121 支店
翌朝、セイは早朝からミリアを伴い旅立った。
支店はセコンド言う街にあり、フロントから馬車で3日の距離にあり、
交通の要所でもあった。セイ達は3日の距離を1日半で踏破した。途中、
盗賊にも出会わず、魔物も弱く従魔達に蹴散らされて、進行速度が落ち
なかったため、予定よりも早くセコンドの街に到着した。
セコンドの街はフロントと同等の規模で、交通の要所らしく荷馬車の
往来がフロントよりも多く街は賑わっていた。
セイは商業ギルドに赴き支店の場所と従魔達と泊まれる宿を聞き、
宿に赴きセミスイートを取って2日分の料金を支払い、その日は宿で休養を
取って、支店は翌日行く事にした。
翌朝、目を覚ますと朝の自主トレを宿の庭で行い、朝食を取って支店に行った
支店は本店よりも大きく働く者達を鑑定して見たが、不審な者は居なかった。
支店に入り、商業ギルドのカードを見せて、この商会の主人である事を告げ
支配人室に案内させて支配人室のドアをノックもせずいきなり開けた
「入るよ」「なんですか。ノックもせず、乱暴な!何者です?」
「自分の商会の部屋に入るのにノックが必要かな?初めまして、この商会の
主人となったセイと言う。よろしく「えっ!」ヤボッタ商会改めワタヌキ
商会になった事は聞いているか?」「何も聞いていません」
「商業ギルドから連絡が行っているはずなんだが、まあ、良い。これが証拠だ」
法人カードと書類を見せた。
「これは!確かに商業ギルドの正式な書類です」
「わかったところで、俺達は何時まで立っていれば良いのかな?」
「これは失礼しました。本来でしたらこの椅子にお座り願うのですが、
お連れ様がいらっしゃいますからどうぞそちらにお座り下さい」
支配人はセイにソファーに座るように勧め、秘書にお茶を用意するよう
命じ、セイの近くまで行き起立した。
「申し遅れました私が此処の支店を任されているホフマンと申します。
以後、お見知り置きください」
「初めまして、セイです。よろしく。今日、来たのは就任の挨拶と視察です。
支店の方は少なくとも従業員はまともなようで安心しました」
「まとも?とはどういう意味ですか?」
「長い話しになるので座って聞いて下さい」「では」
セイはフロントにある本店が盗賊達の隠れ蓑で情報収集や奪った物資を
売り捌くために利用されていた事、そしてほとんどの従業員が盗賊であった
事などを語った。
「そんな馬鹿な!」「本当の事です」
「では本店は今どうなっているのですか?」
「急遽、奴隷を10名買って、教育中ですね。商会を稼働させるには、早くて
一月、場合によってはもっと遅くなる可能性があります。
でも、此処が普通の人達が運営している支店で良かった。場合に因っては
支店を潰す積もりでしたらから」それを聞いて青ざめる支配人
「本店にある物資はどうなっていますか?まさか押収されて・・」
「この商会を潰す訳にはいかないようで、フロントの商業ギルドのマスターの
尽力で、商会の物資はそのまま倉庫に保管されています。それとは別に
小麦や調味料ならあてがありますから物資の面は心配いりませんよ。
一応、視察で来たので帳簿と金蔵を見せて下さい。その後で今後の事を話し
合いましょう」「わかりました」
支配人から帳簿を受け取り丁寧に調べおかしな点は見付からなかったが
帳簿は数字では無く文字で書かれていたので閉口した。
地下の金蔵に案内されて本店と同じく整理されてはいなかった。その後
支店全体を案内され、全ての者を鑑定したが犯罪の称号を持つ者はおらず、
健全?な商会の姿だった。
昼食は支店の近くにある、食堂の個室に案内され、支店の業務や本店との
関わりなどの話しを聞いた。支店は地球で言うところの総合商社兼卸売り
業者で小麦や塩と塩漬け肉や調味料は本店から買い付け、行商人達に売って
利益の半分を月に一度、カードに振り込む仕組みだった。
たまたま、買い付け直後だった為、商会の主人が代わっても支店には影響が
なかった事と商会のカードは振り込みがほとんどで基本的には現金で
取り引きしていた事も幸いした。本店の従業員達は買い付けが専門で
行商は行っておらず、支店から派遣していた。
「だいたいわかった。今後の事だけど、本店の物資はしばらくは持つけど
買い付け要員の強化とこの商会で行っている行商ルートの見直しと商会の
名前が変わった事を通知することが求められるね」
セイ達は支店に戻り、フロントの方が近い村を担当する行商人は拠点を
