第六話 知らない夢と旅立の朝
工房に戻ると、店の周りに人だかりができていた。
早速繁盛してるのかと思いきや、見た目はほとんど一般人。
冒険者らしき人は少ない様子だった。
「おい、あの人が領主様の娘さんか?」
「あぁそうさ、にしてもすんげぇ美人さんじゃねぇか」
「あたしも騎士様をこの目で見るのは初めてだよ」
「すごーい!おねーちゃんきれい!」
どうやらみんなの目的はシャルヴィオレ様だった。
領主様の娘さんで騎士で美人、そりゃ見物人も集まる訳だ。
でも入り口で集まられるのはちょっと迷惑かな、店の裏口から入るか。
「ただいま~。なんだか外が賑わってるね...」
「お、お帰り...」
セフィ姉さんが気まずそうに眼を逸らす。たぶん朝の事かな?
心を読む事に関しては伏せといて、事情も聴かずに逃げたことを怒ってるのかも...
「朝は逃げちゃってごめん、悪気があったわけじゃないんだ」
「そ、そう?ならいいんだけど」
これ以上勝手に人の思考を覗くのは失礼だ、気を付けよう。
「クロ、店の外が賑わってるのは知ってる?」
「うん、確かシャルヴィオレ様が来てるんだよね?」
「そうよ、たしかこの前の件で親方とクロに話があるらしいの」
「知ってるよ、朝会った」
「じゃあ話が早いわね。ちなみに、シャルヴィオレ様は私が魔術院にいた時の同級生なの」
「へ~そうなんだ..ってえぇ!?」
ということはセフィ姉さんと同じか、歳は意外と近かった。
ちなみに魔術院は首都にあって、エクセリウス魔術協会が運営している。
魔法の素質がある人達が「汎用魔法」より上位の「実用魔法」を教わる為に行くとか。
オレは村から出たことなかったから、まったく関係なかったけど...
「ふふ~ん、びっくりしたでしょ?」
「余り驚くことではないと思うのだけど」
カウンターの脇からシャルヴィオレ様が入ってくる。
「お帰りなさい、クロムウェル君。お邪魔しているわ」
「は、はい!どうぞごゆっくり」
「シャルちゃん、そんなに畏まんなくてもいいよ。クロもそんなに怖がらなくていいから」
「彼は最初に会った時から私に怯えていたわ、私ってそんなに表情硬いかしら?」
「違います!全っ然怖くないです!」
苦し紛れに出た言葉が情けなさすぎる!
単純に、見慣れない美人との会話で緊張してたんだってば!
というか、今朝の微笑みを見せてくれたのに表情が硬いってことは絶対に無いと思う。
その後、セフィ姉さんは作業に戻り、父さんとオレとシャルヴィオレ様の3人で話を始めた。
「まずはヴライネルさん、貴方の話を聞かせてもらえないかしら?」
父さんは、ゴーストについての事と今日の朝に工房でオレに教えてくれた事と
オレの能力について話した。
シャルヴィオレ様は手記を鞄から取り出し、書き込んでいた。
「なるほど、神父の話と差異は無いわね」
「フォールス爺さんはまだ元気そうかい?」
「この前、大きな丸太を担いでたわ。早々弱る人ではないわ」
「神父って誰さ?」
「そういやお前さんは会った事無いか。首都近郊のアーキティクス教会で神父をしてる
オークの爺さんだ。昔、ゴーストとレリックの研究を一緒にしてた仲間なんだ」
「この度の調査を私達に依頼したのも、国王陛下と神父よ」
「父さん重要人物すぎない?いったい何があったの...」
「にしても、俄かに信じ難いわね。超常神の力だなんて...是非とも実態を見せて欲しいわ。
クロムウェル君、どんなことができるのかしら?」
シャルヴィオレ様が少し訝しみ、レリックの話題になった。
オレは片手の手袋を外してテーブルに置くと、意識を集中させて手袋を浮かせた。
「えっと、こんな感じかな...」
「これが念動の力...他には何ができるの?」
「これですかね...よいしょっと!」
トロッコ修理の時に使ったやり方で、テーブルを軽々と持ち上げた。
「おぉ!さては工夫したな?やるじゃないか」
「これは便利そうね、他には?」
となると思念の力になるけど、どうしよう...
