118 千客万来
「お願いです。その薬で妹を助けて下さいませ」「どういう事ですか?」
「私には妹がいます。2週間前に盗賊に襲われ怪我を負いました。
しかも、腕と足が・・・それに熱が出て、昨日から意識が・・・」
「取り敢えず、妹さんに会わせて下さい。話しはそれからです」
「わかりました。どうぞ此方です」
セイはシルクに案内されて部屋に入って思わず顔をしかめた。
「これは、酷い」そこには片手と片足が無い女性が横たわっていた。
傷口は紫色に変色して部屋中にツンと鼻に付く匂いが充満していた。
「お願いです。妹を助けて下さいませ。その薬さえあれば・・・
お金は幾らでも支払いますから・・お願いです。お願いです」
「シルクさん、この薬を使っても恐らく妹さんを助ける事は出来ません」
「そんな・・嘘ですよね、嘘だと言って下さい」
「気持ちはわかりますが、本当の事です」「嫌~!」シルクは泣き崩れた
「気を確かに持って下さい。この薬は、肉体を再生させるだけなんですよ。
このまま、肉体を再生させても妹さんは助かりませんが、
助ける方法ならあります。「えっ」衰弱が激しいから、絶対に助かるとは
言えません。このままでは、妹さんは確実に助かりません。僕の知っている
方法を試してみますか?どうします?」
「少しでも妹が助かる可能性が有るのならお願いします」
セイはマーロンを預かってもらいミリアに先に帰りテントを張り
ハルカに煮沸消毒の用意とドランクに造らせた道具を用意するように指示し
タンカを作り、馬車にハンモックを取り付けて、妹さんを運ばせた。
屋敷に戻るとテントが設置されハルカが待機していた。セイはベッドを
取り出し、薬師ギルドでスタミナポーションを5本と増血剤を買って来る
ように指示して妹さんをベッドに移した。
「ハルカ、これからどうするか解るか?」「壊疽した部分を取り除くんだね」
「そう、衰弱が激しいから今日は再生させない。体力の回復を待って再生する」
アルファに浄化をシータには睡眠と麻痺を頼み雪には見学させ、アルファに
解説するように頼んだ。壊疽した部分を取り除いてはポーションをかけて
止血し傷口を浄化した。一連の作業を繰り返し最後に回復と治癒を施し
終了とした。
「シルクさん、一応、これで熱が引けば命は助かります。予断は許されませんが
体力が持たないので再生はしてません。たぶん今夜、一晩持てば明後日には
体力も回復して、状態を見て再生させます。今日は屋敷の客間にお泊まり
下さい。妹さんの意識が戻ったらこのポーションを飲ませて下さい。
ハルカは患者の血色を診て造血剤が必要と判断したら渡すように。目録と
平行してやってくれ「うん」ボルド、商会の方は串焼きとパンを人数分の倍を
買って届けて、リンとザイには事情を説明して商会で泊まるようにと伝えてくれ
あと、スープが欲しいなら協力して作れとそれから、馬達を厩舎に入れて
飼い葉を与えてくれ伝言はそれだけだ。」「へい」
シルクの妹さんを客間に運び容態を確認して
「今は安定しているようです。布と氷と水を持って来させますので、布を冷やして
妹さんの頭に当てて下さい。容態が急変したら呼んで下さい。
すぐに駆け付けますから」と告げ部屋を出た。クリスに桶と布を用意させ
桶に氷と水を出して持って行かせた。
セイは執務室に行きアルフとマリーナを呼んで明日からの事、年俸等様々な
ことを話し合い。年俸と当座のお金を渡して契約を結んだ。
一方、シルクは使用人2人を呼び寄せ店の事を指示をして看護に当たった。
ハルカとセイはそれぞれの事をしながらシルクの妹さんの容態を確認した
目録作りは賑やかだった商会の娘達は数を数えながらアミカに報告
それをアミカが記録するという方法を選んだようだ。エリナは鑑定をしながら
クッキーを摘まんでいた。宝石がかなりあり、一つ一つ鑑定していたので、
マジックバックに収納して分類して取り出したら驚かれた。
セイは何故驚かれたのか解らなかった。マジックバックや収納袋から取り出す時、
取り出す物をイメージする。その時、宝石の種類をイメージして人括りにすれば
良いだけだった。金貨10枚と同じだったからだ。それからの作業は捗った。
全ての宝石箱を別々に開けて一番最初にマジックアイテムと普通の宝石に分け
種類別に分類するという方法を取り、分類していったが、その中に収納できない
腕輪や指輪、ピアス等が10個あった。それを別に置き、
「エリナさん、これはどうしますか?」エリナは、腕輪や指輪等をざっと鑑定して
「鑑定不明のアーティファクトですね。所有者の特定も出来ませんし、ナイカの
荷物でも無いので目録からは外れますね」「そうですか」
『正直に言うと不味い事になりそうだから言わ無いでおこう面倒はごめんだ』
「冒険者ギルドカード3枚ありますが一つはマーロンの物です。ラビとアップと
言う名前に聞き覚えありますか?」
「その2人は今回、買った奴隷です。たぶん」
「一応、預貯金調べますがどうします?」
「念のため金額だけ教えて下さい。
マーロンが資産を分割してる可能性もあるので」
「了解です。マーロンの分は目録終わりましたので目録以外は回収して下さい」
セイは目録以外の物を回収して、エリナは本日の作業の終了を告げた。
二階の客間に食事を出すように指示し、自分達も食事を取ることにした。
夕食はエリナを交え母家に居る者全員で取り、ミーナとエリナは盛り上がった
のは言うまでもない。夕食を取ったあとシルクの元に行き、容態を確認して
自室に戻り、日課をこなして眠りついた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌朝、目を覚まし、部屋を出るとアルフがいた。
「おはようアルフ、早いね」「おはようございます。セイ様」
「俺はだいたいこの時間に起きるけど、俺に合わせる必要はないからね。
今日の予定はシルクさんの妹さん次第かなぁ。午前中に商会に行くそのあと
『銀の小鹿亭』に寄って屋敷に戻るよ。それからミーシャにパン種を暫くの間
30個程多目に作って欲しいと言っておいてくれ。俺からは別に無いけど
アルフは無理せずマリーナと屋敷全体を見て回って構造と皆動きを把握して
くれれば良いかなぁ。あと、自宅から必要な物が有ったら取りに行って収納袋を
渡しておく。これはアルフと俺とマリーナ、シルビア、クリス、ジュディで設定
してある。他の者は持ってるから」「承知しました」
「じゃあ、朝練してくるよ」そう告げて、ランニングと素振りから一連の動作に
移行しての形の練習を一心不乱に行った。「今日はどうしますか?旦那」
「ボルドか今日も訓練は見送るよ。シルクさんの妹さんの事もあるし、商会に
行かないとな。極力、昼迄に終わらせて、『銀の小鹿亭』に行きたい。
リンとザイも此方に戻さないといけないし、その時にラビとアップを同行させる
から訓練をしてくれ。体調が万全で無いと思うから程々にな。それと今日は
ミーナも同行させたい。10人分の衣服と靴の調達しなきゃならん。制服作って
欲しいが、オーダーメイドじゃ割に合わない」
「でしたら、下町で依頼すればどうですか?生地は持ち込みなら安く済むかと」
「知り合い、いるのか?」「ボンド爺さんの娘が内職でしてまさぁ」