フロントの本店に移して活動する事になった。
家族や現在の住居の事もあり、一月を目処に行われる運びとなった。
また、商会の名前が変わった通知だが、本店で作った封書で十分だった。
支店の事務員に宛て先を書いてもらいフロント近郊のものとセコンド
近郊のものに分けて、配達する事にした。最後にホフマンを本店の
支配として数名の者を本店に移動してもらい抜けた人員を募集する事に
なった。セコンドはフロントよりも商業活動が活発で人も集まり易く
一月もあれば人員の確保と引き継ぎも終わるだろうとホフマンは話した
「俺は基本冒険者だから商会の実務は任せるよ。明日は金蔵に入って
金蔵の整理をするからよろしく。それと本店に来る者は全員、数字を
覚えてもらう。帳簿に書かれている数は全て文字で書かれているから
見辛いし判りにくい。本店では今、数字を採用しようとしている
10個の文字の組み合わせだから直ぐ覚えるしクローネ換算も楽になるよ」
「はあ?頑張って覚えます。それより今夜はどうされますか?ご希望される
のであれば、ご案内しますが・・・」
「気遣い無用です。宿は取ってあるので夕食はそこで取るよ。酒は弱いから
基本飲まないし、女性はこの通り間に合っているからw」
「では明日、お待ちしております」
宿に戻りセイ達は夕食を取り部屋に入って鍵を掛けて従魔達に直ぐに
戻ると言って屋敷の自室に転移してシルクの妹の容態を確認して
空いてる客間に入り宿の部屋に戻り従魔達と戯れたあと日課を行い
眠りについた。一方ミリアはセイの部屋に忍び込もうしたが、解錠
出来ず、シータに因って眠らされてしまった。
そうとは知らないセイは朝、ドアを開けるとミリアが壁にもたれて眠って
いたので驚いたがミリアを抱えてベッドで寝かせて宿の庭で自主トレを
開始した。その時アルファがミリアの眠りを解除した。
自主トレを終えた頃、ミリアも目覚め、一緒に食事を取り、支店に行き
金蔵に入った。ミリアとホフマンを金蔵から出して扉を閉めて、金蔵に
あった全ての物を収納して掃除をして一応、硬化掛けて各、貨幣ごと
千枚単位で箱に詰め、それぞれ別々に積み、端数の物は数を紙に記入して
箱に入れ、再び収納した。扉を開けると二人の驚いた顔があった。
「俺の特技です気にしないで下さい」箱の事を支配人に説明している最中に
「あら!こんなところにブレスレットが2つ落ちてます」
「ああ、それですか、以前、飢饉の時に貴族様がお金の代わりにとおっしゃい
まして小麦と交換した時の物です。派手な装飾もなく鈍い銀色のブレスレット
とチェーンタイプのブレスレットだったと記憶しています。換金する必要も
ありませんでしたのでここに入れたのです。たいした事の無い物でしょうから
お気に召したのならお持ち帰り下さい」「良いんですか?」「はい、どうぞ」
「ちょっと待って。ミリアそのブレスレット貸してくれ」「はい」
ミリアはしぶしぶセイにブレスレットを渡した。ブレスレットを受け取った
セイは手首に嵌めてみた。手首を眺めチェーンタイプのブレスレットを
ミリアに渡して、「ミリアにはこっちの方が似合うな。ありがとうホフマン」
「いえいえ、ささやかですが会頭就任のお祝いとさせて下さい」「ありがとう♪」
「因みに、その貴族は?」「残念ながら家はとり潰しになり、ありません」
その後事務所に行き事務所の奥に金庫作りそこに端数の入った箱を入れて
小さな箱を5つ作って取り出しこの箱は200枚入る事を説明して今、事務所に
ある、お金を小さな箱に入れて枚数を数えさせた。200枚を越える貨幣は
なかったのでその箱事に枚数を書かせて取り出し枚数と入れた枚数を必ず書く
ように指示し、閉店後、書かれた数と箱のお金の枚数を確認するように指示
した。その後、厨房の近くの地下に氷室と食糧庫そしてパン焼き窯を作り
小屋を建てた氷室に入り桶に氷柱を作り出してパレットを置いて野菜の入った
箱とエールを置き食糧庫には小麦と塩漬け肉を置いた。厨房で料理を担当する
者を呼び、氷室とパン焼き窯を説明して支配人に本店にあった収納袋を2つ
渡して庭で中身を取り出し空になった袋の一つを従業員の食糧運搬に使うよう
支配人に渡した。支配人は口開けたまま声がでずただ、大きく首を縦に振る
だけだった。
「これは、さっきのブレスレットのお礼です。庭の食糧や武器は盗賊だった
従業員が持っていた物です。在庫の補充にして下さい。」




