10 薬草
セイに家族ができ仔犬達を連れ帰って一月たった頃、
セイは悩んでいた。そう怪我に対してだ。セイはこの森しか知らない。
ラノベにあるようにポーション等と言う存在があるかどうかも解らなかった。
鑑定では初期のころ『薬草 薬の材料』としか解らなかったからだ。
当然、薬の作り方等知るよしもなく多少の打撲、擦り傷等は
地球での対処療法で賄っていた。打撲したらゴム風船に水を入れ冷やす。
擦り傷等は傷口をよく洗い薬草と鑑定ででた物を洗ってそのまま傷口に当て
治り具合の経過を見て試行錯誤の毎日だった。
その中でもある種の地球ではドクダミと呼ばれる植物に似た薬草と
ヨモギに似た薬草ミントに似た植物は重宝した。
ドクダミ擬きは乾燥させお茶として利用すると結構喉の渇きが治まるし
ヨモギ擬きは摩り潰して傷に塗ると意外に治りが早かった。
ハーブは言う迄もなく、肉の臭み取りや水に漬け込みちょっとした
ハーブティーになった
しかし、現状お湯が沸かせられない。あれこれ悩んでいて、川の付近で地面を
掘って見たところ、粘土層が見付かり採取し、粘土をコネて、土鍋や皿あと
長方形の塊(煉瓦)を作り乾燥させ、
少し大きめの釜戸を作りその中に土鍋や皿を入れ焼いた。まるっきり素人の域が
でないセイなのでコネ方が足りなかったり、ところどこ厚みが足らなかったのか
殆ど割れた。まだ、ましだったのは煉瓦ぐらいだ。食料はまだ足りていたので
取り敢えず煉瓦を大量に作る事にした。煉瓦作りに飽きたら土器を作る。
そんな毎日が続いた。
やっと土器がものになったころセイのインベントリーの能力は
目視だけでなく知覚すればその範囲内であれば収納できる事を知った。
(粘土採取のせいで地形が少し変わってしまった)
薬草採取 粘土採取等したせいかスキル『採取』『採掘』を覚えてしまった。
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煉瓦作りが一段落して土器も歪ながら水漏れしない物を作れる様になり
簡易な小屋を作ることにした。煉瓦を一つ一つ並べ粘土で隙間を埋め
三方に壁を作る屋根は倒木と枝と草や葉っぱを利用して少し傾斜を付けて設置
ドアは若木を見つけて伐採して作った。蝶板等ないので立て掛け式だ
床は獣の皮を敷き詰め其処で寝ることにした。
なんとか小屋らしき物が出来てホッとする。
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小屋が完成したら今度は薬草の採取に向かう。
仔犬たちはお留守番wまだ連れて行ける程成長はしていない。
守れる自信がない。恐らく真っ先に狙われるのは仔犬だと思うから、
インベントリを使えば遠距離から攻撃出来るが(大きな岩を落とす)
自爆技に近いのと素材として使え無くなる。
因みに、インベントリは土に根がはっている状態では収納できない。
樹木に繁った葉っぱも同様だ(一個の生物として判断されているのだろう)
2時間程採取して小屋に戻ると仔犬たちが出迎えてくれる。
一人で必死だった、自分の心の寂しさを埋めてくれる嬉しい。
ひとしきりすり寄って甘えてくれる、仔犬たちを撫でてあげ干し肉を与え
嬉しそうに食べている仔犬たちを見るは至福の時間だ。生きる気力を与えてくれる。
腹が満たされたのか、2匹でジャレあい疲れたのか眠りに入ったみたいだ。
この間採ってきた薬草を乾燥させる為に、適当に分けて茎を束にして吊り下げ干す。
「早く大きくなれよw」




