196 フィフス占領の影響3
「ギルバート様、セイ様がお見えになりましたが如何致しますか?」
「ちょうど良い通せ」「承知いたしました」
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「あれ来客でしたかお邪魔じゃありませんか?ロルフさんから連絡を貰ったので来たんですが」
「構わん、構わん。此方はサージェ侯爵閣下じゃ。フィフスとの件で王家の裁定を下しに来られたんじゃ」
「初めましてセイと申します。そしてこちらがハルカです。フロントと帝都で商いをさせてもらっている商人でございます。お見知りおき下さい」
「君がセイですか先程迄話題になっていました。私はヘンリエッタ・フォン・サージェよろしく」
「どんな話題で僕が出てきたのか気になるところですがギルバート様、僕を呼んだのは要件は?」
「王家の裁定で息子がフロントの領主から解任されて儂が復帰することになってのぉ」
「王国宰相閣下も面白い裁定を下しましたね。僕の思惑とは少し違いますが悪く無いですね。王都の情報網侮れませんね「えっ、思惑?」これは失礼しました。たいした思惑ではありませんよ。今回のフィフスの件は領主が諸侯から嘗められたからこのような事が起こったのですから諸侯を少し驚嘆させれば良いかと思いまして領主が指揮を取った事にすれば諸侯も少しは領主を認め大人しくなるかと領主が帰還して何をしていたのでしょうね?ギルバート様には悪いですがフロントの現状も把握できてないとは未熟としか言い様がないですね。王国宰相閣下もさすがですね。多少は情報操作してリークしましたが対応が早い僕の予想では明後日にギルバート様に裁定が下ると思ってました。宣戦布告と同時期に動かれましたかそれなら得心がいく。それでフィフスはどうなりますか?」
「相変わらず息子に対しては辛辣じゃな。フィフスは辺境伯領に編入される事になった。フィフス周辺の村も自由にしろとの裁定が下った」
「ではこの件で最後の進言をします。周辺の村に通達して下さい。ギルバート辺境伯を選ぶか独自の道を選ぶか他領に組み込まれるかを選べと。近接している村は武力行使も防衛上やむを得ないと思いますが他領と隣接しているそれほど重要で無い村は選んでもらいましょう。此方も多方面で戦線を維持出来る程戦力が充実していませんからね。「ウム、そうじゃな」それと僕達はこれ以上手は出しません。手柄を全て奪う事になりかねませんから。フィフスの件は特殊です。騎士や兵士は手柄を立てて褒賞を貰うのが本分ですからその機会を奪うのは好ましくありません。それと、至急フィフスの税率を下げて下さい。税が重すぎて経済活動が破綻しています。司令官に商業ギルドを通して嘆願書が山のように届いているのは知っているでしょ。せめてフロント並みにして欲しいと言うのは僕の希望ですね。税率を一刻も早く下げてその事を各村に喧伝したら恐らくそう混乱も無く辺境伯領に組み込まれると思いますよ。一部の貴族達が反旗を翻す可能性は有りますがその時は武力を持って鎮圧すれば良い訳で各個撃破をお勧めします。反旗を翻しても下級貴族の兵士達はほとんどが農民でしょうから懐柔策が有効だと思います。重要なのは軍を集結させ無い事と此方が如何に民にとって良い領主であるか民にアピールする事さすれば籠城されても直ぐに瓦解すると思います。後はロルフさんの仕事になりますがギルバート辺境伯の良い噂を流すと同時に情報収集をして反乱の芽を如何に早く摘むかが重要ですね。なんか補足するところあるかな?ハルカ」
「そうだねぇ。短期間で鎮圧出来れば必要無いけど立て籠られた場合は民を煽動して武器を支給して門を開ける。前提条件は統治者がギルバート様より酷い統治を行って民が不満を持っているのが最低限の必要条件。傭兵は負けると判断したら逃げると思うから適当に処理。後はポーションをなるべく多く兵士に配る事と後方に治療出来る者達を配備して戦死者をなるべく減らす事と出来る事なら敵は殺さず怪我で済ます事。それぐらいかな?今、思い付くのは最後に兵士達の略奪行為と捕虜と一般人への横暴な行為や虐待、暴行は絶対にさせない事」
「何故そこ迄する必要があるんじゃ?略奪など普通に行われておるじゃろそれと治療を出来る者達を配備する等聞いた事が無いその上敵を殺さず怪我ですませる等前代未聞じゃ」
