108 アーニャの失敗2
「ギルバート様この依頼はなんですか?報酬と期日、無茶苦茶ですね
アーニャにも話したのですがこの報酬なら冒険者ギルドに売りますよ
買い取り価格が6倍も違うですから」
「なに!6倍じゃと!ちょっと依頼書見せてくれんか「はい、これを」どれ、
アーニャ!直ぐにビッグベアの肝臓と胆嚢の買い取り価格を調べるんじゃ!
確かにこれでは嬢ちゃんに無茶苦茶と言われても仕方ないのぉ」
「この依頼では誰も達成出来ませんし、誰も受けません。報酬は金貨30枚以上
期日は40日優秀な時間遅延のマジックバッグ所有者、Bランク以上の実力が
ある者この条件でしか依頼は受理出来ません」
「すまんかった。実は肝臓の注文主は儂なんじゃ。アーニャにはセイが来たら
ビッグベアの肝が手に入らんか?聞いてくれと言っただけなんじゃが
アーニャは気を効かせ過ぎてのぉ少しでも安く冒険者ギルドを通さず直接
セイに話しをしたんじゃ。注文主がいる事を伏せての一昨日もここに来たとき
直接買い取ったから大丈夫だと思ったんだろうて、セイは直接取引を断り
冒険者ギルドに依頼して欲しいと手数料と税金を抜いた額の報酬で良いから
とな。じゃが、期限を聞いたとたん気が変わった依頼を断ると言ったんじゃ」
「当たり前ですよ!私でも怒ります。唯でさえ危険度の高い依頼なのに
クエストの失敗はペナルティが付きます。報酬の10倍が相場です昇格にも
影響します。なにより直接取引は自己責任ですが推奨されてません
普通はギルド間で事後処理でクエスト発注してこちらで処理するのですが
アーニャ!なにしてんの!」「どうだった買い取り価格は?」
「すいません。買い取り価格間違ってました。ごめんなさい」「馬鹿者!」
「幾らだったの?」「肝臓が金貨5枚と大銀貨5枚 胆嚢は金貨10枚でした」
「へーっ、うちより高いのか」「それより前回セイから買い取った金額は?」
「・・・・・・・・・・金貨2枚と大銀貨5枚です」「呆れるわね」
「直ぐに金貨50枚用意するんじゃ!何を呆けておる!
直ぐにセイの屋敷に行くんじゃアーニャも一緒に来るんじゃ。いいな!」
「私はこれで失礼します。またここで会えるといいわねアーニャ」「?????」
◇◆◇◆◇◆◇◆
薬師ギルドでの騒動を知らないセイ達は予備の大きなバスケット2個と
仔猫2匹が入るリュックサック2つとシロやキャロットの鞍の後ろに装着できる鞄
4つの他、市場でミルクと酒、果物などの食材を多数買い込み帰宅したところ
「お帰りなさい。ギルバート様とロルフさんと女性がお一人おみえです」
「わかった。これ収納袋だ所有者制限は無いし時間経過もある馬車3台分の荷物が
入る只の収納袋だこれを預けるからリンとザイで管理してくれ大きな荷物や
数が多い荷物が届いた時に使うと良い。ただし、食材なんかは入れたままに
しないこと、時間経過するから腐るぞ。予備の武器や防具は入れても良いが
それ以外は入れたら必ず出すようにしてくれ」
◆◇◆◇◆◇◆
「旦那、お帰りなさい。ギルバート様とアーニャさんがお待ちです」
「何かあったのかな?用件は聞いているか?」
「あっしもさっき帰ったばかりで何も聞いていません」
「どうしたんだろう?ギル爺さんだけならともかくアーニャさんまで・・」
◆◇◆◇◆◇◆
時は少し遡りまだセイ達が買い物をしている頃
「アーニャよまだ事態が呑み込めていないようじゃがお前さんの失敗でギルドは
金貨50枚の損失を出すことになる。成り行き次第じゃが、アーニャ貯蓄に
金貨50枚あるかの?なければギルドは辞めてもらい金貨50枚の負債を
負ってもらう。明らかにお前さん一人の過失による損害じゃからのぉ。それに
反省している様子も無いしの残念じゃよ・・・」
「そんな~嘘ですよね。嘘と言ってください。マスター」
「冗談でこんな事は言えん。今回のことは発端は儂にあるが何故セイに最初から
儂の事を言わなんだ?それに嬢ちゃんも言っておったじゃろ事後処理のクエスト
の事をアーニャが知らないはずは無いじゃろ。セイは知らなくて当然じゃ
冒険者になって一月も経たんからの故意かどうかは知らんが後から知ったら
セイはどう思うかの?その上買い取り価格の間違いじゃ薬師ギルドの信用に
関わる大問題じゃ!ちゃんと嬢ちゃんは解っていたぞ、別れ際、嬢ちゃんは
アーニャになんと言っていた?「あっ!」わかったか、そういう意味じゃ」
「わたし、わたし、どうすれば良いのしょうか?」泣きだすアーニャ
「やっと事の重大さを理解したか。アーニャがギルドにもたらした損失は