流石に初対面の人の心を覗くのはダメだ、物の記憶ならいいかな?
いや、それだと知らない人からしたら分からないな...仕方ない、この手を使おう。
「セフィ姉さーん、ちょっと手伝って!」
「はーい、どうしたの?」
隣の部屋で作業をしていたセフィ姉さんを呼んだ。
「ちょっと手を握らせて、セフィ姉さんにしか頼めないんだ」
「手?いいけど、やさしくね?」
また心を読んじゃうけど、一番信頼性があるとしたらこの方法だ。
セフィ姉さんの顔が少し赤いけど、熱でもあるのかな?
ならあんまり時間取っちゃいけないな、さっさと終わらせよう。
両手でセフィ姉さんの掌を包む、滑らかで細くて白いきれいな手だ。
オレのマメだらけのゴツゴツの手じゃ、下手すると傷を付けてしまいそうな程繊細だ。
邪念は置いといて、意識を集中する。
そうすると、セフィ姉さんの思っているであろう言葉が聞こえて来た。
(クロの手、私の手よりずっとおっきい...筋肉もあって、ゴツゴツしてる
もう男の子の手なんだね...)
セフィ姉さん、手も好きなの!?
まぁこれも人の趣向だ、気にしない!
「じゃあ、シャルヴィオレ様と会った時の事を思い出してみて」
「わ、分かった!ん~!」
「これは何をしているの?」
「思念を覗く力...恐らく分かり易い様にセフィーの記憶から、二人しか知らない情報を
探しているのかもしれないですな」
目を瞑り意識を集中、頭の中にいろんなイメージが映る。
母さんと一緒に薬の調合。怪我人の手当て。朝の出来事。
この辺りはつい最近の出来事のようだ。
その中で、シャルヴィオレ様の映ったものを見つけた。
場所は夜中の宿舎、庭で木製の剣を振るシャルヴィオレ様がいた。
現実で見た表情と違って余裕はなく、焦っているような表情だった。
顔立ちがまだ幼さを感じさせる。
「シャルヴィオレ様、もう夜遅いですよ?お休みになってはいかがでしょうか?」
どこからか聞こえるセフィ姉さんの声。
姿が見えないってことは、これはセフィ姉さんの視点かな。
「別に気を使わなくてもいいわ」
「気を使ってる訳じゃないんです、私の性分なので」
「そう...貴女は確か、隣の部屋の?」
「はい。私はセフィーユ・チャービルと申します。生まれも育ちもノービスで
父がエルフで母がヒューマのハーフです。
一人っ子ですが、弟みたいな幼なじみがいます」
これってオレのこと?
っていうかセフィ姉さんの自己紹介がオレのとほぼ同じ言い方だった。
知らぬ間に影響されていたのか、なるほど。
「シャルヴィオレ・アルミューレよ。私もノービス生まれ。父が領主を務める騎士貴族で
兄も騎士だったけど私はまだ騎士の称号を持っていないから
身分はあなたと差して変わらないわ。」
お兄さんがいるのか。
兄弟って似る部分あるから、シャルヴィオレ様のお兄さんはきっと
誠実で真面目な人なんだろうな。
この時どうしてか、シャルヴィオレ様はお母さんについて何も言わなかった。
何か伏せたい事情でも有るかのように...
「だから敬語も敬称もいらないわ、好きに呼んで貰って構わないわ」
「じゃあ、シャルちゃんって呼んでいい?」
「構わないわ。よろしくね、セフィ」
スゥーっと意識が戻る。
どうやら、見れるのはここまでか。
「シャルヴィオレ様はセフィ姉さんと宿舎が隣の部屋だった...合ってます?」
「なるほど、セフィの記憶から知ったのね。正解よ」
「え?何が起きてるのこれ?」
「クロムがセフィーの記憶から、シャルヴィオレ様との思い出を覗いてたんだ」
「何それ!?恥ずかしいからやめてよ!」
父さん、なんでそういう言い方するかなぁ...