「あのねギルバート様、村を焼き払い焦土にしたいなら村を取り囲んで火矢を射掛けるか魔法使いを使って焼き払えば良いけどその後はどうするの?一から村を作るのかな?自領にして統治する為に軍を派遣するんじゃないの?だったら無傷で手に入れるのが1番でしょ。略奪行為は兵士には短期的にはメリットあるけど領主にとってデメリットが多い上にメリットが無いよ兵士達だってその時は良いけど村民に反感持たれて夜襲でもかけられたら大変でしょ。土地勘もないし村民の協力も得にくい。それだけじゃない今後統治する上で障害になるし村の財政まで圧迫する。下手をしたら怨みから敵を引き入れる可能性すらある。村の財産なんてそう多くないと思うから略奪するメリットも余り無い。其の分兵士達には報いてあげれば良い取れる所から取ってある程度は兵士達に分配するの。
これはセイ君と私の故郷であった事だけど帝国のような大きな国が有ってね其の国がとある事情で小さな国と戦争になったの大国は武器も兵隊の質も強大で世界一の軍事大国なの小さな国は武器も貧弱だけど兵士の質は高かったすぐに戦争は大国の勝利で終わるとみんな思っていたけど。戦争は数年続き泥沼化していき大国の兵士達は疲れはてとうとう小さな国は大国を追い出したんだ。其の大国が負けた最大のミスが統治をしくじった事現地の人達と上手くいかなかったせいで女子供まで大国の敵になったの其のせいで大国の兵士達はいつ襲われるか解らない恐怖と戦う羽目になったの夜は眠れず気が変になった兵士達が続出した。大国は兵員を次から次へ送り込んだけど補給を断たれたり劣悪な環境も影響して多くの兵士達を失って敗退していった。
大国に取って小さな国は他国だし統治する気は無く友好国と言う名の属国にするつもりだったから酷い事沢山したんだ。森を焼き払い、草木を枯らす枯れ葉剤という薬を広域散布したの其の薬は人体にも有害で小さな国の人達だけでなく大国の兵士達にも後の世にまで影響を及ぼした。村も誰が敵か解らないしいつ敵に回るか解らないから焼き払い場合によっては村人全員を殺したと聞いたわ。
人心を掴まないと統治は上手くいかないのだから兵士達に略奪や暴行や横暴を許したらダメ!それでは強盗や盗賊と変わらないから略奪や暴行を許した辺境伯は盗賊や強盗の首魁になってしまう。単に滅ぼすだけなら好きにすれば良いけどね」
「後の説明は俺がするよハルカもエグイな。まず治療部隊とポーションの事からこれは戦死者を減らす為に他ならない俺も帝国の内乱で野戦病院を開設してつくづく思い知ったよ後数分傷の手当てが早かったらもっと命を救えたんじゃないかと。自分の無力を嘆いたよ。戦争で死者が出ないなんて本当は有り得ない殺し合う以上死者が出るのは仕方が無い事だけど仕方が無いじゃ駄目なんだ少しでも戦死者を減らす努力をしなけれならないしそれが統治者の義務だと思う。後は兵士達の安心感かな。治療をしてもらえる。其の部隊を置くことで領主に大切にされている事を実感するはず
次になるべく殺さずに怪我程度でと言うのは非常に優しいのでは無く非常にエグイ、酷い戦略です戦争中軍隊にとって一番厄介なのは怪我人です。敵なら放置しておいても問題が無いけど味方の兵士が怪我をしたら放置せず陣営に戻すのが基本ですよね。放置したら自分も怪我をしたら放置されて最悪死ぬのではと疑心暗鬼になり全軍の指揮にかかわってきます。怪我人は十全に能力を発揮出来ない上に食料やポーションも消費するし進軍スピードも落ちる怪我人が増える程に軍隊の負担が増大するんです。ポーションや医療部隊が必要な意味もそこに有ります。因みに戦死者を増やしても戦力は落ちますが軍隊の負担は負傷者が増える程には増大はしません。それと今後の統治を考えてみても労働力は必要です。理想は手足の骨折ですね」
「良く解った本当にセイ達が味方で良かったゾイ。しかし医療部隊は難しいな」
「今後の課題で良いんですよ部隊の創設は今回は教会と冒険者ギルドに協力を仰ぎましょう。後方に配置する敵への攻撃は指示しない守備する部隊を配置する。運び込まれた者は敵味方の区別なく治療する。これを教会や冒険者ギルドに提示して報酬を高めに出せば大丈夫だと思うよ」
「貴方達はいったい何者なの?其の歳で有り得ない、有り得ないわ其の思考!聞いた事が無い事ばかり答えなさい貴方達は何者?」