金貨50枚でも足りんおそらくビッグベアの肝臓と胆嚢も間違って売った
はずじゃ。それに冒険者ギルドではペナルティは報酬の10倍じゃったな
だったら金貨150枚以上になるゾイさすがに金額がでかすぎるでな····」
「うわーん、うわーん」
「着いたようじゃな。泣き止みなさい。どうなるかはセイ次第じゃ
誠心誠意、謝罪するんじゃ」
「わたくし、ギルバート様の執事を勤めるロルフと申します
ご当主様であるセイ様は御在宅でしょうか?我が主人ギルバート様が
火急の用件でセイにお会いになりたいと申しております先触れもなく
突然の訪問ご無礼、ご容赦くださいませ。願わくは御不在であれば御帰宅まで
待たせていただきたく存じ上げます」
「これはこれは、ご丁寧なご挨拶、痛み入ります。あいにく当家の主人は
不在です。もし宜しければなんのおもてなしも出来ませんが応接室で
お待ちくださいませ」
「ありがとうございます。こちらが我が主人ギルバート様です」
「はじめましてギルバートじゃ本日は薬師ギルドのマスターとしてセイに
火急の用件があり罷り越したすまんが待たせてもらうゾイ」
「はじめましてわたくしサーシャと申しますどうぞこちらへ
ジュディ、お茶とお菓子の用意を!」「はい」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「どうしました?ギル爺さん」「うわーん ごめんなさい ごめんなさい」
「一体、何事ですか?」「泣き止みなさいアーニャ話ができん」「実はのぉ」
事後処理クエストの事、買い取り価格の事などをギルバートは話した
「これは薬師ギルドからの詫びじゃ今回の数々の失態、謝罪する」
「謝罪を受け入れますと言えば良いのでしょうか?僕は怒ってませんから
アーニャさん泣かないで下さい。で、どう処理するの?ギル爺さん」
「それなんじゃが、アーニャは解雇、ギルドの損失補填、補填出来なければ
奴隷落ちじゃな」「うわーん」
「また、泣かせた。ミーナ、ミリアを食堂へ連れて行ってお菓子出してあげて」
「ちと薬が効き過ぎたかのぉ」「言ったでしょ薬は基本、毒だと」
「言われて見ればそうかもしれんの」「本当はどうしたいんですか?」
「お主次第じゃが帳簿の損失はこの金貨50枚で埋めさせてくれんか?」
「ん?どう言う事ですか?」
「取り敢えず、事後処理クエストを2件出す報酬は2件で金貨50枚「なるほど」
お主には悪いが間違って売った分の差額をこの金貨50枚の中から補填させて
欲しいのじゃがどうじゃろう?」
「ギル爺さんが良いなら僕はそれで良いですよ。アーニャさんの処分はギルド内の
事だから口は出せませんが、解雇だけは止めて欲しいかな?失敗は誰にでもある
から1度の失敗で切り捨てるのはちょっと可哀想ですし新しい人雇うにしても
また1からでしょ今までアーニャを教えてきた時間が無駄になりますよ」
「確かにそうじゃのぉ3ヶ月20%の減俸とフロントの掃除で済ますとしよう」
「そうしてあげて下さい。ところでアルフさんには?」
「先程、会ったゾイ元気そうじゃった、お主の言う通りポーションは必要ない
じゃろう。良くぞここまで回復させた。儂からも感謝するゾイ」
「アルフさんは神に愛されたんですよ。偶然が重なって今の結果あるだけで
僕に感謝は必要ありませんからそれと夕食はどうされますか?良ければ
用意させますが」
「せっかくのお誘いじゃ馳走に成ろう」
「では指示して来ます。その間にアーニャさんに罰を通達して下さいね」
ギルバートはアーニャに処分を伝え厳重に注意して損失の補填方法を指示し
他者に洩らさない事を誓わせ、在庫を合わせる為セイから貰った物を
在庫に当てた。この方法はセイの協力がなくては出来ない事だと強調して
感謝するようにと言葉を結びギルドに帰した。アーニャはギルドに帰る時に
セイに感謝と謝罪の言葉を何度も言いセイは笑って受け入れた
その日の夕食はアルフの回復祝いとなり5人で食事を取る事となり
サーモンのムニエル、ローストオーク、サラダ、スープ、酵母のパン等が
並びギルバートを大いに驚かせた。食後ギルバートと暫く歓談し
ギルバートたちを見送り、従魔達に肉や薄めたミルクを与え
ボルドに明日の予定を伝えた。
「明日は朝9時に商業ギルドに行くその後がどうなるか予測がつかない
訓練は自主練習としてる今日の訓練を反復するよ商業ギルドへの同行は
シロがいるからミリアで頼む」「へいわかりやした」
自室に戻り日課の訓練をして眠りついた