でもこの際だから、さっきの事伝えた方がいいかも。
「ちなみに実は朝逃げたのは、セフィ姉さんに撫でられた時「モフモフで気持ちいい」
って思ってたのと」
「ふぇ!?」
「さっき手を握った時に「もう男の子の手なんだね」っていうのも聞こえてたんだ」
「ヒッ!?」
「ひ、人にはその..趣向というか...好みがあるわけだし?オレはそういうものだと思って
受け止めることにしたから!セフィ姉さんだったら、付き合いも長いわけだし
気にならないから...」
セフィ姉さんの顔がどんどん赤くなっていく。
これって怒らせちゃったのか?
「イヤァァァーーーー!!」
顔を抑えてセフィ姉さんが絶叫した。
その叫び声は山まで響き、坑道入り口まで聞こえたそうな...
「これで確信が付いたわ、貴方の力は本物よ
では、国王陛下から貴方に伝言を預かっているわ、読み上げるわね」
シャルヴィオレ様はポーチから巻物を取り出して広げた。
その巻物にはこの国、ベルディニアの国王の印が書かれている。
巻物には国王陛下直筆の文が書かれていた。
親愛なる我が国民達よ、我はマクシミリアン・ジェネル・ド・ベルディニアである。
まず、先日我が国で起こった災禍にて命を落とした者に哀悼の意を称し
鎮圧に協力した兵士・冒険者諸君に栄誉を送ろう。
その者の中に、魔法や武術とは異なる未知の力にて魔物の討伐をした
奇才が居たと伝令を聴いた。
して、我はその者たちの力をこの目で見極め、後に訪れるやもしれぬ災禍への策を講じたい。
我が宮殿へ参れ、諸君らの力が必要だ。
陛下の伝聞でオレは察して、気持ちが少し重くなった。
あの時ネザーと戦っていた時に、別の場所でも同じことが起きていたんだ。
その時に何人もの人が死んだ...環境が違ったらオレもきっとそうなっていたと思うと
胸が苦しくなる。
父さんがオレの肩を軽く叩くと真剣な目で言った。
「朝の話、覚えてるか?」
「うん、勿論だとも」
きっと、ゴーストもオレが突然目覚めた力も、洞窟で見た幻も全部関係してるに違いない。
この村に居たいと思ったけど、オレは自分を知りたい。
村のみんなだけじゃなく、もっとたくさんの人を助けたい。
「オレ、陛下に会いに行きます」
「その意気だ!失礼の無いようにな!」
「陛下の名による招集よ、余程の理由がなければ拒否権は無いのだけれど、いい返事ね」
「拒否権無かったんだ、最初から...」
「必要な事は追って伝えるわ。出発は明日の朝よ、遅れないように」
軽く会釈をしてシャルヴィオレ様は工房を出た。
その夜、オレは旅に出る準備をしながらセフィ姉さんの質問に答えていた。
「ねぇクロ、いったい何がどうなってるの?」
「説明が難しいんだけど、こういうことかな」
夜食に持ってきた木の実を宙に浮かせてセフィ姉さんの手元に落とす。
「わっ、凄い!今の風魔法?」
「違うよ、オレ魔法使えないよ」
「じゃあ、さっき親方が言ってたレリックっていう物の力なの?」
あんまり周りに言いいたくないんだけど、セフィ姉さんだったらいいか。
オレは一週間前に起きた事と、洞窟で見た記憶の断片をセフィ姉さんに話した。
「そんなことがあったの...そこで見た記憶の続きって見れないの?」
「ぜんっぜん見れない!けど、絶対に何かの繋がりが有りそうだと思う。それを知りたいんだ」
「ふ~ん、朝は「村から出るつもりは無い」って言ってたくせに」
「ごめんよ、事情が変わったんだ」
「はぁ、クロがなんか遠い所行っちゃうなぁ...」
「だね、これから世界中いろんな所に行く事になりそうだから、しばらく戻れそうにないかな」
「そういう意味じゃないってば~」
また何かが食い違ったみたい、そういう意味ってどういう意味なんだ?
