。フィフスの事ですか?」
「いや、フィフスの事はもう俺の手は離れたから口は出さないよ。王家の威信を保ち諸侯が納得出来る裁定をすれば良いさ。其よりも帝国との事だ帝国との条約の締結の為の話し合いの進捗状況はどうなっているのか気になってな」
「帝国との条約締結に向かって準備はしていますがなにぶん公文書なので書簡を届けるのにも時間が掛かります。今頃、やっと届いた頃かと」
「内容には口は出さないが連絡を取り合うのに時間がかかり過ぎるな。この分だと事前協議に持ち込む迄に2ヶ月はかかりそうだなぁ」
「そうですね戦争が長きに渡り帝国とのパイプが無い上に王国と帝国との直接のやり取りが使者を国境の街に送るだけでしたからどうしても時間が掛かります」
「それじゃ提案だ。情報収集の為の独自の連絡方法は持っているんだろ?王国と帝国お互いに大使館を作って大使を置いて大使にある程度の権限を与え事前交渉の前段階の準備をしたらどうだろう」
「面白い考えだと思いますが今のところ予算が逼迫していて無理ですね」
「大使館の購入か?今回はお互いに大使館となる屋敷を交換すれば良いさ。一般の兵士達の返還の目処は立ったが下士官以上の者達約2万の捕虜はどうする?騎士達約1万を半年以上帝国の捕虜のままにしておくのか?食事費用だけでも請求される金額はかなり金額になるぞ。何も決めないままに一月過ぎれば捕虜の食費だけで単純計算で24億クローネを王国が支払う事になるんだ。一人当たり1日の食費を大銅貨2枚の計算でな王国が捕虜達の食料を運ぶのか?それでも結構無理がある。輸送の問題でな帝国は2万の捕虜をアロンに移動させる事にした。何時までも野営を強いる訳にもいかないからな貴族達は耐えられないだろうし」
「私達にお互いに直接の連絡手段が無いのがネックなのですがそういう事が実現出来たら連絡が数倍早く出来ます」
「大使館の件や捕虜の件について帝国と話し合える人物を臨時大使として帝都に送り王国も帝国から受け入れないか?俺が手を貸せば5名位なら朝、出立すればその日の内に帝都に着くがどうする?5名位なら王国も帝国も受け入れ易いと思うんだがその為の話し合いをするのなら俺が橋渡しするが」
「例の郵便ですか?」
「ああ、そうだ。書簡なら朝、王都の俺の屋敷に届けてくれたらその日の内に帝都に届ける事が出来る。人を介するのが嫌で無ければの話しだが」
「今回の件は時間がお金に替わる案件ですので帝国宰相宛てに書状を書きますのでよろしくお願いします」
「今回は俺が直接宰相補佐官に書状を渡すよ数回に渡りやり取りするなら手紙を俺の屋敷に届けてくれこの件に限り無料で配送してやるよ送り先は帝国宰相補佐官のみ限定でな。どちらも受け入れが決まったらパイプも出来るし連絡に掛ける時間短縮化が計れるだろ。ところで、馬の事だが返還交渉はしないぞ。交渉そのものが面倒だし時間を掛けて交渉する価値も見出だせ無いから一部を除き馬達を入札制のオークションに掛けるが良いか?」
「正直申し上げて全ての馬を引き取る余裕はありませんから構いません。ところで入札制とは何ですか?」
「最低落札価格を売る方が決めて買いたい者が最低落札価格より高い値段を付けて指定の用紙に馬の番号と金額、自分の氏名を書き込み所定の箱に入れて最高額を書いた者が落札するシステムだよ。入札出来るのは一度限りの一発勝負そんな感じかな」
「普通のオークションとは少し違いますね。ただ商人達が不正をしないか気になりますね。例えば入札の妨害やグループを組んで最高額を書いてキャンセルするとか」
「入札妨害は帝国軍アロン駐留部隊が警備に着くし不正防止の為に落札してキャンセルした場合は落札価格の50%を貰うし落札は最高額の次点に移るそれに売れなかった場合、個人や商会には売らない。帝国が一括して売れ残った馬を買い取り各村に下賜する事になっている。それに入札出来るのは商人だけじゃないオークション会場には銀貨1枚の入場料を支払えば誰でも入札出来る権利を得る。それだけじゃない主催者の一人は帝国皇帝になる帝国の商人や貴族達が不正などやらかしたら取り潰す理由が出来る。王国の貴族達や商人達だってそうだ横暴な振る舞いや不正をすれば外交問題になるし少なくともアロンの領地では何処の貴族であれ罪を犯せばアロンの法で等しく裁く。喩え他国から圧力がかかったとしてもそれだけは曲げない」
「少なくとも王国は圧力など掛けませんし王国に取っても商会を罰せますね。貴族は国外に出るには王家の許可が必要ですから問題を起こせば此方の方も罰する事が出来ますから楽しみです。それはそうと王家の馬、バトルホースが数頭いるはずなんですがその馬達だけ此方に便宜を計ってくれませんか?」
「構わないけど特徴は?」
「王家の馬は魔法で王家の家紋が刻まれています。右の臀部に魔力を流せば王家の家紋が浮かびます」
「わかった。その馬達はオークションには出さないで王都に連れて来るよ」
王国宰相との会談を終え書状を受け取り王都の屋敷に行きサバトに王国宰相との会談の内容を話し応接室にゲートを設置してフロントと帝都の屋敷を直接行き来出来る様にして帝都に移動して帝国宰相補佐官と会談した。
「書状を読ませて頂きました。此方としても助かりますね連絡を取り合うだけで月を跨ぎ捕虜の件ひとつ取ってもこのままでは交渉は1年は掛かる見込みでしたから捕虜の処遇も王国の合意無しに労働をさせて交渉を拗らせる訳にもいきませんから」
「馬の件は王国からは非公式だが合意を貰った。馬のオークションでは協賛として陛下の名前を借りたいがどうだろう?」
「多分、問題無いと思いますが、一応お伺いします」
「大使館の件や臨時大使の受け入れなどのやり取りが必要だと思うからその辺は手紙のやり取りで直接やってくれ人を介して良いのなら俺の帝都の屋敷に朝の内に届けてくれたらその日の内に王都に届くようにするからそれと5名迄なら俺が輸送する事も出来る帝都を朝出発すればその日の内に王都に着く王国と合意して日時を決めてその日時の数日前に屋敷に連絡をくれたら此方も準備をしておくが王国と日にちが重ならない様にだけはしてくれ」
「わかりました。お骨おりありがとうございます。セイ殿のご助力決して無駄にしません」
「他人ごとじゃないからな。それはそうとアロンで外交交渉をする事になっているからアロンでの受け入れ準備も必要だしアロンに派遣する人員が決まれば王国の人員も含めて詳細をブラームに伝えてくれ。馬達と捕虜達の収用する場所の確保や食料の問題があるし、何も決まらないまま無駄に時間が過ぎれば食費が嵩むだけだし王国も帝国どちらも財政的にも物資の面でも余裕があるわけじゃないからな皺寄せは民に行く捕虜達の拘束が長期に渡るのなら捕虜達の食料は自分達で作って貰う事になるしその辺当たりも交渉して欲しい」
こうして王国と帝国はお互いに臨時大使を送り大使館の設置に向かって動き出した。
余談になるがセイとの会談後、1週間で王国と帝国はお互い臨時大使を送りその1週間後に双方の大使館が設置され王国と帝国の直接のパイプが繋がり、捕虜に関しての処遇や条約締結に向けての事前交渉の日時や派遣する人員等の諸問題を大使との面談と書簡によって迅速に処理される事が出来た。