「今までありがとう、セフィ姉さん。いろいろと迷惑かけたね」
「ふぇ?どうしたの突然」
「旅なんて絶対に生きて帰ってこれる保証は無い、常連の冒険者さんが良く言ってた
オレもその覚悟だから」
「そうだもんね、分かった...」
正面でセフィ姉さんが向き合うと、力強く言った。
「頑張ってね!私、応援するから!」
「うん!土産話期待しててよ」
「それは大丈夫、すぐ聞けるから。おやすみ!」
そう言ってセフィ姉さんはオレの部屋を出て行った。
さっきの言葉はどういう意味なんだろう?
「グル?」
毛布に包まっていたグリスが出てきた。
「オレも寝るよ、おやすみ」
ある程度準備を済ませて、わき腹にグリスを抱えて一緒に毛布に包まって眠りについた。
その日は少し奇妙な夢を見た。
真っ暗闇の中、直接語り掛ける「何か」がそこに見えた。
「よくぞ試練を乗り越えたな、我が器。死を乗り越える力を貸し与えるに相応しい」
「貴方は誰ですか?」
「汝の力の根源、超常神アクト。万物を司り、星を作りし者である」
「アクト様、どうしてオレにこんな力を?」
「汝の元となる魂の「未練」を見出した」
「元?それってどういうことですか?」
「全てを知りたくば、我が魂の欠片を全て揃えるのだ」
「それってレリック..うわっ!」
暗闇の空間が真っ白に光りだした。
目を開けるとそこには景色が広がっていた。
車輪が二つしかない乗り物に乗って、赤や黄色に染まった山々を走り抜ける。
黒い地面と、すれ違う四角い車輪付きの乗り物
遺跡で見た幻に映っていた物か?本来はこういう使われ方なのか。
この乗り物はどうやって動いてるんだろう?
魔物に引っ張られてる訳でもなければ、魔法で動いてるのか、熱機関なのか?
そう考えていると、景色が消えて眩しくなり、目が覚めた。
窓から差す光が眩しく、工房からは研磨機の音が聞こえてきた。
朝食を軽く済ませて、母さんと父さんに一言言ってから出発しよう。
「クロム、これ持っていきなさい」
食後に母さんから袋を渡される。
中身は傷薬・軟膏・丸薬・薬草等の消耗品が入っていた。
「いいのこれ?この量だと、けっこう高く付くんじゃ...」
「命はギルトじゃ買えないのよ。私は鉱山で怪我だらけで帰ってくるクロムが旅に出るなんて
反対だったんだから」
「あはは~面目ない...」
「でも、大事な事があるんでしょ?それに、広い世界を見るのもいい勉強になると思ったのよ」
「いきなりでごめんよ...」
「大丈夫、たまには戻ってきて元気な顔見せてくれればいいわ。行ってらっしゃい!」
「うん!それじゃあ、行ってくるよ!」
母さんは少しだけ涙ぐみながらも笑顔で見送ってくれた。
マズい、オレもちょっと泣きそう...
「あ、そうだわ。工房にも顔出して行きなさい、父さんが渡したい物があるって言ってたわ」
軽く返事をして工房に向かう。
工房では父さんが本か何かを布で包んでいる。
「父さん、オレもう出発するよ」
「あぁ、ちょうど渡すものがあった」
先ほど布で包んだものを渡してきた。
「首都までの道は必ずノービスを通るだろ?その際に母さんの実家に寄ってこれを
届けてほしい」
「中身は何なの?」
「ついてからのお楽しみだ、魔法で封印したから覗こうとしても無駄だからな」
「覗かないってば!じゃあ、行ってくるよ!」
父さんから受け取った荷物を受け取って、鞄に入れる。
そういえば今まで爺ちゃんと婆ちゃんに会ったことないな、どういう人なんだろう?
「ちょいと待ってくれ、お前さんに渡すものがもう1つある」
工房を出ようとして父さんに呼び止められる、また何かの頼み事かな?
「もう1つって、またお使い?」
「いいや、プレゼントだよ」
皮のホルダーに収められた長物を受け取り、抜いてみる。
長物の正体は両刃斧だった。
片手で持てる大きさと軽さ、菱形の刃が前後に組付けられている。
父さんが使っていた両穂のメイスと似た形だ。
「うぉ~カッコいい!」
「お前さんが念動でオレの武器をブン投げたのを見て思いついたんだ。
あの時お前さんが採ってきてくれた軽くて強いティタナイトを素材にして作った
俺の自信作だ!」
「でもどうして斧?これから旅に出るわけだし、剣とかの方がいい気もするけど...」
「修繕の時ぐらいしか剣を触らないお前さんが、いきなり実践で剣を扱えるかなんて
わからんからな。いっそのことレリックの力を上手く使える物で片手斧が思い浮かんだのさ。
ちなみに頑丈に作ったから薪割りや伐採だってできるぞ!」
父さんの言い分はごもっとも。
魔物との戦闘は、ゴーストが初めてだし。
斧はピッケルと似た要領で使えると思う...たぶん
「ありがとう、行ってくるよ」
「おう、気をつけろよ。シャルヴィオレお嬢さんに迷惑かけるなよ~!」
背中にホルダーを付けて、斧を収めて家を出た。
今まで過ごした場所を離れるのは寂しくて、ちょっと泣きそうになったけど
それを超える好奇心と期待がオレの心を焚き付けていた。
村の出入り口に数台の馬車が停めてある、これから町に向けて出発するキャラバン達のようだ。
御者らしき人と話をしているシャルヴィオレ様がいた。
「おはよう、クロムウェル君」
「おはようございます!待たせちゃってごめんなさい」
「気にする事は無いわ、私は用があって早く来ただけだから」
荷車に乗り込む、乗客はどうやらオレ達だけのようだ。
「そろそろ出発しますぜ」
いよいよかと思うと、少し緊張する。
「待ってくださ~い!私も!私も乗りますっ!」
後ろから聞き覚えのある声がした。
馬車が停まり、一人の女性が乗り込んで席に座る。
その正体は、軽装の皮鎧を着たセフィ姉さんだった...
「セフィ姉さん!?なんでいるの!?」
「昨日言ったでしょ?応援するって。怪我しやすいクロだけで旅なんて絶対ダメ!
先生に面倒見てあげてって任されたの」
いつの間にそんなことになってたの...
「シャルヴィオレ様...いいんですか?」
「シャルちゃんもいいよね?風魔法と天魔法はしっかり使えるから!」
「大丈夫とは言い切れないけども、セフィは私の友人、クロムウェル君は重要人物
必ず守るわ」
「ありがとうシャルちゃん!」
「でも無茶はしないこと、戦闘時は必ず私の指示に従って頂戴」
これはまた随分と賑やかになりそうだ。
「それはそうと、二人ともお互い呼びずらくない?これからしばらく一緒なんだし
呼び方変えたらいいと思うの」
「確かにそうだけども、オレからしたら身分も歳も上だから無礼じゃないかな?」
「私は構わないわ。でも他の貴族や王族の方々にはしっかりと礼儀を払うのよ、クロム」
「切り替え早っ!えっと..わかったよ、シャルさん?」
「うんうん、そんな感じ♪」
そうして馬車が再び動き出す。
次はなんと村中の男衆たちが見送りに来たみたいだ
大勢で泣きながらこっちに走ってきてちょっと怖い。
「「「セフィーちゃ~ん!気を付けてな~!!」」」
「皆さんもお体に気を付けて~!」
セフィ姉さんを見送るだけだったようだ、というかオレはそういう展開無し?薄情過ぎない?
こうしてオレ達は、首都を目指して村を旅立った。